おいしい肉は、地方にあり! といってもいいくらいどこも究極の肉ぞろい。良いものの価値を知るエクラ世代にこそ訪れて欲しい、至極の肉料理が味わえる全国の名店5店舗をご紹介。
1.炭の直火で炙(あぶ)る神戸牛。 創業以来の味を堪能 レストラン みやす
スタンダードコースから。ステーキにはスジ肉や野菜を2~3週間炊いて仕上げたデミグラスソースが添えられる。にんにく醤油やからしでいただくのも美味
神戸一の"クラシカルステーキ"
「一度は食べてみたい」と誰もが憧れる神戸ビーフ。老舗、専門店が集まる神戸にあって、唯一無二のステーキを供する名店を訪ねた。
戦後、進駐軍でコックをしていた初代が洋食グリルを始め、神戸ビーフステーキが人気を呼び、専門店となった『みやす』。2代、3代で通う常連客が多く、レトロな空間の中、究極のステーキが楽しめる。肉は三田の清冽な水を飲み、米や麦を主な飼料に育った3歳の雌牛に限り、店で食べごろまで熟成させ、それを分厚く切って塊肉のまま備長炭で焼き上げている。「うちのステーキは肉と炭火、それに塩とこしょうの味つけだけ。ごまかしがきかないので、牛の肩書きに頼らず、必ず味見をし、常連さんの場合はピンポイントのお好みの肉を提供しています」と話す2代目の美安一穂さん。火が上に立ち上る備長炭の丸細を使い、強火で余分な脂を落とし、煙をまとわせながら香ばしく焼き上げている。五十余年たった今もすべてが贅沢。古きよき神戸の雰囲気とステーキの真味が堪能できる。
デザートは数種類から選べ、一番人気はブランデー入りの大人のプリン
季節の野菜を使ったスープ
生きたエビをボイルした、前菜のエビのカクテル・チリソース
四十余年使っている煉瓦窯で極上神戸牛を炙り焼きにする2代目の美安さん。炙りながら煙をまとわせ、香りとともに表面を焼き上げていく究極のステーキ
派手な看板はなく、店内も木を基調にした落ち着いた雰囲気。オープンキッチンのカウンターとテーブル、奥には個室もあり、隠れ家のような造り
☎078・391・3088
17:00~20:30(LO)
㊡日曜(月曜が祝日の場合、日曜営業、月曜休)
コースはヘレステーキの場合200g ¥12,000~、
ロースステーキの場合200g¥13,000~ ホール25席、
個室8~12席
予約がベター
2.最高鮮度の肉を駆使した 創作料理を和の風情とともに にくの匠 三芳
メインのステーキは注文に合わせて塊肉を成形し、炭火焼きに。山わさびの醤油漬けや醤油ベースの自家製ソースでいただく
究極の肉懐石を風情ある祇園で
京都で肉といえば、決まって牛肉。長年通う舌の肥えた地元の肉好きはもとより全国の肉好きも足繁く通う、人気肉割烹をご紹介。
花街の風情を色濃く残す、祇園の路地にひっそり暖簾(のれん)を掲げて11年。新鮮な肉のうま味に魅了された伊藤力さんが、その感動を体験してもらいたくてこの店をオープン。餌にこだわって32カ月以上肥育した神戸牛や、近江牛をさらに食べごろまで熟成し、試作を重ねた創作肉料理を月替わりのコース仕立てにしている。料理によって部位を変え、ヒレ、ロース、テール、タンなどの7~8種類を使用。向付や椀物、お凌(しの)ぎなどを経て、しゃぶしゃぶ、最後に好みの銘柄と部位のステーキがドンと登場する。「肉がメインですが、組み合わせる旬の食材で四季折々の味を楽しんでもらいたい」と伊藤さん。肉を引き立てるワインもそろえ、祇園ならではの華やかな和の風情も満喫できる。
向付の定番。前日にさばいた牛タンを一日冷蔵庫で寝かして、5~6時間昆布で締めた、牛タンの昆布締めの薄づくり
朱塗りのカウンターが目をひく、花街風情漂う店内
独学で日々上質な味を探求する伊藤さん
テールスープ仕立ての蕪と焼き松茸、ふかひれの煮物椀
サーロインと熟成感のある秋トリュフ、キャビアがのる贅沢な飯蒸し。黄身醤油で味わうオリジナル料理
☎075・561・2508
18:00~21:00(入店)
㊡日曜
コース¥16,000~(税・サ別)、グラスワイン・グラスシャンパン各¥1,500~
カウンター6 席、テーブル12 席
要予約
3.自家栽培の飼料で育てる 羊肉をワインとともに ひつじや
肉は野菜の上に並べて蒸し焼きに。肉のうま味を吸い込んだ野菜もごちそう。りんご入りの自家製タレでいただく
唯一無二のジンギスカンを求め、山形へ!
