檜原麻希さん「ラジオは日常の一部であり、友人のような存在。変えないことを財産として、次の時代へ」【エクラ トップリーダーズvol.12】

耳を澄ませば、聴こえてくるのは、人と時代の息遣い。幼いころからラジオに親しみ、その世界に飛び込んだ人は着実にキャリアを重ね、業界初の女性トップリーダーになった。株式会社 ニッポン放送 代表取締役社長 檜原麻希(ひわらまき)さんは、長寿番組に新風を吹き込み、新たなスターを発掘しながら自分をも育てる日々。今日もまた、新しい驚きを体験する。

株式会社 ニッポン放送 代表取締役社長 檜原麻希さん

株式会社 ニッポン放送 代表取締役社長 檜原麻希さん

東京・有楽町の本社スタジオにて。radikoのタイムフリーも便利だが、「一番幸せを感じるのは、やっぱり生放送を聴いているとき」

profile

’85 慶應義塾大学文学部卒業後、ニッポン放送に入社。編成局、秘書室、営業局などに勤務する。
’99 半年間休職し、渡仏。フランスのケーブルテレビ局「Canal+(カナル・プリュス)」の映画部門で映画の売買などに携わる。
’09 デジタル事業局長に就任。'11年より編成局長、'15年より取締役編成局長。
’16 営業担当取締役。'18年に常務取締役に就任。
’19~ 現職。

何事も「なるようになる」。予測不能な世界を楽しむ余裕を

音声メディアが活況にある。通勤途中や家事の合間などにイヤホンでコンテンツを楽しむ人が増え、公共放送の開始から昨年で100年を迎えたラジオも、配信アプリ「radiko(ラジコ)」の普及により、全世代的に聴取者数を伸ばしている状況だ。

「一時はオールドメディアの代表だといわれていたけれど、一世紀を超えて存在しつづけているのには意味があるんでしょう。ラジオは距離が近く、パーソナリティとリスナーは友だちのような間柄。日常の習慣にもなりやすいところにレゾンデートル(存在意義)があるのかと。嘘がない世界、そんなふうに感じます」

自身も中学生になる前から深夜ラジオに親しんできた檜原さん。生え抜きでトップへと上りつめた女性はメディア業界では稀有な存在だが、「女性活躍、ジェンダー平等の時代にマッチしたのかな」と、その肩に力は入っていない。しかし、制作、営業の現場で積んだ経験を、成果として確実に示しての現在である。

「やってよかったのは、オールナイトニッポン2部(現『オールナイトニッポン0(ZERO)』)の生放送再開。午前3時から5時は夜と朝の交差点のような時刻で、若者と大人の交わるおもしろい時間帯でもあるから、どうしても復活させたくて。当時、テレビ局の社員だった佐久間宣行さんの番組がヒットし、そこからオールナイトニッポンのブランドが復興したと思います。目の不自由なかたへ音の出る信号機をお届けする『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』は一昨年50周年、野球中継『ニッポン放送ショウアップナイター』は今年60周年と、フォーマットを変えずに続けてきたものがブランドになっている。変わらなきゃ、といわれることの多い今ですが、変えてはいけないものもあるんだなと」

40代に入る前には休職して海外へ。別の職場を経験したことで確認したのは、自分なりの仕事への向き合い方だった。

「長く仕事をしていれば、誰でも『仕事って何だろう?』と疑問をもったり、将来に不安を感じたりもしますよね。でも、そんな時期があるのも悪くない。たとえ他者からの評価に納得がいかなくても、重要なのは自分の仕事に満足し、やっていることに誇りがもてるかどうかですから。もし達成感がないのなら、どうすればもてるかを立ち止まってじっくり考えればいい。そして、自分で自分を認めること。悩んだり迷ったりしたときは、自分を大事にしてほしい」

政治も経済も社会も混沌とする現在。音声メディアをめぐる環境も、ポッドキャストの普及をはじめ、ますます多様化しているが、檜原さんは「何事も基本はケ・セラ・セラ」とラフに構える。

「クリエイティブもエンタメも、思わぬものが突然ヒットしたりする。予測できるようでできない、そこが一番おもしろかったりするじゃないですか。どんなかたちになったとしても、人の声で伝えるメディアを残していくのが仕事の究極の目標。頭も体もルーティン化しすぎず、予測不能な世界を楽しめるくらいの精神性は常に持ち合わせていたいですね」

檜原麻希さん 「なくしたと思っても、なぜかいつも必ず見つかる」グッチのキーホルダー

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檜原麻希さん アメリカ製のビタミン剤のおかげで、ここしばらくは風邪知らず

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檜原麻希さん 「一度に複数の料 理を、オーブン任せで作れます。子 育て中のかたにも、これから夫婦 ふたりの生活に戻るかたにも、きっと頼りになるはず」

幼少期を海外で過ごし「マイノリティ感覚は昔から身にしみている」と檜原さん。メディアでは希少な女性トップとして「男性目線で編成されてきた業界の偏りを、少しずつ戻していきたい。女性ディレクターやプロデューサーも育ちつつあります」

motto

檜原麻希さん モットーは「機嫌のいい女であれ!」

会社に行きたくない、そんな日に思い出すのは、オールナイトニッポンの盟友・松任谷由実さんがよく口にするフレーズ。「『今日はよかった』という日が、また必ず来ますから」。

エクラ トップリーダーズ 連載一覧

photography:Tomoko Meguro hair& make-up : Mai Hanzawa text:Michiko Otani ※エクラ2026年5月号掲載

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