【ソフィー・ブイエ=デュマの美しきボタニカル・ライフ】《前編》庭づくりの背景にある物語

植物をこよなく愛するあまり自らイギリス式庭園を構想し、果ては花や種をモチーフとするジュエリーのデザイナーとなった、ソフィー・ブイエ=デュマ。彼女と家族の週末の家と庭では、草木や花、ファブリックやオブジェのひとつひとつが、ストーリーを語っている。

前編となる今回は、庭づくりにまつわる家族のヒストリーを紹介。

庭づくりの背景にあるのは、家族にまつわるストーリー

パリに居を構えつつ、フランス北部・ノルマンディで週末や休暇を過ごして、ジュエリー・デザインのインスピレーションを受ける、ソフィー・ブイエ=デュマ。彼女の世界は、植物への愛と探究心から成っている。まずは、彼女が自ら構想した庭と、ボタニカル・インスピレーションあふれる別宅の由来について、語ってくれた。

「19世紀末建造のこの家は、伝統的なコロンバージュ(この地方に特有な、組み木が外壁にあらわなつくり)が魅力です。ただし30年前に母家とまわりの敷地を義父が購入したとき、庭は荒れ果てていました。私と夫はイギリスの植物学者で庭園デザイナーでもあるマーク・ブラウンのアドバイスを受けつつ、この地に育つ品種を選んで植樹し、15年かけて木や花を育てたんですよ」。ソフィーはこう回想する。ちなみに義父とはエルメスの家系に生まれ、’70年代末から30年近くもの間、同社のトップを務めた名士、故ジャン=ルイ・デュマのこと。一方ソフィー自身の先祖はシルバーウエアの老舗、クリストフルの創始者。だから彼女は古きよきものへのリスペクトやデザインの感性、クラフツマンシップへの理解を自然と身につけた。

 そんなソフィーがノルマンディ別宅に配したのは、19世紀の銀食器からモダニスト家具まで、年代やスタイルが異なる数々のアンティーク。大切にしているのは、家族から受け継いだオブジェや、懇意にしているアーティストの絵画の一連だ。一方、書棚やソファに選んだのは、シンプルなデザイン。エルメスのホームコレクションからは、ジオメトリックなモチーフを取り入れた。また、「この家を愛した人が使っていたものを全部捨てるわけにはいかなかった」と、前の住人が残した家具の一部も取り入れた。

別荘の離れのアトリエでの、ソフィ ー。ここでひとりになって絵を描い たり庭や絵画の本に見入ったりする と、創作意欲をそそられるそう

別荘の離れのアトリエでの、ソフィー。ここでひとりになって絵を描いたり庭や絵画の本に見入ったりすると、創作意欲をそそられるそう

アトリエは、庭にあった離れの山小屋風 の建物を原型のまま生かして

アトリエは、庭にあった離れの山小屋風の建物を原型のまま生かして

アトリエ からの眺めは、広大な麻の野原。その先に は、ソフィーの散歩コースである海岸への 道が広がる

アトリエからの眺めは、広大な麻の野原。その先には、ソフィーの散歩コースである海岸への道が広がる

母家の一角。ウィリアム・ モリスの壁紙を背景に額に収めたのは、夫 の祖父であるロベール・デュマによるデッ サン

母家の一角。ウィリアム・モリスの壁紙を背景に額に収めたのは、夫の祖父であるロベール・デュマによるデッサン

母家の庭で、自家菜園でとれた菩 提樹の葉を使ってティータイム。シルバー のティーポットは、クリストフル

母家の庭で、自家菜園でとれた菩提樹の葉を使ってティータイム。シルバーのティーポットは、クリストフル

ピアス

麻の種子の殻を原型とした、ミラステラのローズゴールドのピアス。ミラステラのジュエリーは日本ではARTS&SCIENCE青山(https://arts-science.com/stores/aoyama/)にて取り扱い 

紫陽花

庭の紫陽花園より、紫陽花の中でも最も古い品種のひとつ、アメリカナ・ジャメシアナから派生した、マクロフィリア・テッラブーロ。ミラステラの最初のジュエリーの着想源

アトリエ内部。ハンス・ウェグナーの椅子

アトリエ内部。ハンス・ウェグナーの椅子はロンドン在住のころ、フリーマーケットで見つけた。左奥の肘かけ椅子は、実家で母が読書の際に使っていたもの

書棚

リビングにある書棚には、植物やアートの本が並ぶ。ブリキのおもちゃは、ソフィーの夫ピエール=アレクシィ・デュマが子供のころ、父ジャン=ルイ・デュマからもらったもの

作業机

アトリエの作業机には、アマチュア園芸家だったソフィーの母と、彼女が手がけたイギリス式庭園の写真が

本

デュマ家とブイエ家のストーリーを語る本の数々。「ミニアチュール」と呼ばれる携帯用の小さな肖像画に描かれたのは、ソフィーの先祖

Sophie Bouilhet-Dumas●ソフ ィー・ブイエ=デュマ
Sophie Bouilhet-Dumas●ソフ ィー・ブイエ=デュマ

パリでシルバーウエアの老舗「クリストフル」の家系に生まれる。キャリアの初期には、ロンドンの磁器メーカーやエルメス、ポール・スミスなどでオブジェのデザインを手がけた。建築家で家具デザイナー、ジオ・ポンティが祖父の叔父だったことから、’18年にはパリ装飾芸術美術館で「ジオ・ポンティ」展を企画・構成。同年に自身のジュエリーブランド「ミラステラ」をローンチ。夫はエルメスのアーティスティック・ディレクター、ピエール=アレクシィ・デュマ。

撮影/Tom Mannion 取材・文/Minako Norimatsu ※エクラ2026年4月号掲載

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