三ツ星料理人の極意は、組み合わせの妙とうま味&香りにあり! ミシュラン三ツ星店「虎白」料理長・小泉瑚佑慈さん が、冬の贅沢素材を使った“気分が上がる鍋”レシピをご紹介。
気分が上がる鍋
「食材や調味料の組み合わせの新鮮味。うま味と香りをいかにうまく出すか。この2点に留意して、少しだけ贅沢な鍋を考えてみました」(小泉さん)。三ツ星料理人の極意は、組み合わせの妙とうま味&香りにあり!
【小泉さんの鍋THEORY1】かつおだしをベースに素材のうま味を引き出す
ベースの「だし」はすべてかつおと昆布のだし。これに、食材のうま味を引き出してプラスし、「おいしさの素もと」をしっかり作ってあげる。これが三ツ星鍋の成功の秘訣!
【小泉さんの鍋THEORY2】素材の香りを引き出し、スパイスで香りづけ
「香り」は大切。エビや鶏肉の皮目、牛肉を焼く、にんにく、しょうが、花椒などは炒める──下ごしらえで、香りを存分にきわだたせれば、味がしっかり決まる!
【小泉さんの鍋THEORY3】食材と薬味の組み合わせの妙を存分に楽しむ
いつも同じ組み合わせではつまらない。冷蔵庫の材料を新鮮味のある組み合わせで。薬味使いも忘れずに。プロの料理人の取り合わせをご紹介。
エビの辛味鍋
エビは必ず有頭殻つきを。殻ごと焼いて、香りをしっかり出すのがコツ。薬味は炒めることで風味がさらにアップ。
【材料(4人分)】
エビ(有頭殻つき) ..............8尾
長ねぎ.................................2本
厚揚げ.................................1枚
温泉卵(市販)......................4個
A
しょうが(みじん切り) ..........小さじ1
にんにく(みじん切り)...........小さじ1
赤とうがらし(小口切り) .......1本分
ごま油.................................大さじ3
ラー油.................................適量
八方だし
だし..................................1ℓ
薄口しょうゆ.......................40㎖
みりん...............................35㎖
【作り方】
1.エビは背わたをとる。長ねぎは斜め薄切りにする。厚揚げはグリルまたはオーブントースターで焼き、8等分にする。
2.鍋にごま油とAを入れて弱火にかける。香りがたったら、エビを入れてよく焼きつける。
3.2に八方だしの材料を入れる。沸いたら、1の厚揚げと長ねぎを入れ、火が通ったら温泉卵を入れる。仕上げにラー油を回しかける。
【親奉行ポイント】
薬味の風味をしっかり引き出してから、エビをよく焼きつける。殻の香ばしさが出て、魚介のくさみが消える。うま味も出るので、必ず有頭殻つきのエビを使うこと。
帆立としょうがの塩鍋
優しい味わいの組み合わせだから、隠し味に薬味をしのばせて、仕上げに黒こしょうで味を引き締める。
【材料(4人分)】
帆立貝柱(刺身用)...................................8個
白菜......................................................1/4個
豆腐(絹ごし)........................................1丁
だし.....................................................1ℓ
塩........................................................15g
しょうが(すりおろし)............................小さじ1
にんにく(薄切り).................................1片分
黒こしょう............................................ 適量
【作り方】
1.白菜は食べやすく切る。だしを鍋に入れて沸かし、塩、しょうが、にんにく、白菜を入れる。
2.白菜が軟らかくなったら、8等分に切った豆腐と帆立を入れてさっと火を通し、黒こしょうを挽きかける。
【親奉行ポイント】
コクと香りを出すために、しょうがはすりおろして、にんにくは薄切りに。にんにくはすりおろすと、風味が効きすぎるので、薄切りにしてほんのり効かせるのがコツ。
金目鯛の姿鍋
金目鯛の華やかな姿を丸ごと鍋に。締めの雑炊や麵のかわりにしらたきを加えてボリュームアップ。
【材料(4人分)】
金目鯛.......................................1尾(約600g)
長ねぎ.......................................1½本
香菜..........................................1束
しらたき....................................1袋
八方だし
だし..........................................1ℓ
薄口しょうゆ...............................40㎖
みりん.......................................35㎖
【作り方】
1.金目鯛を霜ふり(熱湯を全体にかける)にする。
2.しらたきは熱湯にさっと通し、ザルに上げ、食べやすい長さに切る。
3.長ねぎは芯をとり、白髪ねぎにする。香菜は根を切り、粗みじん切りにする。
4.鍋に八方だしの材料を入れて沸かし、1 の金目鯛、2 のしらたきを加える。金目鯛に火が通ったら3 をのせて火を止める。
【親奉行ポイント】
しらたきでボリュームアップ。これで、締めの雑炊や麵いらずに。しらたきは、細めのものを使ったほうがおいしい。金目のだしでいただくしらたきはおかわり必至!
