ファインダイニングから大衆酒場、バーや角打ちまで、日本全国を食べ歩く。ライター佐々木ケイがリアルに食べた、飲んだおいしい店を紹介。2月は、10年通う店、10年通いたいと思った店の2軒。
全国津々浦々、豊かな経験による独自の切り口で取材、執筆。その守備範囲は食、酒、旅をテーマに、飲食店、生産者、酒類、ホテル等と幅広い。JSA認定ワインエキスパートで、特にイタリアワインに詳しい。シェフやワイン関係者からの信頼も厚い。『éclat』をはじめ、『BRUTUS』など連載多数。
Instagram:@sasaki__kei
私にとってのレストランの教科書。
「ル・コック」東京・恵比寿/フレンチ
毎年、1年の最後の食事は恵比寿の『ル・コック』さんと決めている。
職業柄、たくさんのレストランへ食事に行くし、外食に仕事もプライベートもない日常だけれど、この時間は特別で、すごく純粋に、自分のための食事を楽しんでいる。
料理はいつもおまかせでお願いし、シャンパーニュを1本ボトルで頼んで、あとはメインディッシュに合わせてグラスワインを頂く流れも決まっている。一緒に行く友人もいつも同じ。スペシャリテのスモークサーモンに象徴されるように、料理はとてもシンプルで、佇まいも静謐だ。圧倒的な技術に裏打ちされながら、レシピだけ、技術だけでは作れないおいしさが、毎回心を震わせてくれる。
口うるさい料理人やワイン関係者仲間にもとてもファンが多いのだけれど、理由がよくわかる。シェフとマダム、おふたりが紡がれる穏やかで優しい時間に身を委ねて、一年無事に過ごせたことを感謝し、自分の成長のなさを反省し、また1年後、お邪魔できることを願って外食納めとする。いや1年後じゃなくていいし(本当はもっとお邪魔したい)、多くの友人たちに「一緒に行こう」とせがまれてもいるのだけれど。
スモークサーモン。食感はしっとり柔らか。シブレットが香るクリームとともに。
初めて食べたボラの白子! トマト、ケッパーなどのソースはイタリア料理のようでも。
もう一つのスペシャリテ、鶏の塩釜焼き。数年に一度、予約時にお願いする。
塩味が染み渡った柔らかな鶏のおいしさ。ブールブランソースで。
デザートはモンブラン。1年の最後のお皿がこのモンブランで本当に幸せだと思う。