羽衣のような軽やかな天ぷらを楽しめる天ぷら店が増えている。天ぷらの最高峰を味わいに、この冬は出かけてみませんか。
てんぷら前平
計算しつくされた味の濃淡と食感で。ワインやシャンパーニュとともに
東京・麻布十番『てんぷら前平』ではタネにより油のブレンドを変えて揚げる。
「絹さや」(上)は束ねて、サラダ感覚で召し上がってほしいと、シャキシャキとした食感を残す。コースの中ほどに登場、口直し的な存在。
「帆立」(下)は3段階の火入れかげんが絶妙
スペシャリテのひとつ、「芽ねぎと小柱」。芽ねぎのパンチある味に小柱の凝縮感あるうま味と歯応えが呼応する。芽ねぎの香りが飛ばず、火入れで縮まないよう、のりで巻いて
締めは「天丼」で。細切りにしたごぼうとしょうがに衣をまとわせ、からりと揚げて浅あさ葱つきとともにごはんに混ぜる。穴子の天ぷらをのせて
天丼用に揚げたごぼう。時間を少しおいたほうが、カリリとした食感になるのだとか
前平智一料理長。『山の上ホテル』で、ミッドタウン東京店、本店で各々9年間、料理長を務めた。「天ぷらで大切なのは1に油、2に食材、3は店の雰囲気」と語ってくれた
麻布十番の駅からほど近く。
無垢材のカウンターがすがすがしい店内。ソムリエがいるので、日本酒からワインまで、お酒のリストも充実している
心地よい空間で、達人の技が繰り出す洗練の味を
店主・前平智一(ともかず)さんが揚げる天ぷらは、油の力で食材の風味が最大限まで引き出され、衣の存在を感じさせないほど軽やかだ。
天ぷらの名門『山の上ホテル』で本店の料理長を任された技術を土台に、「最後まで心地よく召し上がっていただくため、枠にとらわれない考え方をしています」という。例えば、コースの最初に海老が登場するのは天ぷら店のお決まりだが、ここでは白身魚やイカから軽快にスタート。魚介と野菜を交互に揚げていく。食材の選び方や下ごしらえの方法、揚げ方など、風味を引き出すためのアプローチは多彩でこまやか。例えば、帆立の貝柱は、火をしっかり入れる&半生&生の3段階に揚げる。岡山で見つけてきたごぼうは、店で2カ月も寝かせ、うま味を凝縮。ピーマンはヘタと種まで丸ごと揚げたいから、産地まで足を運んで小ぶりのサイズを生産者にオーダーしている。一方、2種類のごま油をブレンドし、異なる温度に加熱した2つの揚げ鍋を使うのは、『山の上ホテル』の手法を踏襲。
伝統を守りつつ、モダンに進化した洗練の味。店主の優しい語り口と相まって、居心地のよさもお店の魅力となっている。
DATA
東京都港区麻布十番2の8の16 ISIビル4F
☎03・6435・1996
17:00~20:30LO
㊡日曜、祝日
カウンター9席
要予約
コースのみ¥25,300
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