年齢と経験を重ねたのち、新たに事業を起こした起業家たちが歩んだ道のりに、挑戦のヒントが。株式会社 タスカジ 代表取締役の和田幸子さんが起業した理由とは。
家事シェアから家事ゼロへ。ハードルがあるから人生は楽しい
株式会社 タスカジ 代表取締役 和田幸子さん(50歳)
Profile
’99 富士通に入社。エンジニアとして業務システムの開発に携わる。
’05 企業派遣制度で大学院に留学し、MBAを取得。
’08 第一子出産。
’13 富士通を退職して起業。
'14 ITを軸とした家事代行の新サービス「タスカジ」をローンチ。
’23 シェアリングエコノミー協会理事に就任。
“自分を助けるため”が世の女性たちの救いにも
「女性が活躍しづらい社会への不満が、起業の原点だったのかもしれません。出産後、仕事と子育ての両立において家事が大きな負担となりましたが、当時は解決策がありませんでした。それで、家事を軽減できる仕組みを自分でつくろうと。事業としても可能性を感じました」
和田幸子さんがマッチング型の家事代行サービス「タスカジ」をスタートさせたのは’14年のこと。以来、料理の作り置きや整理収納など幅広いサービスをリーズナブルに提供し“家事シェア”を浸透させる立役者となった。
「利用者から『本来の自分を取り戻せた』『キャリアをあきらめずにすんだ』と多くの声をいただき、ハウスキーパーからは家事スキルが正当に評価されてうれしいと喜ばれました。自分の課題解決から出発した取り組みが世の女性たちの救いにもなって、やりがいを感じました」
学生のころから起業を視野に入れ、戦略的に富士通のエンジニア職に就くなど、先を見据えて歩んできた。それでも、「踏み出す怖さ」は今でもあるという。
「無意識の思い込みがブレーキにならないよう、定期的にコーチングを受けて自分と向き合う時間をつくっています。恐怖心の原因や本当の望みがクリアになれば、対処法や具体的な道すじを描けるので、納得感をもって前進できるんです」
昨年、創業から10年の節目を迎えた。大小さまざまな壁を乗り越えてきたぶん、スキルや視座が上がった実感をもつ。
「仕事にかぎらず、生きていれば常に問題は起こりますが、それこそが人生の彩りだと思うようになりました。これからなしとげたいのは、IoTデバイスやロボット技術を活用して家事をゼロにする仕組みを構築すること。知恵を絞ってハードルを乗り越え、実現させたいです」
和田さん自身、タスカジのヘビーユーザー。「日々、本当に助けられています。サービスをつくった、あのときの自分をほめてあげたい!」
一歩を踏み出すための、3カ条
1. 思い込みでブレーキをかけていないか振り返る
2. 恐怖心の原因や望みを明確にする
3. 困難も失敗も人生の彩りと考える
撮影/目黒智子 取材・原文/熊坂麻美 ※エクラ2026年2・3月合併号掲載