後半の人生を楽しむために、理想の環境に住み替え、料理家・インテリアデザイナーの行正り香さん主導のもと、リノベーションをしたOさん。スペースはコンパクトに、暮らしの質は格段にアップしたキッチン&ダイニングをご紹介。
■DATA
延べ床面積:約70㎡
築年数(居住年数):17年(2.5カ月)
大通り沿いで窓をあまり開けられなかったマンションから、同じ区内の見晴らしのいい高層マンションへ買い替え、リノベーション。息子は独立し、夫婦、娘の3人暮らし。
家の隅々まで光が入る空間に。メリハリをつけてコストダウンも
廊下が広くなり、玄関まで明るくなって開放感も増した。壁の漆喰は白にピンクを混ぜて仕上げた
Before
写真提供/行正さん
玄関を入り、少し進むと廊下の幅が狭くなっていた。そのせいもあって玄関やその横の部屋まで光が回らず、暗い印象に。廊下の幅を広くすることで玄関まで光が回り、廊下としてだけでなくエントランスホールのようなゆとりのある空間を目ざした
取っ手やドアノブは真鍮色につけ替えた。扉の色とデザイン、取っ手やドアノブが変わっただけで、こんなにも印象が変わるのに驚く
Before
写真提供/行正さん
リノベーション前の洗面カウンター。鏡やカウンタートップはそのまま再利用。収納部分の扉や手前のパウダールームの扉には、モールディングを施し、白くペイントして再利用した
リビングの壁面収納は右から夫用、テレビやAV機器、Wi-Fiルーターなど用、妻用と分けている。夫婦の収納部分には本や書類などが。奥行きを浅くし使いやすくした。
ガラスブロックの奥が寝室。ここに布団を敷いて寝ている
LDKとつながり、部屋の延長のように使えるよう、バルコニーにはウッドデッキを敷いた。テーブルとチェアを置き、天気のいい日にはお茶を飲んだり、お酒を飲んだりできる気持ちのいいスペース。
飼っている文鳥のグレーの羽とピンクのくちばしと、持っていたアートから、行正さんがこの家のキーカラーを提案した
遮熱と遮光も兼ね、ロールスクリーンを設置。窓前に垂れ壁をつくり、隠せるように。
最後に選んだというサイドボードはローズウッド材を用いた北欧ヴィンテージ。アルネ・ヤコブセンによるポットチェアはローズピンクの張り地に。テーブルはプランナーコーヒーテーブル
毎朝喜びを感じられる理想の暮らしがスタート
間取りは3LDKから1LDKに変更。見晴らしのいい窓に面した大きなLDKをつくり、そのぶん寝室はコンパクトに、収納はたっぷりと、とメリハリをつけた。キーカラーを基準に、キッチンの天板やタイルの色、チェアの張り地や家具の色を決め、空間全体が美しく調和するように。壁は漆喰塗り、床は足ざわりのいいカーペットを選び、照明にもこだわった。一方で玄関の下足入れや洗面所の収納扉、建具などはそのまま再利用し、モールディングをつけて色を塗り替えるなどしてコストダウンを。収納は持ち物を体積で計算し、きちんと収まるぶんの収納場所を確保するのが行正さん流だ。
「思い出のあるものは大切です。でも、ものが外に出たまま美しく暮らすのは至難の業。いかに捨てずにきちんと収納できるかを考えます」と行正さん。引っ越しの際にスムーズに作業できるよう、収納の地図まで描いてくれたのにはOさんも感激したそう。当初は独立するはずだった娘も「ここに住みたい」と設計途中から急遽3人で暮らすことに変更。“好き”を追求した終のすみかに住みはじめ、暮らしの質も気持ちも大きく変わったという。
「朝起きて窓を開け、新鮮な空気を吸うことがこんなにも気持ちがいいのだと知りました。料理をするのも楽しく、毎日家族で喜びを噛み締めています」