鶏肉とかぶのみぞれ鍋
鶏肉は皮目に焼き目をつけて香りを出して。柚子こしょうを最後に溶き入れ、各自で、塩ウニをのせるのが味の決め手。
【材料(4人分)】
鶏も肉...............................................1½枚
かぶ.................................................5個
かぶの葉...........................................3個分
A
だし....................................................1ℓ
薄口しょうゆ.........................................40㎖
みりん.................................................35㎖
水溶き片栗粉........................................小さじ2
柚子こしょう....................................... 適量
塩ウニ................................................1瓶(約60g)
サラダ油..............................................適量
【作り方】
1.かぶは皮をむいて2個は4等分に切り、3個はすりおろす。葉は小口切りにする。
2.フライパンにサラダ油を入れて中火にかけて熱し、鶏肉の皮目を焼き色がつくまで焼き、ひと口大に切る。
3.鍋にAを入れ、1 のかぶのすりおろしを加え、水溶き片栗粉を加えてとろみをつけたら、2 の鶏肉と1 の4等分に切ったかぶを入れる。火が通ったら、かぶの葉をのせ、さっと火を通す。
4.3 に柚子こしょうを溶き入れ、器に盛る。塩ウニを各自のせていただく。
【親奉行ポイント】
各自で取り分けたら、瓶詰めの塩ウニをたっぷりのせてどうぞ。ウニの風味が優しい味を引き締める。塩ウニは、スーパーで入手できるリーズナブルなもので十分。
和牛と花椒の香り鍋
牛肉は大ぶりに切ってうま味を味わう。花椒は煎って香りを出し、辛さとしびれる風味の大人味に。
【材料(4人分)】
和牛(シチュー用もしくはかたまり)
...............................350g
好みのきのこ..............3〜5種類×各1パック
(写真は、ひら茸、舞茸、えのき茸、やなぎ茸、あわび茸各1パック)
だし.........................1ℓ
赤味噌......................120g
春菊........................1/3束
花椒........................小さじ2+2
サラダ油...................適量
【作り方】
1.牛肉はかたまりであれば、大きめのぶつ切りにする。きのこ類は石づきをとるものはとり、大きめに切る。春菊は細かく刻む。花椒はすり鉢でする。
2.鍋にサラダ油と1 の花椒小さじ2を入れて弱火にかける。香りがたったら、1 の牛肉を入れて表面に焼き目をつける。
3.2にきのこ類を入れてさっと炒め、だしを加える。沸いたら赤味噌を溶き入れる。
4.仕上げに1 の春菊と花椒の残り小さじ2をかける。
【親奉行ポイント】
花椒はつぶすか、すり鉢ですって、油で香りが出るまで炒める。そこに、牛肉を入れて、すべての表面に焼き目をつける。牛肉のうま味が閉じ込められ、花椒のさわやかな辛味が合わさって、パンチのある味に。シンプルな鍋だからこそ、下ごしらえで手抜きしないように!
毛ガニと大根の白味噌バター鍋
毛ガニを丸ごと豪快に鍋に! バターを加えてコクをプラス。スープまでおいしい冬の贅沢味。
【材料(2 ~ 3人分)】
毛ガニ(生もしくはゆでたもの)...............1杯
大根...................................................1/4本
にんじん.............................................1/3本
せり..................................................1束
だし..................................................1ℓ
白味噌...............................................120g
バター...............................................50g
【作り方】
1.大根は4㎝ほどの長さに切り、皮をむいて縦4等分に切る。鍋に入れてひたひたの水(材料外)を加え、約10分下ゆでする。
2.にんじんはせん切りにする。せりはさっとゆで、食べやすい長さに切る。
3.鍋にだしを入れて沸かし、白味噌を溶き入れる。1の大根、毛ガニを入れて沸いたらバターを加える。2のにんじんとせりをのせてさっと火を通す。
【親奉行ポイント】
旬の毛ガニは生があれば、ぜひ生を手に入れて! 毛ガニのだしが出て、カニ味噌のうま味も溶け出したスープは、体にしみわたるおいしさ。バターを加えて風味をさらにアップ。
海鮮鍋
にんにく、赤とうがらしを炒め、素材すべてに焼き目をつけてから鍋仕立てに。少量のトマトでコクを加えて。
【材料(4人分)】
ゆでダコ....................2本
イカ.........................1/2杯
カキ.........................4個
ブロッコリー.............1/2個
ズッキーニ................1½本
しいたけ...................大2個
トマト......................小1個
にんにく(みじん切り)
............................1片分
赤とうがらし..............1本
白ワイン....................大さじ3
オリーブオイル............大さじ3
八方だし
だし..........................1ℓ
薄口しょうゆ...............40㎖
みりん.......................35㎖
【作り方】
1.ゆでダコはひと口大に切る。イカはわたをとり、ひと口大に切る。カキは流水でよく洗う。ブロッコリーは小房に分ける。ズッキーニはひと口大に切る。しいたけは石づきをとり、ひと口大に切る。トマトはサイの目に切る。
2.鍋にオリーブオイル、にんにく、小口切りにした赤とうがらしを入れて、弱火にかける。香りがたったら、中火にし、1のトマト以外をすべて入れて表面に焼き色がつくまでひっくり返しながら炒める。
3.白ワインを加え、八方だしの材料とトマトを入れて、具材に火を通す。
【親奉行ポイント】
南仏料理「ラタトゥイユ」の作り方にヒントを得た海鮮鍋。素材をすべてオリーブオイルで炒めてから、だしを加える。魚介のくさみが消え、香ばしさがアップ。
撮影/伊藤徹也 取材・文/海出正子 ※エクラ2019年2月号別冊掲載
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