金沢が常に輝き続ける理由のひとつに、芸術や文化を生み出し、高める、心の豊かさがある。美しいもの、新しい考え、技の探究……。「ひがし茶屋街」近くで、ギャラリー『スクロ』を営む塚本美樹さんが、今の金沢のアートを紐解く。
街との調和を意識して、行方を見守る
「ひがし茶屋街」近くで、自身がキュレーションするギャラリー『スクロ』を営む塚本美樹さん。彼の一日は実に多忙だ。金沢の隣接する津幡町で朝は父親、午前中は米作り、午後は金沢に移動し、経営するギャラリーやアンティークショップ、台湾料理店の仕事を行う。
「この生活にシフトして、視野が広がりました。外からも、発信する側としても、金沢を俯瞰で見るようになりました」。
出会いや発見を受け入れ、考えがおよびやすい伸びやかさが金沢の個性であり、文化が育つ環境ととらえている。街を愛するからこそ気になることも。
「最近少しつくられた舞台のように、パッケージ化されつつあるように思います。ギャラリーは人が行き交う通り沿いの、築100年以上のもとは油・塗料問屋の建物。夜もライトをつけるようにしています。金沢の景色の一部としての自覚をもっていたいので」。
この秋開催された北陸発の工芸の祭典「GO FOR KOGEI2025」のコレクティブアクションによる大麻布のインスタレーションを、ギャラリー『SKLo』の空間で特別展示。農業にも勤しむ塚本さんは「布と人間との親密な関係、そして野良着の素朴さと平面美に惹かれた」と共感。