北海道の郷土料理として知られるジンギスカンだが、実は全国から肉好きが集まるジンギスカンの名店が山形県村山市に。自家飼育の羊の、ピュアで力強い味わいを体験して。
奥羽本線村山駅からタクシーで約20分。小さな案内板に導かれ敷地に入ると、羊小屋や菜園の先にとんがり屋根のログハウスが現れる。『ひつじや』は、羊の飼育から手がける希少なジンギスカンの店。現在、2代目の西塚洋平さんが店を仕切る。B級グルメな印象があるジンギスカンだが、『ひつじや』の羊はちょっと違う。理由はまず飼料にあり。西塚さんは牧草も自ら栽培し、発酵させて羊たちに与えているのだ。抗生剤なども極力使わない。安心安全な飼料が、雑味なくピュアな肉の味を生む。加えて羊肉は冷凍せず、生のまま手切りで供される。噛み締めるほどにあふれだすうま味は、やはりここだけの味。もうひとつの楽しみは、イタリア、フランス、日本を中心に約30種がそろうナチュラルワイン。羊のソーセージやリエットなどの前菜もそろうので、コース仕立てでゆっくり楽しむのがおすすめ。
店主の西塚さん。営業の合間に羊の世話や畑仕事に精を出す
2カ所の羊小屋で、常時約150頭の羊を育てている。約24カ月で食肉に。個体ごとに適切な熟成を経て供される
敷地内の菜園で、野菜も栽培している
畑で収穫されたばかりの野菜。ジンギスカンの野菜のほか、ソーセージなどの付け合わせや、フレッシュなサラダとなって、すぐにテーブルへ
ジンギスカン1人前¥2,000~(野菜つき、写真は2人前)。厚切りゆえの芳醇な味わいがある
ワインは栽培から醸造まで自然な造りを行うナチュラルなものが中心。グラス¥600~、ボトル¥3,500~
天井が高く、窓が広くとられたログハウス。外の景色や風のすがすがしさも楽しみながらの食事は格別
羊と富並豚のソーセージと前菜の盛り合わせ。自家菜園で収穫したじゃがいもを熟成させて作るフライドポテトも隠れた名物
羊のカルパッチョ。野菜の香味と酸味がきいたソースで
イタリア料理の定番"そら豆とペコリーノチーズ" をアレンジした、枝豆ペコリーノ。料理はすべてコース(¥3,500~¥7,000)の一例
☎0237・57・2862
11:30~15:00、17:00~21:00
㊡火曜、臨時休業あり
コース¥3,500~¥7,000(昼夜とも)、アラカルトあり
席数25(土・日曜、祝日は2階含め60席)
予約がベター
4.人生の特別な時間を過ごす 松阪の老舗すき焼き店 和田金
すべてが最高級、憧れの松阪牛を!
日本屈指のブランド牛「松阪肉」の地元で、名店といえばここ。最高級の肉を、極上のもてなしで味わう。一生に一度は和田金へ。肉の概念が変わるはず。
松阪は古い石垣や武家屋敷が残る城下町。町の中心部に位置する「松坂城」にほど近い場所に店を構える『和田金』は、世界的なブランド牛「松阪肉」の元祖といわれる明治初期創業の老舗だ。ここの肉は、店主自ら優れた但馬牛の雌の仔牛を仕入れ、自社牧場で約3年、手間をかけて育てたもの。まろやかな赤身とほどよい脂身、肉質が絶妙なバランスの牛肉は、口の中でとろけ、豊かな香りが広がる。「子供からお年寄りまで、あらゆる年齢のかたにご満足いただけるおいしさです」という店主。肉の脂に対する概念が変わるほどの衝撃的な肉質。最初から最後までひとりの仲居さんがつきっきりで焼いてくれ、その姿は職人技。昔からお伊勢参りの際に立ち寄る人が多いが、和田金を旅の主役にしたいくらいの感動のおもてなしと味がここに。
玄関で和服姿の仲居さんの ていねいなお出迎えにドキドキ
吹き抜けのロビーに一歩入ると、そこからおもてなしがスタート。仲居さんの案内で高級旅館のような館内をキョロキョロしながら進む。
季節を感じさせる 雅な几帳や生け花も
案内された個室は、四季の趣のしつらえが凝らされた広い和室。中央には朱塗りの特注すき焼き用円卓が、訪れる客を待っていた。
前菜の三種盛と 名物「肉すまし」にまずは舌鼓
そぼろ煮、季節のゼリー寄せ、野菜のムースの前菜と、牛肉に、だし汁を注ぐ「肉すまし」は、椀に肉のうま味が広がる逸品。う~おいしい~!
