須田菁華

金沢を訪れた際に是非訪れたい、江戸前期に作られた磁器、古九谷発祥時の工法を守り続ける唯一の窯元をご紹介。

須田菁華の画像_1

3代目デザインによる"色絵風船向付"。かつて富山の薬売りが、子供におまけで配った紙風船を創作のヒントに。菁華らしい遊びと黄・緑・赤・紺青・紫を駆使した五彩の妙、手のひらにすっぽりと収まる麗姿が味わえる

名窯に脈々と受け継がれる今に寄り添う"用の美"

凛とした白を品よく彩る紺青の濃淡が、手描きならではの余韻を残す。料理の和洋を問わず使えそう。(上)染付網代文皿、(下)染付葡萄文皿 

"染付色絵ぐい呑み" は、使い手の想像力をかき立てる軽妙なモチーフが。小付がわりに用いたりデザートを入れたりしても

人の手からおのずと生まれるいきいきとした表情に魅了

 江戸前期に作られた磁器、古九谷発祥時の工法を守り続ける唯一の窯元。店内に並ぶのは皿や鉢、土瓶、しょうゆ差しなど多種多様。その昔、欧米で人気を博したとされる細密かつ絢爛なジャパンクタニとは趣が異なり、おおらかな筆致と柔らかな色合いが目にとまる。4代目の須田菁華さんにうかがうと、古い絵柄も参考にしながら新しいデザインのものも多く作っているという。「私どもが作るのは、日常で使う手工芸。器ばかりが立派で、気にかかるのは本意ではありません」。伝統を継承する職人として仕事は確かにこなしながら、世に生み出す姿は謙虚でありたいとも話す。
 また、和食器のおもしろさは材料や調理法、盛りつけ方などが豊かな日本の食文化に応じられる形と色彩の幅広さだとも。初代に作陶の手ほどきを初めて受けたことでも知られる北大路魯山人も、“おいしいものをおいしく食べるため”の器作りに終始したという。手にとって眺め、気がつくと“どんな料理を合わせよう……”と思いがめぐる器。「気兼ねなく自然に、今の感覚で自由に使っていただきたいです」

須田菁華の画像_2

のびのびと描かれた枝葉やふくよかな形に、思わず和む"葉文土瓶"

店の軒先には、魯山人が彫った濡額(看板)が掲げられている 

「手をかけても、それをひけらかさないのが職人の仕事」と4代目の須田菁華さん。店内には山代の自然とともに息づき、"用" に徹した工芸の世界が広がる

加賀市山代温泉東山町4
☎0761・76・0008 
9:00~17:00 不定休
eclat3月号掲載 撮影/伊藤徹也 取材・文/高井法子

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