旬の食材のおいしさを引き立てる料理「天ぷら」。羽衣のような軽やかな天ぷらを楽しめる天ぷら店が増えており、今の職人さんたちは、さらなる高みを目ざし、さまざまな工夫を凝らしている。今回は、液体窒素を使った新感覚の天ぷらに挑む話題店「天ぷら 元吉」をご紹介。
天ぷら 元吉
四季を繊細に意識しながら、固定概念を覆す“新感覚づくし”
1本目の「海老」。衣は薄く。塩で食材の味を直球に感じる。海老の自然な姿を器にのせる。
2本目の「海老」は、ふんわり揚げて天つゆで
「大葉うにのせ」。うには揚げないで、風味をそのままにキープ。大葉だけ揚げることで、口の中で天ぷらとして完成する
お店のシグニチャーでもある「さつまいも」。手をかけて揚げていくことで、さつまいもの甘味を引き出している
液体窒素に冷やしておいた小麦粉をふるい入れると、粉がサラサラに。これに溶いた卵と、弱酸性水もしくは中性水を加えて衣とする。油は玉締め絞りのごま油、コーン油、菜種油をブレンド。誰でも作れるように、衣の作り方をSNSで公開している
美しい杉箱に食材を並べて、揚げる前にプレゼンテーション
元吉和仁料理長。天ぷら店のほか、老舗料亭や割烹でも修業。その経験がすべて生かされて今に
器などは元吉さんが長年集めてきた、中川自然坊、丸田宗彦、中川一辺陶などの作品を惜しげもなく使っている
「揚げる」という技法で旬の食材を極上の味に
店内に足を踏み入れれば、6.5mもある一枚板のカウンターに、京都の職人が手塩にかけた中庭が迎えてくれる。桜や桃、栗の材で特注した箸には、月ごとの模様を刻印し、空間でも季節を感じていただきたいと、しつらえに心を砕く。
「天ぷらは料理というより、調理法と考えています。揚げるという手法で食材のポテンシャルをいかに引き出すか。日々研究ですね」と店主の元吉和仁さん。その探究心はとどまるところを知らない。衣作りでは、液体窒素に小麦粉をふり入れ、卵液用の水は2種類を使い分ける。海老は2本揚げるが、1本目は衣を薄くして素材をストレートに表現。2本目は衣を厚めに、食材を衣の中で蒸し上げ、ふんわりした食感を味わってもらう。最近、巷で流行(はや)っているうにの天ぷらは、大葉を揚げて生うにをのせ、「口の中でミックスし、天ぷらにしてお召し上がりください」という。生うにの風味がしっかり感じられ、揚げた大葉と絶妙なコンビネーション。さらに、さつまいもの独特な揚げ方は特許をとったほど。固定概念にとらわれず、新しい世界を切り開く。ぐい呑みを100個も集めるほど力を入れているお酒も一緒にぜひ。
DATA
東京都渋谷区恵比寿西2の8の11 3F
☎03・6455・0200
17:30~20:00、20:30~23:00の二部制
㊡日曜、および月曜または水曜
カウンター8席 要予約(1カ月前から受付)
コースのみ¥28,000~(サ別)
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