金沢が常に輝き続ける理由のひとつに、芸術や文化を生み出し、高める、心の豊かさがある。美しいもの、新しい考え、技の探究……。「金沢21世紀美術館」館長の鷲田めるろさんが、今の金沢のアートを紐解く。
刺激を与え続ける、進化する金沢の象徴
館内の恒久展示作品、パトリック・ブラン『緑の橋』にて。
「街がコンパクトゆえ、工芸から食までジャンルを超え、文化度の高い人々が濃密につながっているのも金沢の魅力です」。
’25年4月「金沢21世紀美術館」館長に就任した鷲田めるろさん。開館時から長くキュレーターとしてかかわり、7年ぶりに帰還。
「伝統の街、金沢に最先端の作品で刺激を与え、活性化することが使命。開館から21年、当初斬新だった作品も見え方が変わります。常に先端を伝える意識が生命線。原点に戻り、若い感性を生かしたいと考えています」。
一方で培った金沢人脈を生かし、街と美術館をつなぐ役割も担いたいと語る。
「茶道の影響で工芸のジャンルも多彩。食も含め、工芸は金沢に来た人をもてなすためのもの。それがこの地の工芸のポテンシャルです。親密なハレの場向きの、華やかで艶(つや)がありつつも品を失わない点が特徴。世界的にも現代アート界では工芸が注目されており、両者の境界線はさらに溶け合っていくでしょう。その意味でも金沢のアートは可能性が高まっています」。
©︎Kanazawa City
12月13日からの貴重な文化財の展示『ひと、能登、アート。』、現在開催中のSIDE COREの展示で能登にも寄り添う。’27年5月〜’28年3月は設備補修のため休館予定。休館中は街でのアート展示など、特別な催しも計画中