アラフィー女性にこそ読んで欲しいおすすめの本を、編集部がピックアップ! 今回は、吉田修一『ミス・サンシャイン』をご紹介。人生に迷う青年が、80代の鈴さんのもとで荷物整理のアルバイトを始めて成長をしていく物語のほか、イチ押しの3冊をご紹介。
実力派作家が生んだ幻の女優が、生きるパワーをくれる
『ミス・サンシャイン』
吉田修一
文藝春秋 ¥1,760
人生に迷う青年が、80代の鈴さんのもとで荷物整理のアルバイトを始める。彼女は「和楽京子」の名で邦画の黄金期を牽引(けんいん)し、ハリウッドでも活躍した大スターだった。鈴さんの人生や出演作があまりにリアルで、実在の女優かと錯覚するほど。アメリカでの愛称「ミス・サンシャイン」の由来が明かされるシーンでは胸を抉(えぐ)られつつ、彼女のしなやかな強さに魅了される。鈴さんと過ごす時間が主人公を成長させるように、この小説との出会いは読者の心に消えない火を灯すだろう。
伝説的カルト映画監督が体験した最低で最高の旅
『ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク』
ジョン・ウォーターズ 柳下毅一郎/訳
国書刊行会 ¥2,860
66歳のある日、北米大陸をヒッチハイクで横断してみようと思いたった著者。まず「起こりうるかぎり最高の旅」と「最悪の旅」を妄想した小説を書き、それから現実の旅へ。2つの中編とひとつの紀行からなる本書は、超お下劣だけどパワフル。知らなかったアメリカが見えてくる。
目からウロコがポロポロのヌード芸術入門書
『ヌー道 nude』
みうらじゅん 辛酸なめ子
新潮社 ¥1,980
ユニークなイラスト&エッセーで知られるふたりが、ロダンの「接吻」やゴヤの「裸のマハ」を皮切りに古今東西のヌード作品を語りつくす。おもしろ写真と忖度ゼロのおしゃべりに吹き出しながら読み進めば、作者や知名度ではなく自分の好みとセンスでアートを楽しむ視点が育つ。
鯨の歌、星の瞬きが聞こえてくる美しい絵本
『火守(ひもり)』
劉 慈欣 池澤春菜/訳 西村ツチカ/絵
KADOKAWA ¥1,650
不治の病に侵された恋人を救う唯一の方法は、孤島で火守をしている老人と天に昇り、星の輝きを取り戻すこと。人知れず世界を支える火守の使命感と主人公の覚悟が、コロナ禍のエッセンシャルワーカーと重なる。中国SF界の旗手による深淵な物語で、心の澱を洗い流そう。