極上の鮨を求めて 海の幸の宝庫 福岡・富山の名店五選

新旧の名店がそろい、層の厚さは屈指の「福岡の鮨」と、富山湾の魚の魅力を生かす"職人技" に出会える「富山の鮨」。海産物に恵まれた2県のおすすめ鮨屋をそれぞれご紹介。

1.しつらえ、プレゼンテーション、 すべてで独自の鮨世界を演出 鮨 行天

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(左奥より)浜名湖産のアサリ、江戸前の太刀魚、淡路の鯖、天草のウニとイクラ。大トロと中トロは2貫づけで、1貫目をやや大きく、2貫目を小ぶりににぎって味わいの違いを楽しませる。米は小粒で、赤酢の風味がまろやか

入った瞬間、その世界観に圧倒される。ルイ・ヴィトンのスーツケースやラリックのクリスタルなど鮨店では見ない、しかし世界の一級品がカウンターを彩る。しつらえばかりではない。極厚切りの蒸しアワビ、にぎり方を変えて2貫供するマグロなど、とびきりの素材を香り、食感まで味わいつくせるよう趣向が凝らされ、終始驚きの連続だ。山口県の鮨店に生まれ、東京の名店で腕を磨き、’12年にこの店を開いた行天健二さん。レストランのエンターテインメント性と江戸前鮨の新たな可能性を示すにぎりで、またたく間に激戦区を代表する一軒に。

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行天さんは着流しにたすきがけといういでたち。一度故郷山口で開業し、’12年、勝負の場を福岡に移した

桑名産のシジミ。沸騰させないよう30~40分間加熱。汁にもうま味がつまっている

蒸しアワビ。小浜産。厚切りにすることで、余韻まで香りが続く

開業から2年でミシュランガイド福岡・佐賀版で三ツ星を獲得。現在、同ガイド唯一の三ツ星店。昼は2カ月先まで予約受付

店主を囲むようにしつらえられたカウンター 

福岡県福岡市中央区平尾1の2の12 
☎092・521・2200
18:00~20:30(最終入店)、土・日曜、祝日12:00~14:00 
不定休
昼夜ともおまかせ¥20,000(サ別)
カウンター10席 
完全予約制 ※夜の予約は約半年以降

2.鮨の町・博多の牽引役。 創業38年を迎える名店 吉冨寿し

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(左上から時計回りに)昆布締めの甘鯛、鱧、皮目を焼いてかぶを重ねたノドグロ、にんにく醤油を添えた鰆、アジ。魚は玄界灘をはじめ近郊の漁場から。甘鯛は1本釣り、アジも釣りアジと極上のもの。どの鮨ダネも味が濃く、食感も豊かでうま味の余韻が長い。丸みのある酢めしが鮨ダネと一体に

創業は1978年。店主の吉冨等さんは、懐石の世界から鮨職人に転身。当時、鮮度自慢一辺倒だった福岡の鮨に和食や江戸前鮨の仕事を取り入れ、"博多前鮨" の世界を築き上げてきたひとりだ。若い職人たちが敬意を口にし、遠方から訪れる年に一度の客も「ただいま」とくつろぐ様子に、その人柄がにじむ。かぶの昆布締めを重ねるノドグロ、にんにく醤油で香りづけする鰆など、魚に施す独自の仕事にけれん味はなく、練れた安心感が。欧文で書かれたネームプレートや吉冨さん自らが焼くモダンな器に、洒脱な気質も見え隠れする。

酒のあてにいいカラスミ大根

主役はあくまでにぎりで、つまみは2、3品にとどめる。旬のスマのたたき。関西以西ではヤイトガツオの名で知られる。オリーブオイルのさわやかな香気を添えて

地元『若竹屋酒造場』が醸す店オリジナルの日本酒も

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左から吉冨さん、スタッフの渡辺智子さん、吉冨さんとともにカウンターに立つ職人の川上勝久さん。和気あいあい、家族のような雰囲気

福岡県福岡市中央区舞鶴3の6の23サンハイツ舞鶴1F
☎092・741・3490 
12:00~、17:30~21:00 ※昼夜とも要予約、一斉開始。
㊡日曜、祝日
おまかせ 昼¥7,000・夜¥10,800(ともに税込) 
カウンター8席、テーブル6席

3.10年目を節目に心機一転。 久留米に根を張る福岡の雄 鮨 よし田

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(左から)対馬産の鯖、大間産のマグロ、唐津産の真鯛。築地から仕入れるマグロ以外は、九州の魚が中心。鯖は酢で締めて一日寝かせて味をなじませ、真鯛は昆布締めでうま味を凝縮させてからにぎる。4、5年前、米を古米から新米へ。現在は田植えから稲刈りまで手作業で栽培する佐賀の棚田米(コシヒカリ)を使用。酢は『横井醸造』の赤酢を用いる

