年齢を重ねた今だからこそわかる、伝統文化の美しさ。大人の和稽古、今回はスタイリスト青木貴子さんの茶道の稽古の様子を取材した。日本の文化がつまった茶道は、自分の人生をより豊かにしてくれる。
「集中して、無になれるから、絶大なデトックス効果あり!」
きものを着たくて始めた茶道。季節を感じられるのも魅力
小雨が降る都内某所、スタイリストの青木貴子さんは、淡い色調になでしこの花が描かれたきもの姿で現れた。
「お茶は10年以上習ってるんですけど、去年からなるべくお稽古もきもので行こうと思って。お茶を習おうと思った理由のひとつに、きものを着る機会を増やしたいというのもありました」
青木さんが師事しているのは、裏千家茶道正教授の桜井宗幸先生。友人の紹介でこのお稽古場に通いはじめた。
桜井先生は凛としたたたずまいでありながら、朗らかな笑顔とユーモアに富んだ会話でいつも和やかな雰囲気。青木さんのお点前(てまえ)を見て的確にアドバイスをしていく。所作は見た目の美しさだけでなく心がこもっていることが大事。
「お稽古場では、季節感あふれるお軸やお花、道具などに触れられます。仕事柄、夏に秋冬ものを扱うなど、とかく季節が狂いがちなので、“今の季節”が実感できるのも魅力のひとつです」
この日、お稽古場の軸は滝、お点前に使った平茶碗に描かれていたのはなでしこ。偶然、青木さんのきものとおそろいだった。
「茶道には日本の文化がつまっています。茶道の“道”は、自分の人生をより豊かにしていくための道。日本文化を見直す機会にもなり、無限の可能性を秘めています」(桜井先生)
お茶を点(た)て、すっとさしだす青木さん。平茶碗は夏によく用いられ、いかにも涼しげ。千利休は「夏はいかにも涼しきように。冬はいかにも暖かなるように」という言葉を残している
きめこまやかな泡を立てられるかどうかがおいしい抹茶の決め手で、なかなかむずかしいもの。「家でお菓子を買ってきたときに、自分で抹茶を点てることがあります。お菓子もさらにおいしく感じられます」(青木さん)
桜井宗幸先生の稽古場。桜井先生が季節に合わせて軸や花、茶道具を選んでおり、それを拝見するのも楽しみのひとつ