金沢が常に輝き続ける理由のひとつに、芸術や文化を生み出し、高める、心の豊かさがある。美しいもの、新しい考え、技の探究……。陶芸家、建築家として、ハイブリッドな作品作りを行うアーティストの奈良祐希さんが、今の金沢のアートを紐解く。
震災が与えてくれた、響き合うアートで世界へ
「家族の生き様に触れられる大切な場所」と、生家にある樹齢500年の名木「折鶴の松」にあいさつを忘れない。伝統を背負いながらも多才ぶりを発揮。
今夏移転した、田川真澄シェフによる金沢の人気ビストロ『フィルドール』(Instagram:@fildor_kanazawa)もデザイン。店名が意味する“金の糸”から、天井を飾る約3万本のストリングスが風に揺らめく自然の風景を作り上げた。
360年余の歴史を誇る金沢の茶陶の名門「大樋焼」の家に生まれ、陶芸家、建築家として、ハイブリッドな作品作りを行うアーティストの奈良祐希さん。伝統にとらわれないモダンな作品で、ショーメやオーデマ・ピゲ、ポルトローナ・フラウといった海外ブランドとも協働。
また陶芸の代表作『ボーンフラワー』をアルミ素材で表現した、大阪・関西万博のパブリックアートでも話題を呼んだばかり。「万博の作品は“能登への眼差し”をイメージしました。手と手を合わせたようなフォルムで、支え合う構造になっています」。
そこには母のルーツが能登にあることも影響している。「震災は大きなきっかけになりました。乗り越える過程で学びやチャンスがあり、新しい表現も生まれた。ネガティブなばかりでなく、ある
意味感謝もしています」。