素材は上質で、手間は最小限。ちょっと贅沢なものを、少しだけいただく「大人のごちそう鍋」。大人の本当の贅沢を知っている料理店の店主が、家ごはんならではの自由なレシピを伝授。
教えてくれたのは
神楽坂『石かわ』店主 石川秀樹さん
「わが家にお客さまをお招きしたときの鍋をご紹介しましょう。牛肉や蛤の鍋は、肉や貝を楽しんだ後、そのうま味を野菜にまとわせるのがコツ。酒粕の鍋は私の故郷・新潟の味。どれも素材の味を満喫できるようシンプルな仕立てです」。
牛肉と香り野菜のしゃぶしゃぶ
だしは上品で洗練された万能合わせだし“八方地”で。さわやかな酸味の“酢じょうゆ”で味変を。
「厚め(すき焼き用くらい)の上質な牛肉を用意すれば、食べ応えがあり、充足の食後感に。野菜は全部そろえなくても、あるもの数種類でも。同じサイズに切れば、見た目も美しく食べやすいです」
材料(2人分)
牛肉(薄切り)…300〜400g
●八方地
だし…600mL
薄口しょうゆ…大さじ1強
みりん…小さじ2弱
酒…小さじ2
塩…2つまみ
●香り野菜
せり(根つき)…適量
長ねぎ…適量
みょうが…適量
ごぼう…適量
三つ葉…適量
牛肉は脂身の少ない赤身がおすすめ
厚みのある牛肉に、野菜はたっぷり、追い野菜も用意して。せりだけ、ごぼうだけといった超シンプル仕立てにしてもよい。せりは根つきのものをぜひ! 味変に柚子こしょうもおすすめ。
作り方
❶せり、三つ葉は5㎝ほどの長さに、長ねぎは斜め薄切りに、みょうがは縦に切ってから斜め薄切りに、ごぼうはささがきにして水にさらし、水気をきる。
❷八方地の材料を鍋に合わせ、強火で沸かす。
❸火を弱め、牛肉と香り野菜をしゃぶしゃぶしていただく。そのままでも、味変に酢じょうゆでも。
Memo
八方地のかわりに、「いったつみとらどう」の「万能極み出汁」を使用してもよい。
味変は「酢じょうゆ」で
しょうゆ、みりん…各20mL
酢…15mL
柚子の皮のすりおろし…適量
タラと白子の酒粕鍋
新潟では、酒粕+白身魚の組み合わせが定番。
「酒粕を溶き入れ、素材に火が入ったら火を止めてしばらくおくのがおいしく仕上げるこつです。素材と酒粕がなじんで味に深みが生まれます」。
寒さ厳しい夜、酒粕の鍋で体を温めつつ一献を。
材料(2〜3人分)
タラ…2 切れ
白子…200g
かぶ…2 個
だし…130mL
酒粕…60g
塩…2つまみ
柚子…適量
作り方
❶タラはひと口大に切る。白子は水で洗い、すじを取り除く。かぶは皮をむき、食べやすい大きさのくし形に切る。
❷鍋にだしを入れて沸かし、酒粕を溶き入れる。塩を加える。
❸①を入れ、具材に火が通ったら火を止めて、しばらくおいておく。食べるときに温め直し、柚子の皮の細切りを散らす。好みで七味とうがらしをふっても。
Memo
隠し味として、酒粕を溶くときに白味噌、田舎味噌などを少し加えるのもおすすめ。
蛤の鍋
この鍋の食べ方の極意は「蛤の殻がパカンと開いたら間髪入れずにすくって食べます」。
ひとり20個くらいは食べられるとか。蛤だけを楽しんだあと、貝のうま味が溶け出しただしで軟らかく煮た白菜をどうぞ。
材料(2〜3人分)
蛤…40〜60個
昆布…5×5cm 1〜2枚
白菜…適量
作り方
鍋に水適量と昆布を入れて沸かし、蛤を3〜4個ずつ入れて、殻が開いたらスープごといただく。蛤を全部食べ終わったら、スープの味をみて、足りなければ塩(材料外)を加えて調整する。食べやすく切った白菜を入れ、火が通ったらスープと一緒にいただく。
Memo
締めのおすすめはラーメン、卵雑炊など。
用意するのは、蛤と白菜だけ
蛤は小粒のほうがおいしい。鍋に入れ、殻が開いたらすぐに食べること。まずは蛤だけ食べてしまい、そのスープと白菜をくたくたになるまで煮てゆっくり楽しむ。
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