エクラ編集部がセレクトした一気読み必至の“絶品ミステリー”を紹介。最新ミステリーにも注目作が続々登場。
崩壊寸前の家族
『朽ちゆく庭』
伊岡 瞬 集英社 ¥1,980
かつての高級住宅地に引っ越してきた山岸家は一見普通の家庭。しかし父の陽一は会社でトラブルを抱え、母の裕実子は勤務先の上司と関係があり、ひとり息子の真佐也は不登校。ある日真佐也は、なにかと噂のある近所の少女に声をかけるが、それが事件の引き金に。家族の秘密は果たして明らかになるのか。家族の崩壊は避けられないのか。終始緊張感が漂う心理サスペンス。
意外なラストに仰天!
『ペッパーズ・ゴースト』
伊坂幸太郎 朝日新聞出版 ¥1,870
ヒット連発の伊坂さんの魅力がつまった長編は、ファンにも初心者にもおすすめ。中学教師の檀には、くしゃみなどで他人の飛沫が体内に入るとその人の未来が少し見える能力が。ある日教え子から「父と連絡がとれない」と相談されたことから事件に巻き込まれるが……。根底にあるのは人間にとって普遍的なテーマだが、軽妙な会話と鮮やかな場面転換でぐいぐい読ませる。
謎の女の過去を追う!
『朱色の化身』
塩田武士 講談社 ¥1,925
ライターの大路はガンを患う父の依頼で辻珠緒という女性について調べはじめる。彼女と自分の親族に関係があったらしいと知った大路は、珠緒の周囲にいた人々に話を聞くうちに、彼女の人生に福井県の芦原温泉で起きた昭和の大火災が影響を及ぼしていることに気づく。調べれば調べるほど、違う顔が見えてくる珠緒。彼女の本当の姿にたどりつくラストは感涙必至!
標的は宝塚スター
『ダンシング玉入れ』
中山可穂 河出書房新社 ¥1,760
タイトルの意味がわかったら宝塚通だが、知識がないかたでも大満足の殺し屋小説。孤高の殺し屋の新たなターゲットは男役のトップスター・三日月傑。任務のため、彼はヅカオタの協力員とともに三日月の私生活を探るが、知れば知るほど三日月は男前だった! クールな雰囲気で始まる物語だが、しだいにクスクス笑いが止まらなくなる。オタ精神への理解も深まる一冊。
スパイの得意技はチェロ
『ラブカは静かに弓を持つ』
安壇美緒 集英社 ¥1,760
橘の勤務先は全日本音楽著作権連盟。演奏権侵害の証拠をつかむため、上司に命じられて音楽教室に潜入してチェロを習いはじめるが、彼はある事件の影響でチェロにまつわるトラウマを抱えていた。音楽教室の講師や仲間に橘の身分がばれる日はくるのか。チェロは孤独な橘をさいなむのか、それとも救うのか? 最後までハラハラドキドキが止まらない、新感覚のスパイ小説。
二転三転する猟奇的殺人
『チェスナットマン』
セーアン・スヴァイストロプ 高橋恭美子/訳
ハーパーコリンズ・ジャパン ¥1,430
デンマークのコペンハーゲンで若い母親をねらった連続殺人事件が起きるが、現場にはなぜかチェスナットマン(栗で作った人形)が。しかもそこから検出された指紋は1年前に誘拐された女性政治家の娘のもの。刑事のトゥリーンと相棒のヘスは懸命に捜査するが…。事件の背景がわかるとやりきれなさで胸が締めつけられそうに。働く女性の姿もリアルな北欧ミステリー。