古くは北前船の拠点であった大阪には多くの昆布がもたらされ、だし文化を育んできた。大阪湾や瀬戸内海の海の幸、河内平野の野菜など食材も豊富。そして全国から商人が集まる都市として料亭文化や美食家を育む土壌となったことも、「食の都」といわれる理由だ。「天下の貨たからの七分は浪華にあり」といわれた浪速のパワーと魅力を感じに、いざ出陣。
大人の街、船場。 人情と美味がまじわる大阪料理の新星
伏見町 栫山
江戸時代、商人の街で全国の中心として栄えた船場に、ひときわ目をひく端正な門構え。「市中の山居を目ざしています」と、店主・栫山(かこいやま)一希さん。店内も、聚楽壁や網代天井など、数寄屋建築の意匠を凝らし、茶室にいるような緊張と心地よさに包まれる。栫山さんは、古い文献を読み解き、大阪料理を研究。コースにも温故知新な大阪の味が盛り込まれている。大阪料理は食材をむだなく使いきる、今でいうSDGsな“始末の料理”とされているが、こちらでも食事の最後に、始末の料理の象徴というべき船場汁が登場。ここでは上方文化の本質「こうと」(質素だが上質)と、人と人との温かいまじわりを五感で感じられる時間になるに違いない。
コースの最後に登場する焼き物と土鍋で炊いた白ごはん、船場汁。船場汁とは、船場の伝統料理で、魚のあらを利用した汁物。こちらではその日のコースを作る際に出た魚のあらや野菜の端材のみを使い、作られる。急須に入った船場汁を白ごはんの上にかけ、お茶漬けのようにいただく
真昆布、マグロ、カツオでとっただしを使った吸い地はコクのある大阪らしい味わい。野ぜりとフグの白子の椀
むだな装飾がなく、凛と美しいカウンター
この日の焼き物は明石の鯛。通常、カウンターから厨房は見えないが、コースの終盤に小窓が開けられ、炭床で魚を焼いたり、土鍋でごはんを炊く光景が見えるようになる演出も粋
たらの芽やふきのとうなど、苦味のある山菜に雲丹が好相性。「春の山野菜と伊勢エビと雲丹」
神戸や大阪の日本料理店で修行後、’21年、39歳で独立
料亭文化が息づく船場。かつては茶道・藪内家の稽古場があった場所であり、茶人のこころを大切にしている。コースでは、気持ちを落ち着かせる小吸い物から始まり、茶懐石に倣う煮えばな、最後には薄茶も供される。
●大阪市中央区伏見町2の4の12
☎06・6228・3007
18:00一斉スタート 土・日曜のみ昼営業あり、12:00一斉スタート 不定休
昼¥15,000~、夜¥25,000~(ともに別途サ10%)