「読書の魅力を発信し、本を手にとる機会を増やしたい」との思いから始まった文芸エクラ大賞も今年で4回目。本の現場を誰よりも知る書店員たちの、思い入れにあふれた特別な一冊を紹介。
【ベスト・オブ・書きだし賞】
今年読んだ小説の中で、最高の書きだし。この作家は私の心を素手で触ってくる
(代官山 蔦屋書店 間室道子さん/文学を担当。自称、ジャンルに関係なく食いつく“本のピラニア”。)
『血も涙もある』
山田詠美 新潮社 ¥1,650
有名料理家の妻(50歳)と年下の夫(40歳)、妻の助手兼夫の恋人(35歳)。3人の危険な関係の裏にはどんな心理が働き、それぞれが動いていたのか? ゾクゾクするような書きだしから始まる、詠美節たっぷりの大人の恋愛小説。
【人生のバイブル賞】
幸福も、不運も、出会いも、別れも、すべて自分の人生の一部。最後の章の最後の言葉が胸にしみた
(有隣堂アトレ恵比寿店 酒井ふゆきさん/実用書を担当。好きな作家はピエール・ルメートル、髙村薫など。)
『ねこしき』
猫沢エミ TAC出版 ¥1,650
著者は51歳のミュージシャンで文筆家。これまでの人生と現在をつづったエッセイも胸を打つが、章ごとに掲載された「生活料理人のレシピ」も秀逸! どこを読んでも生きるためのヒントがつまっている。
【中毒になるで賞】
人生をうまく生きられない人への愛があふれた、間違いなくコロナ時代を代表する一冊だッ!!
(紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん/文庫や文学分野の売り場を統括。綾辻行人の本はほぼ読破。)
『滅びの前のシャングリラ』
凪良ゆう
中央公論新社 ¥1,705
一カ月後に地球が滅亡することが判明した世界で、いじめられていた男子高校生や人を殺したヤクザ、恋人から逃げ出した女性など「うまく生きられなかった」4人はどんな選択をするのか。先が読めない展開で一気読み必至の感動作。
【こんな旅してみたいで賞】
自由に旅行ができるようになったとしても、自分にはこんな旅はできない。だから、この本の中で思いきり体験!
(ブックファースト阪急西宮ガーデンズ店 佐藤みどりさん/児童書を担当。好きな作家は島田荘司、アイザック・アシモフなど。)
『四分の一世界旅行記』
石川宗生
東京創元社 ¥1,980
’17年、SF作家・石川宗生は日本を発って中国、パキスタン、キルギスなどをめぐる旅へ。現実と虚構がないまぜになったその記録に描かれているのは、バックパッカー仲間との交流や驚きの現地事情など。旅という非日常の感触を味わえる一冊。
【おなかも心も満たされるで賞】
悪い人がいないこの物語、読後の心の温かさは格別です。ふだん本を読まない人にぜひおすすめしたいシリーズ(ジュンク堂書店池袋本店 西山有紀さん/文庫と新書を担当。よく読む作家は、北村薫、坂木司、加納朋子など。)
『アンと愛情』
坂木 司 光文社 ¥1,870
デパ地下の和菓子店で働く杏子(アンちゃん)はもうすぐ成人式。自分の将来を考えるアンだったが、そんなときお客さまから「宇宙がモチーフの和菓子」を相談されて……。日常の謎を描いた人気の「和菓子のアン」シリーズ第3弾。