やや厚めの鮨ダネは、ひとつひとつ、うま味に明確な着地点があり、小粒で米の甘味のある酢めしと調和する。緻密にしておおらかさを感じるにぎりは、店主・吉田健司さんの人柄を表すかのよう。開業は’05年。勉強にと食べ歩いた江戸前鮨に刺激を受けつつも、「九州の魚を生かす」というアイデンティティを貫き、自らのにぎりを磨いてきた。いつしか味が評判を呼び、県外からの客が大半に。昨年、10周年を機に店を改装。席数を絞って、ゲストとよりしっかり向き合えるしつらえにし、店は第2章に突入。今、味わうべき一軒だ。

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吉田さん。久留米の割烹寿司屋『鮨処 徳』で料理、鮨を学んだ

酒は『繁桝』や『若波』など地元の蔵の酒を中心にそろえる

蒸しアワビ。ゲランドの塩とおろしたてのわさびがふくよかなうま味を引き立てる

小鉢に酢めしと唐津産の塩水ウニを盛りつけた一品をつまみとして提供 

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福岡県久留米市六ツ門町20の10江利田ビル
☎0942・39・3367
17:00~23:00 
㊡月曜、月2回不定休
おまかせ¥12,000(サ別)
カウンター9 席

4.ご主人の個性的な鮨で "富山の海の幸" を存分に 鮨し人

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名物の「紅白のエビ」。白エビは昆布締めに。甘エビもとろけるおいしさ!

白エビと甘エビの「紅白のエビ」では、エビの味わいの違いに驚き、紅ズワイガニの鮨とノドグロの炙りのひと皿では味のコントラストに感動。木村泉美さんがにぎるのは、どこにもない"唯一無二の鮨"。意表を突いたプレゼンテーションと調和のとれた鮨の味に魅了される。その秘密は、苦心の末に生み出したというアルデンテの赤酢の酢めし。お米の芯を残しつつも、富山湾の新鮮なネタと合わせると、余韻の中に繊細な甘さが残る。「料理は理(ことわり)。自分の鮨もそうでありたい」とご主人。鮨好きなら、訪問はマスト!

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一心に酢めしを整えるご主人。奥さまのご実家の米と赤酢のみでつくられる

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イカとアジは1貫ずつ提供。噛むほどにうま味が広がる

ノドグロの焼き物と紅ズワイガニをひと皿に。ノドグロは香ばしくてジューシー、紅ズワイガニはみずみずしい味わい

コリコリとした食感の越中バイ貝。珠洲の塩とすだち、わさびで

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カウンターは、まるで舞台を見るかのような楽しさ。昭和の面影が残る風情ある一軒家。築地『やま幸』から仕入れる最上級のマグロもこの店の楽しみ

富山県富山市新根塚町3の5の7 
☎076・422・0918
12:00と13:15の2部制、18:00~21:30(最終入店)
㊡日曜 
昼¥3,000・¥4,000(10貫)・¥5,000(12貫)、
夜¥8,000・¥10,000・¥12,000
カウンター11 席、座席12 席(3名から利用可) 
要予約

5.足をのばして訪ねたい 優雅な味わいの名店 鮨 大門

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魚津のアオリイカを軽く炙り、ウニをのせて。ほのかな燻製香が鼻に抜ける

昆布締めにした甘エビには、甘エビのミソをちょっとのせて。今が一番おいしいという秋鮭のヅケは、はんなり優しい味。大門太郎さんの鮨からは富山湾の魚の滋味深さが伝わってくる。「繊細な脂の富山の魚に江戸前の仕事をして、自分らしい鮨をにぎりたい」とご主人。その優雅な味わいで『ミシュランガイド 富山・石川(金沢)2016 特別版』で一ツ星を獲得、富山きっての名店に。だしのジュレをあしらったモダンな印象のおつまみも絶品で、地酒と合わせれば、至福の気分に。

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店内にはすっきり、いい"気"が流れる。お店は魚津駅近く

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(左)おつまみの「平目のお造り」。かつおだしのジュレでいただく。(右)ふんわり、塩味の「カマスの焼き物」

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甘エビの昆布締めはエビの甘さがきわだつ

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秋鮭のヅケはこの時期ならではの逸品

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白エビにのせたのは花咲ガニの内子。贅沢な食べ方で、塩気と甘さのスパイラルにハマる!

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「小学生のころから鮨職人になりたかった」というご主人はまだ37歳。優しい笑顔が印象的

富山県魚津市釈迦堂1の2の3
☎0765・32・5868 
17:00~22:00(LO)
㊡月曜 
¥8,000~(つまみ8~10種。日によって品数が変わる) 
カウンター7席、小上がり2席、2F座席あり 
要予約
eclat11月号掲載 撮影/内藤貞保 エディ オオムラ 山下みどり 福森クニヒロ 伊藤徹也 大槻夏路 中島伸浩 渡辺一彦 取材・文/安齋喜美子 佐々木ケイ 西村晶子 小原誉子 北村美香 梁田智子 

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