牛肉好きが集まり、味にうるさい都・京都と、数多くの焼き鳥店がしのぎを削る福岡。日本有数の肉処である2つの街で特に注目を浴びている、唯一無二の個性と実力をもった肉料理店をご紹介。
1.全国の肉好きが一目置く、 絶対の鮮度とおいしさ 安参
赤身の刺身¥1,000。創業のころから付き合いのある業者から仕入れる長野や九州の厳選された和牛を使用
肉割烹の草分けとして知られる京都・祇園の『安参』。昭和23(1948)年の開店以来、厳選した牛肉の部位を一品で楽しませ、ここで京都の肉料理に開眼した人も少なくない。メニューは創業以来ほとんど変わらず、生と焼き、煮込みが中心。いただき方も同じで、肉の本来のうま味を味わうために、生からスタートし、味が濃い煮込みは最後と決まっている。「料理はすべて創業者の先々代が考案したもので、生の種類が少し増えたくらい。肉本来の味を楽しんでもらいたいので刺身抜きの注文はうちではありえません」と生肉に絶対の自信をもつ3代目の渋谷俊一さん。2代目に40年間仕え、スタッフとともに店の味を守り、長年通う常連もその目利きと腕に一目を置く。
玄関近くにかかる提灯がメニューがわり。目からウロコの肉料理が楽しめる
約70年、だしを追い足しながら炊き続けている名物の煮込み¥1,000~。下処理したさまざまなホルモンを毎日数時間炊いている
薄くスライスしたタンの刺身¥1,000。九条ねぎとからしをお好みで
祇園北側の路地にひっそり暖簾を掲げる肉割烹
先代の味を守り、5年前に店を継いだ3代目の渋谷さん
☎075・541・9666
18:00~22:00(LO)
㊡日曜、祝日
ひとり¥12,000~¥13,000が目安
カウンター22席、座敷あり
予約不可 カード不可
2.パリの名店の仕事を受け継ぐ 肉職人のステーキ ル・キャトーズィエム
ステーキ(100g)¥2,400~。写真のリブロース(750g)ほかさまざまな部位が
多めの油で焼く塊肉のステーキ。ガチッと焼き固められた表面は香ばしく、噛めば肉のうま味があふれだす。パリのステーキの名店『ル・セヴェロ』仕込みの茂野眞さんの肉焼き術は、料理界に多くのフォロワーを生み、塊肉ステーキの一大ブームを巻き起こした。その茂野さんが’13年に開いた店がこちら。京都に店を構えて以来、茂野ステーキはさらに進化中。きっかけは家族経営の近江牛生産者『木下牧場』との出会い。自然な飼料で時間をかけて飼育される和牛は、脂の融点が低く肉の味が濃厚。この牛に惚れ込み、枝で肉を仕入れ、熟成、解体も自ら手がけるように。パリの精肉店でも修業した茂野さんが枝肉から"育てる" 唯一無二の味。小さな店は常に満々席だ。
牛すね肉のテリーヌ¥1,500はじめ、ワインに合う肉の前菜もそろう
塩で味を決めるシンプルなステーキに合うワインがそろう。ボトル¥5,400~
多めの油で揚げ焼きにし、短時間で火を通す
河原町通り沿い、アーチ型の窓枠が目印
パリ『ル・セヴェロ』時代に解体など含め肉の扱いを学んだという茂野さん。六本木『祥瑞』シェフを経て独立
☎075・231・7009
12:00~13:30(LO、月・火・金曜のみ)、18:00~21:30(LO、土・日曜、祝日
16:00~21:30LO) ※材料が売り切れしだい終了。
㊡水・木曜 昼夜とも
アラカルトのみ、¥5,000が目安 カウンター4席、テーブル6席
予約がベター
3.自家菜園の野菜で作る料理と 今注目の日本ワインも充実 炭とワイン イル・フェ・ソワフ
大熊さんは大橋『鳥蔵』で修業し独立。左からレバー、テール、若鶏のもも。いずれも5本セット¥1,000より。山梨『四恩醸造』のワインは開業時から扱う。クレーレ2015はグラス¥850で提供。ほかボトルワイン¥3,200~
ワイン好きが高じて飲食店を始めた大熊雅也さん。「むずかしく考えがちなワインを気軽に飲んでもらうために」と、選んだのが焼き鳥だったというが、開業9年目の店は、福岡の焼き鳥好き、ワイン好きがすっかり知るところに。能登産珪藻土(けいそうど)の七輪で焼くふっくらとした焼き鳥は、粗めの天然塩が味の決め手。大熊さんが推す飲み心地のいいナチュラルワインとの相性もぴったり。ここ数年は、品質が向上し注目を集める日本ワインにも力を入れているとか。お通しのサラダなど、糸島で自家栽培する野菜を盛り込んだ一品も評判。
☎092・713・4550
18:00~23:00(LO)
㊡日曜
お通し¥400、串5本¥1,000~
カウンター8 席、テーブル10 席
4.創作焼き鳥で勝負する 期待のニューカマー 焼き鳥とワイン 萬鳥
(手前より)山椒ダレの手羽先、レバーの玉締め、砂肝の鶏スープあんかけなど。スタンダードな串もある。ほかに焼きごま豆腐も名物。コース¥2,600~(税込)。高﨑さんは『焼とり 鳥次』と和食店『しらに田』で修業し、店を開いた
昨年11月、祇園にオープンし話題を呼んでいる創作焼き鳥の店。鶏スープのあんをかけた砂肝、レバーの玉締め。小鉢で供される一品一品は、焼き鳥の概念を覆す意外性に満ちたものだが、香ばしさとさまざまなだしのうま味、野菜の風味が混然一体となった味は、焼き鳥と和食のいいとこ取り。それもそのはず、店主の高﨑賢司さんは、焼き鳥店と和食店で10年修業した経歴の持ち主。自由な発想で、福岡の焼き鳥シーンに新風を巻き起こす。飲みごろの自然派からグランヴァンまで、ワインも豊富で、好みのマリアージュを探す楽しさも!
☎092・262・5515
17:30~24:30(LO)
㊡日曜、祝日不定休
コース¥2,600~(税込)
カウンター8 席、テーブル12 席
5.朝引き丸鶏を使用した 正統派焼き鳥と自然派ワイン 焼とり 鳥次
(左から)さびやき、砂肝、う玉、ねぎ巻き、ソリレス。さびやきはレアな火入れで甘味をしっかり感じさせ、砂肝はコリコリとした食感も格別。酸がフレッシュな白ワインと好相性。ワインはボトル¥3,500~、グラス¥600~
カウンターのみの店内は、和食店のように凛としたたたずまい。焼き台の前に、腹がけを粋に着こなす小林龍治さんが立つ。店でさばく朝引きの丸鶏を備長炭で焼き上げる焼き鳥は、見た目から実に端正。味わえば部位ごとの風味、食感が下処理と焼きで適切に引き出されているのがしっかり感じられる。その味をさらに引き立てるのが、400種をそろえるナチュラルワイン。聞けばフランスやイタリアから来日中の生産者が、東京や京阪から焼き鳥目当てに訪れることもあるとか。作家ものの器使いもセンスにあふれ、上質な時間を過ごせる。
☎092・715・4301
18:00~24:00
㊡日曜、祝日
お通し¥300、コース10品¥2,500(税込)
カウンター14 席