ミュージカル『ガイズ&ドールズ』で初めてヒロイン役を演じる、明日海りおさん。宝塚時代同期だった望海風斗さんとの共演も話題に。望海さんとの出会いから、宝塚時代の思い出、演じることへの思いなどを語ってもらった。
運命の人・望海風斗との出会い、そして今再び
スカイのギャンブル仲間のネイサンを浦井健治、その婚約者でダンサーのアデレイドを元雪組トップスターの望海風斗が演じる。明日海さんとは同じ89期生で、豊かな歌唱力と演技で圧倒的な人気を誇った。
「寮で同室でしたから生活も授業もお弁当も一緒、もう運命的な存在です。望海は常に向上したい、そのためにどんな努力もできる人。その空気に触れて、ついていかなくちゃ、自分のいいところを見つけなくちゃと、私を自然にがんばる気持ちにさせてくれました」
しっかり者の望海さんという印象を受けるが、こんな一面も教えてくれた。
「同室のときのことですが、望海は寝ぼけ屋さんなところがあって。寮では部屋を一歩出たら服装の乱れなく礼儀正しくしなくてはいけないのに、牛乳パックを飲みながら部屋を出ようとしたので、洋服つかんで全力で止めたことがあります。これいってよかったのかな(笑)」
「同期の望海風斗は、昔から、私をがんばる気持ちにさせてくれた人」
明日海さんは’14年に花組の、そしてその3年後に望海さんも雪組のトップスターに就任する。
「入団したてのころは先輩の舞台を見てキャーッていっているだけだったのに、いろいろな経験を経ていくと、すべての神経がとがってきて、自分の組をもっとよくしたいという気持ちになるんです。お互いの舞台を見にいって、あそこは踊りにくそうな人がいるから教えてあげなきゃとか、あの衣裳はちょっと短く見えるかもとか、あの場面すごくよかった、どうやって作ったの?など、お互い感想を交わしたりしたものです。食べられてる? あの栄養ドリンクがよかったよ、と体調も心配し合って。同期同士だからこそ、本当のところどう思う?という話がしやすくて、そういう存在がいることが本当にありがたかった」
そんなふたりの、それも女性の役同士でのデュエットシーンもありそう。これはどうしたって見逃せない。
「望海は入学したころから声がすでにまろやかで、歌のうまい人が大勢いる中でさらにこんなにすごい人がいるなんて、と。そして今、いっそう努力して男役の声から女性の声に、それもどんどんアレンジしているのがすごい。そんな望海と今回一緒に舞台に立てるのが楽しみでしかたないです」
お芝居する人でよかった──何物にもかえられない瞬間
明日海さん自身、舞台だけではなくドラマでの活躍も目覚ましい。宝塚時代を知らないファンも急速に増えている。演じることへの思いに変化はあるのだろうか。
「それがですね、やればやるほど舞台と映像はまったく違うと感じています。舞台人としての山を登ってきて、その先にまた山があるのだろうと思っていたらとんでもない、今はまったく別の峰を一から登っている感じ。使う筋肉も声も感覚もまるで違いますし。舞台なら明日はこうしてみようとすぐにやり直しができた。でも映像は撮ったものを見るのがずっと先だし、やり直しのチャンスがいつになるのかわかりません。どうしてあのとき自分はできなかったんだろうと、今は悔しい思いばかりしています」と、両手をギュッと握り締める。でもその思いすらバネに、明日海さんは鮮やかに進化してしまうのだ。
「ぜーったいに次はこうするぞと思ったことを全部メモに書いています。そしてそれが少しずつかたちになっていくのが今は楽しいですね。そしてなによりも、相手の俳優さんと目と目を合わせ、台詞を交わし、そこで初めて生まれた感覚。それはもう何物にもかえられなくて。その瞬間、生きててよかった、お芝居をする人になってよかったと心から思えるんです」
明日海さん出演のミュージカル
『ガイズ&ドールズ』
’30年代のニューヨーク。大物ギャンブラーのスカイに仲間のネイサンは、「指名した女を落とせ」という賭けを持ちかける。自信満々のスカイだが、なんと相手は清純で超堅物の救世軍軍曹サラだった。スカイとサラ、ネイサンとアデレイド、2組のカップルの恋の行方は?
6/9~7/9、東京・帝国劇場にて。博多公演あり。