本質的であることを意味する“エッセンシャル”と“マスキュリン”を組み合せた「エリン」というブランド名は、デザイナー・榎本実穂さんが目ざす女性像を端的に表している。潔いまでに大胆に取り入れた女らしいディテールは逆に男前なムードを醸し出し、スーツで使われるメンズライクな素材をかわいげなデザインに変化させることでジェンダーレスな魅力を放つ。そのさじかげんは新鮮な驚きを与えてくれる。
知性と強さをベースにすると大人の女性はもっと魅力的に
「曲線やスイートさといったわかりやすい甘さではなく、知的でヘルシーな、かっこいい女らしさが好き。着ることで背すじがすっとのびたり、袖を通したときにテンションが上がる服をつくりたいんです」と榎本さん。
’16年SSコレクションで登場したオフショルダートップスは、入荷とともに品切れという大ヒットを記録した。その後も毎シーズン話題となるitアイテムを発表しつづけている。
「本来女っぽい要素が強いオフショルダーをリゾート的に、ではなく大人の女性が都会で着るならどうなるかなと考えてつくりました。露出しすぎない計算されたディテールや張りのある素材選びで従来のイメージとは違う一枚になったと思います」(榎本さん)
そうした独自のバランスを生み出す秘密はどこにあるのだろうか?
「ひとつにはフレキシブルさにあるかもしれません。この生地なら普通はこういうアイテムをつくる、という固定観念が私にはあまりなくて。特にメンズの生地が大好きで生地屋に足しげく通っているのですが、私がとんでもないオーダーをさらっとするので毎回職人さんに驚かれています(笑)。私はメンズの生地も好きだけどレースも大好き。モノトーンもピンクも同じように扱う。すべてをフラットな目線で眺め、自由な発想でつなげ、理想の女らしさを生み出したい」(榎本さん)
マスキュリンなムードのジャケットとワイドパンツ、華奢な女っぽさを強調するキャミソールは、ブランドが始まって以来出し続けている定番。多面性のある魅力や遊び心を感じさせる服には、いくつになっても挑戦してみたいと思わせる魅力がつまっている。