「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」の創立者 ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック&ラムダン・トゥアミ夫妻の“パリのイマジネーションあふれる家”〈前編〉

歴史のある一軒家の改装を手がけたのは、クリエイティブ・ディレクターのラムダン。彼は“部屋から部屋へと旅をし、各ドアを開けるとサプライズが待っている家”を構想した。それはヴィクトワールいわく、“ハッピーハウス”。魅力あふれるお家を、彼女がご案内。

クラシックとポップが交錯する内装でのライトモチーフは、円形、曲線と、鮮やかな色

ヴィクトワール・ ドゥ・タイヤック

ブランディングから内装、グラフィック、プロダクトや服のデザイン、そしてブティックやホテル経営までと幅広く、常に斬新なアイデアで人々を驚かせる、ラムダン。それらのプロジェクトは、テイストと企業精神をシェアするパートナー、ヴィクトワールの助言と創造性があってこそ、可能になる。夫の大切な着想源のひとつは、フランスの由緒ある家系に生まれ育った妻のヘリテージ。だから過去にはキャンドル・メーカーのシール・トゥルードンの刷新、休業していた老舗、ビュリー復刻での成功例に見るように、クラシックのモダンな再解釈は、このドリーム・チームのシグネチャーだ。夫妻&3人の子供たちと、大型犬種のボブテイル、トントンの住まいとして3年前に購入・改装したこの家は、彼らのプロジェクトの延長線上にあった。

「ここを最初に訪ねたときは、それまでのオーナー、かの有名なシナリオライターの故ジャン=クロード・カリエールの、本やアートにあふれていました。私たちを迎えてくれたのは彼の妻と、その友人で自宅の改装中にここのゲストルームに住んでいた、キャロル・ブーケ。この逸話にも惹かれたし、すぐにハッピーなバイブを感じたんです」と、ヴィクトワールは語る。夫妻がすぐに購入を決めると、ラムダンは500㎡、3フロアに広がる各部屋の配置や大きさはそのままに、インテリアデザインにとりかかった。根底のアイデアは、11の部屋のいずれのドアも背後にサプライズを秘めること、そして世界観を違える部屋から部屋へと移動すると、旅をしたような気分になること。


「ラムダンは住まいを変えるたびにすべてを刷新したい質なんですよ。私の祖母の形見の家具、いくつかの絵画、アート作品や花瓶などを除いて。彼が新しいアイデアを熱っぽく語るのに耳を傾けるのを、私はいつも楽しんでいます。新たに彼が買い付けたたくさんの家具やオブジェから、この家に合うものを私も一緒に選びました」。ヴィクトワールはこう語る。

ラムダンは、キッチンのデザインでは箱をイメージし、床から壁、天井までを特製のテラコッタで敷きつめた。ただしタイルはすべて同じではなく、花のモチーフが描かれていたり、ややいびつだったり。左側の流しやコンロ、オーブンをまとめたユニットのステンレスには壁が反射し、いっそうドラマティックに

ラムダンは、キッチンのデザインでは箱をイメージし、床から壁、天井までを特製のテラコッタで敷きつめた。ただしタイルはすべて同じではなく、花のモチーフが描かれていたり、ややいびつだったり。左側の流しやコンロ、オーブンをまとめたユニットのステンレスには壁が反射し、いっそうドラマティックに

ライトにはミッドセンチュリーのものを選んで、重厚な雰囲気の"箱"に軽やかさを与えた

ライトにはミッドセンチュリーのものを選んで、重厚な雰囲気の“箱”に軽やかさを与えた

パリ9区にある家の外観。

パリ9区にある家の外観。「緑あふれる中庭に面しているから、カントリーハウスのように感じられます。一歩外に出ると、このピガール地区では、朝は子供連れの家族、夜はナイトライフを楽しむ若者、と常に違う雰囲気でにぎわっているのもおもしろいですね」と、ヴィクトワール。家自体は1900年ごろのつくり

ともとサウナとジャクジーがあった地階は、改装してプールに。ヴィクトワールはここで毎朝泳ぐ。"獰猛なサメに注意"とつづられたモザイクは、ラムダンのユーモア。壁はリビングに空を描いたのと同じ劇場用舞台美術職人が、グラデーションにペイントした。左の壁にはラムダンのコレクションから、1964年東京オリンピックのポスターを

もともとサウナとジャクジーがあった地階は、改装してプールに。ヴィクトワールはここで毎朝泳ぐ。“獰猛なサメに注意”とつづられたモザイクは、ラムダンのユーモア。壁はリビングに空を描いたのと同じ劇場用舞台美術職人が、グラデーションにペイントした。左の壁にはラムダンのコレクションから、1964年東京オリンピックのポスターを

白の蛇腹は、なんとヴィンテージのヒーター

白の蛇腹は、なんとヴィンテージのヒーター

ヴィクトワール・ ドゥ・タイヤック
ヴィクトワール・ ドゥ・タイヤック
パリで’97年から20年続いたコンセプトストア、コレットの立ち上げ時のプレスとして、キャリアをスタート。その後自身のPRオフィスを設立、コスメティックやフレグランスの専門誌やセレクトショップを手がける。’14年に、クリエイティブ・ディレクターの夫ラムダン・トゥアミとともに、オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーをスタート。

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撮影/Karel Balas ⒸYounes Klouche pour ARI 取材・原文/Minako Norimatsu ※エクラ2025年11月号掲載

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