「本との出会いをつくりたい」「読書の喜びを再認識するきっかけになれば」との思いから始まった文芸エクラ大賞。期待の作家の新作、心に染み渡るエッセー、海外の話題作など、各賞に輝いた5冊を紹介。
【エッセー賞】
つれあいが亡くなるとはこういうことなんだ……、と初めて実感した
――書評担当編集 K野
『月夜の森の梟(ふくろう)』
小池真理子
朝日新聞出版 ¥1,320
ともに直木賞作家でおしどり夫婦としても知られた小池さんと藤田宜永さん。藤田さんに病が見つかってからの日々や彼のいない今をつづったエッセーには、静かな筆致ながら抑えきれない悲しみが。
【外国文学賞】
宇宙に取り残された主人公と異星人とのコミュニケーションがユニーク!
――書評ライター 細貝さやか
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
アンディ・ウィアー
小野田和子/訳 早川書房
上・下巻 各¥1,980
記憶喪失状態で目覚めたグレースは、自分がなぜ宇宙にひとりでいるかを思い出す。次々にトラブルに見舞われるもののなんとかクリアしつづける彼の前に異星人が現れるが……。映画化が予定されているエンタメ大作。
【短編賞】
結末に驚かされる話、人生の不可思議さを感じる話など、読み返したくなる短編ぞろい
――書評ライター 山本圭子
『ばにらさま』
山本文緒
文藝春秋 ¥1,540
バニラアイスみたいに白くて冷たい恋人の本心。極端な倹約生活を送る主婦の過去。中学の同級生の遺族から意外な形見を託された女性のその後。さまざまな女性の人生模様を鮮やかに描いた短編集。
【期待の作家賞】
家族という「くるま」から降りられない女子高生。家族っていったい何⁉
――書評担当編集 K野
『くるまの娘』
宇佐見りん
河出書房新社 ¥1,650
芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』の著者の新作。高校生のかんこ一家は久しぶりに車中泊をしつつ、祖母の葬儀へと向かう。そこで浮き彫りになる家族のままならない関係とは。家族の根源を見つめた意欲作。
【斎藤美奈子賞】
「落ち度はない」と主張する加害者にメスを入れ、性暴力の問題点を鋭く指摘
――文芸評論家 斎藤美奈子
『生皮 あるセクシャルハラスメントの光景』
井上荒野
朝日新聞出版 ¥1,980
咲歩には小説講座の講師・月島から肉体関係を迫られた過去が。7年後彼がマスコミで注目されると咲歩は……。加害者と被害者だけでなく周囲やSNSの反応も描いて性暴力の土壌を明らかにした小説。