美しすぎる!炭の姿。まるで炭手前のような仲居さんの所作
すき焼きの火力は、茶道で使う菊炭。火の通りのいい形に組まれ、パチパチとかすかに響く音が心地よい。締めにはここで餅が焼かれる。
いよいよ松阪肉登場!赤身と脂身の絶妙な形
大皿にのった肉登場。あれ?思ったよりピンク色はしていない。でもこれが赤身と脂のベストバランスなんだそう。味つけは白砂糖とたまり醤油のみ。目は仲居さんの手もとに釘づけ。
香ばしい匂いが鼻をくすぐる。たっぷりとした大きさの肉
特製すき焼き鍋に並ぶ肉は、一回2枚だけ。それだけ1枚が大きいのだ。1人前は2 枚。食べごろは、仲居さんが的確に。焼き具合で味が違うそう。
口でとろける松阪肉。添えの品々も種類豊富
地元産の卵にからめ、口の中へ。噛む必要がないほど、軟らかい。広がるおいしさに言葉も出ない。ねぎやしいたけ、生麩などにも肉のうま味が出た汁がしみ渡る。記憶に残る体験に感激の嵐!!!
量り売りも可能。販売部門で購入するおみやげの松阪肉
店の一角にある販売部門。上質の松阪肉が自宅で味わえる。ケースのステーキやすき焼き用の中に、お得なこま切れを見つけおみやげに。
和田金の歴史ここにあり
明治11(1878)年、東京の料亭『和田平』などで修業した初代店主、松田金兵衛が松阪に牛肉店を創業。その5年後にすき焼き店を開業し、牛肉を平切りしたすき焼きのスタイルを確立した。以来、伊勢参りをする政財界、皇族関係者、海外VIPなどが訪れる名店として知られる。かつての木造店舗を知る顧客も多く、今は親子3代で毎年来店するのを楽しみにしている。
☎0598・21・1188(代表)
11:30~20:00(食事 土・日曜、祝日は11:00〜)、8:30~19:00(販売)
㊡第4火曜(月により変動あり)、1月1〜2日、8月16日
「寿き焼コース」¥12,200~、「シャトーブリアンステーキコース」¥28,000ほか
※「寿き焼」は2名から。
個室40室
予約がおすすめ
5.伊勢湾の魚介や松阪牛。 地元素材をフランス料理で ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 賢島
別棟4室には室内に温泉が。木々の間から夜は星を、昼は英虞湾を眺めながらの時間は至福のとき
賢島(かしこじま)に誕生! 名門美味店が手がけるホテル
日本全国・パリに33店舗、レストランを展開するひらまつグループが手がける、今夏にオープンしたホテル。松阪牛のお膝元でもある賢島を訪れた。
「ヨーロッパの旅館」「滞在できるレストラン」――そんなコンセプトを形にした施設が賢島にオープンした。客室はわずか8室。まさに大人のためのラグジュアリーホテルだ。到着するとそこは英虞(あご)湾の気持ちいい景色を眺めながら、ウェルカムドリンクをいただけるテラス。お部屋でくつろいだあと、主役となるレストランへ。「こちらに来て食材のすばらしさに感激しました」という料理長の今村将人さんは、パリや東京で作り続けた王道のフランス料理をベースに、和の技法や食材も使い、料理のジャンルにとらわれない自由な発想で作り込んでいる。松阪牛のグリルは、ベアルネーズソースと山椒のバターがさわやかなアクセントに。それ以外にも、伊勢エビ、アワビ……と伊勢の食材を満喫できるコース。そのあと、英虞湾を眺めながらゆっくり温泉に入ってぐっすり床へ。そんな理想的な一日を過ごせる場所だ。
レストランはほぼ個室に
コースの最後に松阪牛が。「いいものを少しだけ」というエクラ世代にぴったりな量と味
さりげなくお箸が添えられた、その心遣いがうれしい
伊勢のサザエは通常のものよりひと回りも大きい。パセリバターでフレンチ風に。貝の中に残ったソースをパスタにかけるアイデアに脱帽
館内のしつらえも見どころのひとつ。草間彌生や東山魁夷の絵がセンスよくレイアウトされている。品のよいベージュをベースに、クラシックとモダンの家具が組み合わさって、心落ち着ける空間に
☎0599・65・7001
¥130,000~(1泊2食つき2名料金)