旅の醍醐味のひとつ“食”に特色のある宿を紹介。今回は、湯河原の緑深い高台にたたずむ『石葉(せきよう)』。自家源泉の湯につかって体を癒すのはもちろん、美しいもの、おいしいものに触れることで、心まで豊かに。多くの通人が定宿として名を挙げるのもうなずける。
鱧が本当においしくなる秋。ざっくり割いた松茸との鍋仕立てに
石葉(神奈川県・湯河原)
しつらえは上質にして、過剰なものがない。そうした空間に身を置く充足感は、年齢を重ねた大人ほどしみじみとわかるはず。
その美意識は、端正な料理にもよく表れている。素材の持ち味をきわだたせる、研ぎすまされた調理法による品々。主人の好みが映し出された器使いにもうなるばかり。
食事は夕・朝とも部屋出しで、安心していただける。
松茸と鱧をだしで味わう秋の鍋。旬の素材の味が直球で迫る。食材の魅力を引き立てる、美しい器の取り合わせもこの宿ならでは。
それぞれ異なる趣をもつ9つの客室では、野の花や掛け軸が季節感を添える。窓外の箱根の山々や紅葉彩る庭の景色にも心が和む。
鮮やかな黄瀬戸の器に映えるのは、イカとカワハギのお造り。真鶴漁港からの近海の魚介類が並ぶ。
献立は月替わり。相州牛のタレ焼きなど肉料理のおいしさも評判(撮影/中島伸浩)
全9室のうち6室に自家源泉かけ流しの檜風呂が備わる。眺めのいい大浴場も楽しみたい(撮影/中島伸浩)
●DATA
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上749
☎0465・62・3808
¥40,000〜(2名1室利用の1泊1名料金、夕朝食つき、サ込、税・入湯税別)
全9室(離れ2室、温泉風呂つき6室)
IN14:00 OUT11:00