東京では、江戸前の魚介を揚げるのが最高の天ぷらとされてきたが、今の職人さんたちは、さらなる高みを目ざし、さまざまな工夫を凝らしている。数多くの天ぷら店の中から、今回は若き職人の期待の新店「てんぷら 拓」を紹介。
てんぷら 拓
軽やかさを追求するため紅花油を。魚介と野菜を交互に供し味わいに変化
インテリアを白で統一し、モダンで清潔感にあふれる店内。「よい素材を手に入れるには、仲買さんに認めてもらわないと」と増田拓実料理長は豊洲市場に1日おきに通う
海老はまっすぐに揚げず、自然な姿に。コースは天ぷら12品、天丼、デザート
「しいたけ」。肉厚のものを選び、芝海老をたたいて詰めて。きのこの濃厚な香りが印象的
「うに」。のりで巻き、ほぼレアに仕上げるため、さっと揚げる。うま味と香りが口の中ではじける
「帆立」。中心はレアに。貝柱の甘味が濃密
「天丼」は三つ葉と芝海老、れんこんをかき揚げに。青柚子の皮をすりおろし、さわやかな風味をプラス。しょうゆ漬けの卵黄を添えて
素材に小さな工夫を施し、よりおいしく、より驚きを
今年2月に埼玉・春日部から神楽坂に移転。店主の増田拓実さんは、旅館の厨房や和食店で修業を重ね、天ぷら店での経験がないという異色の経歴の持ち主だが、そのセンスと味のよさで評判に。「東京で勝負したくて」と、熱い思いを抱き、同地に店を構えた。若き料理人のこの熱意に打たれて応援するゲストも多いのだろう、すでに人気店となっている。
増田さんが天ぷらで目ざすのは「軽やかさ」。冷やした炭酸水で卵を溶き、空気を含ませた作り立ての衣を使う。そして、衣はできるかぎり薄くまとわせる。そのため、サクッ、カリッとした口当たりに。紅花油を使うのも、クセがなく軽く揚がるから。冬になり、味のしっかりした食材を使う場合だけ、食材に負けない力のあるごま油をプラスする。タネへの工夫も繊細だ。しいたけに海老をしのばせ、天丼にしょうゆ漬けの卵黄を添える。さつまいもは4時間も蒸し焼きにし、皮をむいて揚げるなど、和食の料理人としての経験と技を存分に生かしている。
花街独特のしっとりした空気が漂う石畳の路地を入ってすぐ。ロケーションのよさも訪れる楽しみのひとつ。
DATA
東京都新宿区神楽坂3の1 KARUKOZAKA PLACE501
☎070・8934・7269
18:30一斉スタート(日曜のみ昼12:00一斉スタートもあり)
㊡月曜
カウンター8席 要予約
コースのみ¥17,600(サ別)
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