まだ知らない魅力、この季節にしかない楽しみがある「京都」。寒さになじんでおいしさを増す美食が続々と登場。美食家の間で評判の新店から、「二條みなみ」を紹介。
二條みなみ
割烹仕込みの気くばりと端正な料理に心がほどける
非日常に誘う石畳の路地を抜け店に入ると、網代天井や土壁、唐紙を使った建具など、数寄屋大工や左官をはじめとする職人の仕事を感じる凜と美しい空間に。カウンターで腕をふるうのは、昭和35年創業の名割烹『祇園川上』で今は亡き先代の時代から25年勤めた南建吾さん。カウンターからも見えるレンガ造りの炭床で焼き上げる幽安焼きや目の前でひく明石の鯛の造りなど、目利きの確かさと円熟した技、季節を感じる器選びで、おなじみの料理でさえも記憶に残るおいしさに仕立てていく。
『祇園川上』時代は、場所柄、旦那衆も多かったが、自身の店では女性客や年配客も増え、野菜の炊き合わせを必ず盛り込むなど、お酒を飲まなくても楽しめる、体にしみわたる優しいコース展開に。最後には薄茶も供され、ゆったりとした時間を過ごすことができる。
「割烹の醍醐味であるお客さまファーストなスタイルは継承したい」と、要望に合わせてコースの量を調整したり、包丁の入れ方を変えて食材のサイズを小さくしたり、料理内容を変えたり、柔軟な対応や気くばりもうれしいかぎりだ。
兵庫県・香住や間人(たいざ)で水揚げされたセコガニ。足身や卵、みそも余すところなく甲羅盛りに。漁期が11月から12月末までと短く、これからの季節だけのお楽しみ
一番だしで鴨を炊き、薄味ながら滋味深い。だしと鴨のうま味を含んだ焼き粟麩や湯葉もしみわたる。鴨の治部煮
鯛かぶらは2名分を赤絵の大鉢に盛りつけ、食欲がそそられるビジュアルに。甘辛味ではなく、だしがベースの上品な味わい
店主・南建吾さん。カウンター前のまな板は一段高く、手もとまでしっかり見え、目を楽しませてくれる
手入れの行き届いた植栽も美しい石畳の路地奥にひっそりたたずむ一軒家。数寄屋風情あふれる店内の奥には坪庭も。落ち着いた空間に、漆塗りのカウンターも印象的だ
Data
京都市中京区二条通寺町東入ル榎木町92の12
☎075・221・5025
17:30~20:30(入店)
定休日 日曜(ほか不定休あり)
カウンター8席
コース¥18,000~
要予約