人生100年時代、折り返しを迎える年齢になり「働き方」について考える機会も増えてきているのでは?そんなアラフィー世代の注目を集めているのが「起業」。やりたいことを仕事にする働き方について、61歳で起業した村本理恵子さんに話を聞いた。
<起業までのヒストリー>
| 1979 |
大学卒業後、時事通信社に入社し、消費者調査などに従事。 |
| 1989 |
専修大学経営学部専任講師就任。 |
| 1997 | 同大学教授に就任。 |
| 2000 |
ガーラに代表取締役会長として招かれる。 |
| 2005 |
法政大学大学院教授に就任。 |
| 2007 |
エイベックス入社、動画配信サービスに従事。 |
| 2016 |
61歳で、ピーステックラボを設立。 |
| 2018 |
「アリススタイル」をスタート。 |
「買う」より「借りる」で豊かな暮らしを提供
シェアオフィス内にある、こぢんまりとした会議室。ここが、村本理恵子さんが社長を務めるピーステックラボの“本社”。同社が展開する「アリススタイル」は、「買う前に試したい」「一定期間だけ使いたい」「持っている物を貸したい」という個人や、「商品を試してほしい」という企業のニーズに応えた貸し借りサービスだ。
「収入の右肩上がりが期待できない今、『買えない』が理由で、やりたいことをあきらめている人は少なくありません。例えば、子供の誕生日にケーキを焼いてあげたいけれどオーブンが買えないとか。この先豊かに暮らすには、『買う』のではなく、『必要なときに借りる』しかない。そう確信し、5年前、勤務先をやめて起業したんです。当時61歳で、『この年ならまだ新しいことがやれる』と思いましたしね。私、何歳だからこうしなければという固定観念がなくて、自分の年もすぐに忘れちゃうくらいで(笑)。ただ、会社に属して新しい事業を始めるのと、起業するのとは大違い。特に資金集めには苦労しました」
自宅もシェアハウスという、シェアリストの村本さんだが、「大好きな物は買います(笑)」と。バッグはOFF WHITE、スニーカーはアレキサンダー・マックイーンと、おしゃれにはぬかりなし!
渋谷ヒカリエ内のシェアオフィス、「Creative Lounge MOV」が本拠地。
必要なのは、ロジカルな説明と経営者のパッション
村本さんが目ざす事業には、まとまった資金が必要だ。ベンチャーキャピタルなどに出資を求めたものの、当初の反響は思わしくなかったという。
「20〜30社回ったときに気づいたのは、自分の熱い思いを語るだけではダメで、出資に対してどれだけのリターンが見込めるのか、説得力のある数字を示すことが重要だということ。それで、資料づくりからやり直し、プレゼン方法も変えました。全部で100社ほど回ったかな。我ながら、打たれ強くなったと思います。創業3年目にも、資金がショートしそうな危機に陥ったんですが、幸いにも、助けてくれる人がいて……。真剣に取り組んでいると、理解者は現れるんですね」
起業に必要なのは、ロジカルな説明と経営者のパッションという村本さん。
「50代以降の起業家の強みは、経験値。『これならうまくいく』『この相手は危険』など、今までの経験から予測や察知できることがたくさんあると思います。第一、50歳なんて、まだまだ若いんだもの。仕事にかぎらず、おもしろそうだと思うことに、どんどんチャレンジしてほしい」
今後、ひとり親世帯を対象にしたサポートプログラムもスタートする。貧富の差なく、誰もが平等に、やりたいことを体験できる社会を目ざし、村本さんは、これからも走り続ける。
本社となる会議室ドアには、「アリススタイル」のプレートが。ロゴは、貸し借りコミュニティがもつ優しさや温かさを表現している。
「経営者は世の中の動向や流行に敏感でいるべき」との考えから、SNSなどを常にスマホでチェック。