エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選!自閉スペクトラム症で注意欠如多動症の特例判事補・安堂清春シリーズの続編『テミスの不確かな法廷 再審の証人』、唯川 恵が還暦からの10年間を綴った『60代、日々好日 時々ため息』など4冊を厳選。
『テミスの不確かな法廷 再審の証人』
発達障害の裁判官が開く真実と心の扉
直島 翔
KADOKAWA ¥1,980
安堂清春は自閉スペクトラム症で注意欠如多動症。記憶力抜群な一方、人の気持ちがわからない。感覚過敏で、しばしば貧乏揺すりが止まらなくなる。そんな生きづらさを抱えながら、特例判事補として法廷に立つのだ。3つの連作短編からなる本書はシリーズ2作目だが、前作を未読でも、話題になったドラマでストーリーを知っていても魅了されてしまうはず。マイナスとされがちな発達障害の特性を生かし、警察や検事が見逃していた真実をあぶり出す主人公に喝采&感涙!
『60代、日々好日 時々ため息』
「今が一番」と思える強さを育むエッセー集
唯川 恵 光文社 ¥1,760
還暦を迎えてからの10年間、直木賞作家は何を考え、どう生きてきたのか。いいと思ったことはとりあえずやって違うと思ったらやめればいい、今が一番という意識で生きていこうと決めた……などなど、迷いや失敗を繰り返したどりついた言葉と覚悟に、背中を押される。
『晴れの日の木馬たち』
明治から大正、小説家になる夢を紡ぐ少女の物語
原田マハ 新潮社 ¥2,310
いつか私も、読んだ人が少しでも幸せになる物語を書きたい――12歳で紡績工場の女工となった本好きの少女は、わら半紙にチビた鉛筆で小説をつづりはじめる。夢に向かいひたむきに歩む主人公を通して、キュレーターから作家になった著者自身の熱い思いも伝わってくるよう。
『「 手に負えない」を編みなおす 』
漏水対策から広がる唯一無二のおもしろさ
友田とん 柏書房 ¥1,980
地下鉄のホームや通路で見かけた漏水対策が気になり、全路線を回って観察すること7年。ユニークなフィールドワークは、やがて社会や人間の中にある「手に負えない」ものとの向き合い方へといたる。ひとりだけの出版社を営む元エンジニアによる、驚きと発見に満ちた一冊。
photography:Maho Kurakata text:Sayaka Hosogai ※エクラ2026年4月号掲載