アラフィーたちに薦めたい今月のおすすめの本を編集部がピックアップ。『ゲド戦記』シリーズの作者として知られるアーシュラ・K・ル=グウィンが人生最後の数年間をつづったエッセーや、現代社会の不条理を浮き彫りにする近未来SF、在宅医療の現場を7年間取材した著者が紡ぐノンフィクションストーリーなど、今こそ読みたい一冊をお届け。
『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』
アーシュラ・K・ル=グウィン 谷垣暁美/訳
河出書房新社 ¥2,400
ファンタジーの金字塔『ゲド戦記』シリーズで知られる著者がブログを始めたのは、80歳を過ぎてから。そこで発表していた文章が一冊にまとまった。〈私たちは皆、億万長者だ〉と彼女はいう。生まれた日から最期(さいご)の日までの間に学ぶべきことが、ものすごく多くて豊かだから。卓越した想像力と洞察力、繊細かつ大胆で皮肉屋でもある作家が人生最後の数年間につづったエッセーは、なんてことのない日常や愛猫を題材にしたものですら、“自分”を育て、世の中に流されないための錨(いかり)になる。
『荒潮』
陳 楸帆 中原尚哉/訳
早川書房 ¥1,800
世界中の電子廃棄物が集まるシリコン島。「ゴミ人」と蔑(さげす)まれ健康を損ねながら、電子ゴミを溶かして貴金属を取り出し、命をつなぐ住民たち……。舞台は近未来でも、ここに描かれた格差や絶望は今、確実に存在する。話題作が続出する中国SF界から、またすごい新人が現れた。
『エンド・オブ・ライフ』
佐々涼子
集英社インターナショナル ¥1,700
在宅医療の現場を取材すること7年。死が間近に迫る患者と家族、最後の望みをかなえたいと奔走する医師や看護師の心模様を丹念に紡いでいく。命の閉じ方、大切な人の見送り方のレッスンになると同時に、一日一日のかけがえのなさに気づかせてもくれるノンフィクション。
『ドミノin上海』
恩田 陸
KADOKAWA ¥1,700
ハリウッドのホラー映画監督をはじめ超個性派の25人+3匹が上海で大暴れ。アウトローなパンダやイグアナの霊まで入り乱れるハチャメチャすぎる展開に最初は混乱するが、おもしろさも半端じゃない。何度も噴き出した果てに訪れる大団円の見事さに、思わず拍手喝采。