花上手な人はプライベートではどんなふうに飾っているの? フローリスト、スタイリストなどセンスがいいと評判の5名の自宅をルポ。くつろぎの空間だからこそ、〝がんばりすぎず、シンプル〟が共通のキーワード!
1.自宅での花あしらいは余白を生かしてシンプルに
花のアレンジメントも、庭に面した大きな窓のあるリビングのインテリアも、好きなファッションも、すっきりシンプルがフラワースタイリストの増田由希子さん流。花への向き合い方も自然体で「仕事柄、いつもたくさんの花に囲まれていると思われがちですが、自宅では1種類の花をシンプルに飾ることが多いですね。庭で育てている季節ごとに咲く花やハーブ、グリーンを少しずつ。そのくらいのほうが私自身、落ち着けるんです(笑)」。
花を飾る場所を決めておくのもセオリーのひとつ。「わが家では玄関をはじめ、コンソールテーブルやキッチンなど4カ所ほど。定位置があることで掃除の習慣がつき、なによりも花がパッと視界に入ってくると幸せで心が満たされるのを感じます」
“1輪、1種類でも十分。フッとした瞬間、花を目にすることで心が癒されます”
ますだ ゆきこ●繊細さと大胆さをあわせもつアレンジメントと、自ら撮影するストーリーを感じさせる写真がインスタグラム(@nonihana_)で大好評。雑誌や花教室を主宰するほか、花器や照明の制作も手がける。著書も多数。
2.気取りのないアレンジには花器の趣と安定感も大切
花びらを幾重もまとうクレマチスが、おおらかな大鉢のスモーキーな色調としっくり。つる草は円を描くようにあしらい、クレマチスの茎を挿し込めば吸水フォームいらず。
壱岐ゆかりさんのお店『THE LITTLE SHOP OF FLOWERS』では色とりどりの花に囲まれていますが、家で飾るのは1種類が多く、混ぜても種類は控えめとか。
「仕事と子育ての慌ただしさもありますが、もともとシンプルなものが好きなんです。茎や枝はほぼ買ったときのまま長く残し、生けるのも無造作な感じに。整えすぎないほうがいきいき見えて、まわりの空気や気分をがらりと変えるパワーを感じますね」
花器もシンプルフォルムで味わいがある、作家ものやアンティークがお気に入り。「出会いはタイミングですし、長く付き合えるところにも惹かれます。そして、華奢な花にも枝ものにも合い、アンバランスにあしらっても揺らがない安定感といった使いやすさも意識して選びます」。
“花の姿を整えすぎないほうがいきいき見えて、空気も気分も一新”
いき ゆかり●インテリアのPR業を経て、’10年に花店『THE LITTLE SHOP OF FLOWERS』をオープン。草花の個性と向き合ったアレンジに定評があり、商業施設やパーティなどのプランニングも手がける。http://www.thelittleshopofflowers.jp/
3.フェミニンになりすぎないよう花の色や種類、花器でバランスを
大ぶりのガラスの花器に、紫系のライラック、千鳥草、クレマチス、赤系のスカビオサの花、ミントなどのハーブや葉ものを。リョウブでベースをつくり、大きなアジサイはあえて正面を避け、横向きに。
フラワー・グリーンスタイリストのさとうゆみこさんが好んで生けるのは紫系の花。「紫が入ると大人っぽくなり、シックな印象に。さらにボルドー、赤系の花を少し足すと、色がつながって陰影ができ、より奥行きが感じられます」。
そこにハーブや葉ものをたっぷりとあしらうことが多いとか。生けるときに心がけているのは、なにかしら男っぽさや毒っぽさ、大人っぽい要素を加えること。
「花ってそれ自体がとても可憐でフェミニンなもの。花材から花器まで、すべてをふんわりと柔らかくまとめるよりも、どこかピリッとさせたほうが、大人の女性にはしっくりくると思います」。エクラ世代が参考にしたい極意である。
“紫系の花とたっぷりのハーブや葉。少し辛口な要素を加えるのがコツ”
さとう ゆみこ●フラワー・グリーンスタイリスト。『green&knot』(http://malus.exblog.jp/)主宰。フラワーショップやイデーなどを経て、フラワーコーディネート、グリーンアドバイザーと植物にまつわる多方面で活躍。自宅ほかで教室も開催中。
4.居間のチェストで折々の草花を楽しみます
スタイリストの千葉美枝子さんは無類の草花好きで「小さいころから植物図鑑に首ったけだった」という筋金入り。横山美恵子さんの花の教室にも長年通い、花あしらいに磨きをかけている。
「ところがうちは狭いので、居間のチェストの上しか飾る場所がなくて。この上で、季節の草花やいろいろな花器のしつらいを楽しんでいます」
食まわりのスタイリストとして、陶芸家、ガラス作家の展示会や工房を訪ねることが多いが、「花器も必ずチェックします。花器を作っていないと知ると、がっかりするほど(笑)」。
花はもちろんコップや雑器にも生けられる、でも……と千葉さん。
「花瓶として完成した器は、草をざっくり入れても絵になってくれる。花を生けるのが楽しくなります。いい花器を持つことはおすすめです」
“花瓶に力があれば、無造作に生けても素敵なんです”
ちば みえこ●フードスタイリスト。有元葉子さんをはじめ多くの料理家の書籍や雑誌のスタイリングを手がける。5月31日~6月2日に東京・湯島の木村硝子店で、横山美恵子がガラスに花を生けるイベントを企画。
5.あの手この手で、花のある暮らしを味わっています
スタイリスト・城 素穂さん宅で、まず目をひかれるのは、ペンギンの形(?)の花器。
「陶芸家の小前洋子さんのものです。ほかにも持っているのですが、小前さんの花器はすごくいい! 枝ものも、シャクヤクやユリも、どんな花材も受け止めてくれる包容力があります」
城さんは花そのものも「容れもの」も好きな人。海外のアンティークや日本の作家ものなどのピッチャー、試験管形のガラスが宙づりになった花器に「今日はどう生けようか」と草花をあしらうことを楽しんでいる。
「でも、花瓶いらずの壁かけのスワッグも大好きです。植物の香りが部屋に漂って、しだいにドライになっていく姿もきれいで長く楽しめます」
“ピッチャーや試験管形の花器、好きな容れものに生けるのが楽しい”
じょう もとほ●’08年よりベルギーのレストランで食ともてなしを学び、帰国後、さらに磨きのかかった食とインテリアのスタイリングを。『大人のもてなし とっておきの時間 素敵な食卓』(講談社)の著書あり。
取材・文/向井真樹(増田さん分) 高井法子(壱岐さん分) 鈴木奈代(さとうさん分) 白江亜古(千葉さん、城さん分)