アラフィーは、「あと10年でリタイア」ではなく「まだまだ働く年齢」に。スタイリストとして活躍している河井真奈さんも、アラフィーのときに日本の手仕事をメインにしたギフト紹介サイトをオープン。起業についての考えを伺った。
<起業までのヒストリー>
| 1985 |
短大卒業後、映画会社に入社。 |
| 1987 |
会社をやめ、フリーランスのスタイリスト・編集者として雑誌制作をスタート。30代でスタイリストに主軸を置くように。 |
| 2011 | 『絶対 美人アイテム100』を上梓。 |
| 2016 |
1月、52歳のときに株式会社TZENを設立。 8月、『ATELIER MATCHA』をオープン。 |
| 2019 |
54歳のとき、夫が立ち上げ、河井さんも所属する会社名義で、青山に実店舗オープン。 |
| 2021 |
会社登記名をfutoに変更準備中。 |
物に秘められたストーリーやつくり手の思いも伝えたい
「このタオル、触り心地がすごくいいでしょう? 今治にあるメーカーの女性が、“タオルで始めるスキンケア”をコンセプトに企画したんですよ」
そう楽しげに、商品の成り立ちや特徴を説明する河井真奈さん。スタイリストとしても活躍する河井さんが、日本の手仕事によるアイテムを中心にしたギフトショップ『futo』の前身となるサイトを立ち上げたのは、5年前のこと。転機のひとつになったのが、河井さんお気に入りの名品を、ブランドの歴史や誕生秘話とともに紹介した『絶対 美人アイテム100』の執筆だった。
「100点すべて取材したことで、ブランドやつくり手の思いを、多くの人に伝えたいという気持ちが強くなって。40代以降、仕事で日本各地をめぐる機会が増え、行く先々で、手仕事のすばらしさに触れたのも大きかったですね。若いころは海外志向が強かったのに。これも年を重ねたからなのかも(笑)」
と同時に、地方の小さな工房や職人が窮地に立たされていることも知った。
魅力的なのに流通しないアイテムにスポットを当てれば、手にとる人が増え、つくり手も、買った人も笑顔になれるのではないか。そう考え、日本の手仕事をメインにしたギフト紹介サイトとして、「futo」を立ち上げることに。
「もともと社会貢献に興味があって、10年以上前から、ファッション業界の仲間に声をかけてフリマに参加し、売上の一部を寄付する活動をしていました。でも、理想としているのは、自分たちが得たお金を寄付するのではなく、物も、人も、体験という“コト”も回すことで、みんなが豊かに、幸せになれること。『futo』は、それを実現するためのツールだったんです」
サイトが評判になり、「実際に商品を見てみたい」という声が増えたことで、’19年、青山に実店舗をオープン。
「経営は初めてなので、正直とまどうこともあります。コロナ禍で外国人のお客さまが期待できない状況ですし、手仕事は大量生産ができないので、仕入れがスムーズにいかなかったり……。でも、物のストーリーをお客さまに直接伝えられること、喜ぶ顔が見られること、つくり手さんとのやりとり、の楽しさで、なんとか踏ん張れます」
石川県『白鷺木工』が制作する「しらさぎ椀 sibo」。「漆にタンパク質を混ぜる絞漆(しぼうるし)なんですが、タンパク質に地元の手作り豆腐を使っているんですよ。職人さんがひとつひとつたたき塗りをし、独特な質感を演出しています」
起業のきっかけのひとつになった『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)
がむしゃらに仕事をしてきた経験が“今”に生きている
仕事仲間から作家や職人を紹介してもらうこともあれば、扱っているアイテムを雑誌やwebに掲載してもらうなど、「これまでのキャリアが生きている」と実感することも多々ある。
「20代からずっと身を削るように仕事に打ち込んできたのは、このためだったのかなと思うこともあります。これからも、つくる人と買う人の真ん中で、物と人、コトを回していきたいですね」
オートクチュール生地を織り続けてきた「槇田商店」とコラボした「美肌傘RefleCouture」など、オリジナル商品も展開。「傘を開いたときに顔色が明るくなる美肌傘です」
金継ぎのような手仕事を伝えるワークショップなども定期的に開催中。