美しい手仕事「ラグ・フッキング」に魅了されて【大人の食欲と好奇心を満たす、カナダ/プリンス・エドワード島⑥】

【Web限定連載⑥】プリンス・エドワード島の伝統工芸を今に伝える三姉妹。彼女たちが織り成す美しいラグを手にしてみると……。

美しい手仕事「ラグ・フッキング」に魅了さの画像_1

島の伝統的なクラフト、ラグ・フッキング。そのぬくもりが、見た目にも伝わる。

その昔、プリンス・エドワード島の女性たちの冬の楽しみだったものといえば、ラグ・フッキング。フック(引っ掛ける)という名のとおり、紐状に細長く切った布を、台布となる麻の布地に引っ掛けてラグにしあげてゆく伝統工芸だ。完成したラグは底冷えする冬の床に敷く防寒アイテムであり、おしゃべりをしながら針を動かすラグ作りは、楽しい習慣でもあった。

今でこそ専用の素材を使って仕上げるラグ・フッキングも、かつては、着古したコートや擦り切れた毛布が材料だった。じゃがいもを詰めていた黄麻袋を台布にし、そこに、細長く切った端切れを鈎針で編み、コツコツと仕上げてゆく。ときには、端切れは草で染めて色付けもされていたという。

美しい手仕事「ラグ・フッキング」に魅了さの画像_2

完成品のほか、素材となるウールの毛糸も販売。

伝統的なデザインのモチーフは、キャベンディッシュ・パターンと呼ばれる幾何学模様。「赤毛のアン」の舞台のモデルとなったといわれるキャベンディッシュ村で作られていたことから、そう呼ばれている。

一見するとやや地味に見えるけれど、これはかつての暮らしが反映されている証。昔はありあわせのものを再利用していたため配色に選択肢がなく、おのずと幾何学模様が主流になったのだとか。近代はカラフルな材料が手に入るようになったこと、また、生活必需品から趣味として作るものに変わり、島の美しい海や赤土の畑がデザインされるようになった。

そんなラグ・フッキングを今に伝えているのが、シャーリー、ヘザー、ベティーの三姉妹。「パスタイムズ・ピーイーアイ」というショップで、美しいラグを取り扱う。

店内では完成品のほか、下絵が描かれた台布やキットも販売している。シンプルだけど温かみのあるデザインは、まるでアンが暮らした世界を表現しているかのよう。プリンス・エドワード島の手仕事に触れれば、いつしか優しい気持ちになるから不思議だ。

図柄を描いた台布の下から毛糸を鈎針で引っ張り上げ、図柄を埋めてゆく。
伝統的なキャベンディッシュ・パターンと呼ばれる柄。
灯台や住宅、花や動物など、島の自然をデザインしたラグの数々。
日本ではあまり知られていないラグ・フッキング。実際に体験してみると、その面白さが分かる。
木造の可愛らしい一軒家が目印。庭ではアヒルが元気に飛び回る。

【ショップ情報】
パスタイムズ・ピーイーアイ
PASTIMES PEI

7 6278 Georgetown Rd, Vernon Bridge, PE
電話番号 0902-651-2763

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撮影/織田桂子 取材・文/芹澤和美 取材協力/プリンス・エドワード島州政府観光局、エア・カナダ

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