リノベーションなどで空間をデザインするとき、インテリアデザイナーの行正り香さんが特に大切にしていることが4つある。せっかくなら、より美しく居心地のいい空間にしたいもの。この4つを意識するだけで、完成度の高い仕上がりになる。
《Point1》大きな面積からまず考える
洋服ならコートが目立つように室内でも大きな面積のものが当然目立つ。そこにお金をかけるのがおすすめ。特に大きな面性を占めるのが壁、天井、床だ。床はラグを敷いてしまうという手もあるが、壁、天井はあとから替えると大がかりになるし、毎日目にし、インテリアの印象を左右する大切なもの。とかく大きなものは後回しにしがち。でも日ごろから大きなもの、例えば家具ならテーブルやサイドボードから決めていく習慣をつけるといい。
写真提供/行正さん
行正さんが手がけたO邸のキッチン扉の色を決めるためのサンプル。なるべく大きなサンプルで、できれば原寸サイズに塗って色を決めている。
《Point2》キーカラー、サブカラーを決める
手持ちのアートや洋服、持ち物などを見直してみると、家主の好きな色、キーカラー、サブカラーとなる色が見えてくる。もちろん好きな色が明確な人はその色に。キーカラーが決まるとアイテム選びもスムーズに進み、その色を空間に繰り返し使うことでリズムや統一感が生まれる。キーカラーを基調にカラーパレットを作るのもおすすめ。市販のカラーチャートを見ると、反対色や同系色がわかるので、それを参考に配色を決めていくと失敗がない。
《Point3》曲線を取り入れる
行正さんがデザインの中に必ず取り入れるのが“曲線”だ。人間が心地いいと感じるものには必ず曲線が入っているが、家の中は空間も家具も、放っておくと直線だらけになってしまう。だから意図してデザインに曲線を取り入れることを心がけ、家具も曲線のあるものを選ぶようにしているそう。ただし、天井や壁を曲線で仕上げるためには職人さんの技術力も必要。そのぶんコストもかかるのでしっかりと計画し、取り入れることをおすすめする。
行正さん宅の天井にも曲線を取り入れている。漆喰(しっくい)で壁・天井を仕上げると曲線がつくりやすい。やりすぎは幼い印象になるのでバランスが大切。
《Point4》フォーカルポイントを決める
フォーカルポイントとはその空間で一番最初に目に入る、目を引きつけるもの。できればアート、鏡や照明などでもいい。リビングの顔となるフォーカルポイントを失ったまま西洋化してきた日本では、リビングで一番目立つのが巨大なテレビ、つまりフォーカルポイントがテレビとなっている家が多いのが現実。フォーカルポイントをテレビにしないためには、デザインを工夫して隠す、移動可能なテレビにする、プロジェクターにするなどの手も。
撮影/川上輝明
行正さんの自宅やスタジオのフォーカルポイントはアート。この部屋はアートのブルーを家具にも取り入れている