映画『ボヘミアン・ラプソディ』をきっかけに爆発したクイーンブーム。来年1月には待ちに待った来日コンサートが開かれる。誰よりもクイーンを良く知る音楽評論家の東郷さんと、熱烈なファンの美容愛好家・野毛まゆりさんが、クイーンの魅力についてたっぷり語り合いました。
(写真右)音楽評論家・東郷かおる子さん
’90年まで音楽誌『ミュージック・ライフ』の編集長。クイーンの魅力にいち早く着目、ブレイクに導いたといわれる伝説の編集者。
(写真左)美容愛好家・野毛まゆりさん
女性誌、テレビ、ラジオなどで美容コメンテーターとして活躍。著書に『美しいものを売るために大切なこと』(WAVE出版)がある。
きわだつキラキラ感で日本女性のハートをゲット!
野毛まゆり(以下野毛) 音楽雑誌『ミュージック・ライフ』の記事を通じて日本中に、いえ、地球的な規模でクイーンの魅力を伝えてくださった東郷さんは、私にとって神のような存在です。今日、大好きなクイーンについてお話をうかがえることができて、夢のようです!
東郷かおる子(以下東郷) 野毛さんはデビュー当時からクイーンの熱烈なファンだそうですね。私もお会いするのを楽しみにしてました。
野毛 洋楽といえばカーペンターズしか知らなかった10代の少女にとって、クイーンの登場は衝撃的でした。音楽もすばらしいけど、ピタピタパンツにロングヘアの妖艶なフレディを見て、「この世にこんなカッコイイ人がいるなんて!!」と、ひと目で恋に落ちたんです♡
東郷 クイーンの人気を支えていたのは、まさに野毛さんのような少女たち。彼らが登場する以前はロックといえば、レッド・ツェッペリンとかピンク・フロイドとか、マッチョで男っぽいサウンドが主流だったし、「ロックは女子供が聴くものじゃない」な~んていわれてましたから。
野毛 友だちのお兄さんから同じことをいわれたけど、誰が聴いてもステキなものはステキ!と思ってました(笑)。東郷さんはどんなふうにクイーンの存在を知ったのですか?
東郷 デビューアルバムが発売される少し前に、『クイーン』というバンド名だけが書かれたサンプルアルバムが編集部に届いたんです。さっそく視聴室で聴いてみると、『Keep Yourself Alive』のズンズンズン♪というイントロが流れてきて。何これ! カッコイイ!と思ったのが最初でした。ビジュアルもほかのロックバンドとは全然違ったでしょう。フリフリの衣装に黒いネイルをつけるとか“耽美”的な雰囲気があって、繊細で美しいものを愛めでる日本の女の子たちの間で絶対に人気が出るな、と思いました。
野毛 おっしゃるとおりです! 当時私は中高と学校の寮にいて、外の世界のキラキラしたものにすごく憧れてました。だから月1回、クイーン特集が載っている『ミュージック・ライフ』を買うのがなによりの楽しみで。メンバーの素顔に触れた記事もすばらしくて、「フレディの身長は何センチ!?」と胸をドキドキさせて、むさぼるように読んでました(笑)。グレーな寮生活をのりきれたのはクイーンのおかげなんです。
「音楽もステージもビジュアルも! すべてが満点だからクイーンは女子に愛される」(東郷さん)
多様で個性的なサウンドこそ、クイーンの真骨頂!
東郷 彼らにぜひ聞かせてあげたいわ。「なぜ身長のことなんか聞くんだ」と批判されたこともあったけど、女性はそういう話が好きだと思うし、メンバーもおもしろがって答えてくれましたから。セクシャルで天才肌のフレディ、華があって“ザ・ロックスター”な感じのロジャー、知的で繊細なブライアン、頭が切れるけど癒し系のジョン……と、それぞれのキャラがきわだっていたこと、メンバー全員、知性があって、品を感じさせることも人気の理由でしたね。
野毛 今では普通のことですが、当時、東郷さんが女子目線で取材をして記事を書いてくださった、だから日本にこれだけのクイーンファンが誕生したんだと思います。
東郷 ビジュアルも大事だけど、女性はそれだけでは満足しませんよね。心打たれるサウンドがあり、話がおもしろくてファッションセンスもいい、すべてが高得点じゃないと彼女たちはファンになってくれません。フレディにはシャンソンからオペラまで幅広い音楽の素養があり、それがクイーンの多様性の土台になりました。そこにブライアンの卓越したギターテクをはじめメンバーの持ち味が加わって独自の世界観を生み出す。厳しいセレクトをパスして大好きになった、だからクイーンファンはとびきり熱いんです。