混み合う大型展もいいけれど、作家が向き合った景色に触れられる美術館もおすすめ。今回は、フォトグラファー・竹内裕二さんイチオシの「NAGARE STUDIO 流政之美術館」をご紹介。
作家が日々過ごした風景と建物が個人美術館に
「NAGARE STUDIO 流政之美術館」(香川)
小高い丘の上の美術館は、彫刻家・流政之のかつての住居とスタジオ。その没後、’19年から美術館として一般公開されている。
「日本にこんな場所があったのかというくらい五感を刺激されます。石の彫刻は完全に磨き上げられているのではなく、少し粗い部分があったりする。作品の精神性や完璧をあえてはずす感覚に、すごく共感できます」と竹内さん。
「今、香川がアート県として盛り上がっていますが、流さんは’60年代にそのきっかけをつくったかた。ジョージ ナカシマと桜製作所をつなげたり、イサム ノグチと交流があったり。零戦パイロットから国際的な彫刻家になられた、その人生も作品に投影されています」
竹内さんが惹かれた『サキモリ』には作家自身が重なるようだ。
現地を訪れると、どこかで目にしたことのある作品が見つかるはず。流は特定の団体に属することなく、独立独歩で活動。パブリックアートの制作に精力的に取り組んだ。かつてNYのWTC下にあり、救助作業のため撤去された『雲の砦』の試作もここに。
流政之が自ら設計したレンガ造りのスタジオ。
南仏を思わせるような美しい野外展示。静かにたたずむ作品ひとつひとつが語りかけてくるよう。「ガイドツアーがすばらしく、作品の見方を押しつけでなく導いてもらえます。それによって自分とも向き合える場所だと思います」と竹内さん。
館内では珍しいステンレス製の彫刻、『千客万来』。パブリックアートのための試作。
海に面した突端に据えられた代表作、『サキモリ』。「上体が大きく空いていることで訴えてくるものがあるんです。自分の小ささを感じたり、まっすぐ進めと勇気づけられたり」
INFORMATION
見学はスタッフによる約60分のガイドツアー。webサイトにて要事前予約。
開館は木~土曜(年末年始を除く)。
10:30~、13:00~の一日2回制(定員あり) 見学料/一般¥5,000
香川県高松市庵治町3183の1