「必ずまたうかがいたい」と心を奪われ、ずっと記憶の中にある大好きな一軒。京都へ旅する衝動をかきたててくれる、屈指の名店を京都通がご紹介。
1.素材の本質をとらえた刺激的なコース『祇園 大渡』
「大渡さんは、創作の和食ではなく、「日本料理」を目ざしておいでのかた。料理のセンスがすばらしく、京都の素材の味が引き立っています」(料理研究家・松田美智子さん)
一度訪れると気に入って次を予約してしまう人が多く、年内はすでに満席と、予約困難な割烹。運よく予約がとれたらその日に合わせて京都行きを計画する人もいると聞くが、松田さんもそのひとり。
「昨今は創作料理のお店が増えていますが、懐石をベースにしつつ、よそにない料理をお出しいただけるのがうれしいです」(松田さん)
いずれの料理も創意工夫があるが、一品ごとの素材の輪郭がそれぞれにきわだっている。昔からある古典的な料理は、深く掘り下げてアレンジ。例えば、9月の定番素材の子持ち鮎を番茶風味の揚げだしにし、器を気に入って出すようになったという土瓶蒸しは鱧や松茸を存分に楽しめるライブ感のある仕立てに。ここでしか味わえない料理が次々と登場し、期待を裏切らない。
京都市東山区祇園町南側570の265
18:00~21:30(LO) ☎︎075·551·5252
不定休 カウンター8席 要予約 カード不可
コースは¥20,000前後
2.3代目の創意工夫が光る京料理の進化形『木乃婦』
「歴史や趣を実感させてくれる料亭。子供もOKなので、結婚前も結婚後も京都では必ず行きたいお店です」(モデル・甘糟記子さん)。
3代目の高橋拓児さんが店を継ぎ、斬新な料理で一躍注目を浴びるようになった『木乃婦』。
「京料理の本すじからそれることは決してありませんが、伝統の中に安堵してしまうことのない創意工夫が感じられます。どんな伝統も、最初は斬新さに目を見張るものがあったのかもしれません」(青木さん)。
古い書物からヒントを得た鱧の木屋町焼きもそのひとつ。2本の鱧の身を内側にして合わせ、炭火で焼いて吉野葛でまとめたもので、古い器を写した蓋もので供される。さらに一度食すと忘れられないのがふかひれ胡麻豆腐で、名物の域にある。
「ワイン懐石など、新しいことにチャレンジされているのも魅力。女将もすごく素敵なかたなんです」(甘糟さん)。全室個室で、家族で京料理をゆっくり味わいたい人にもおすすめ。
京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
11:30~14:30、18:00~19:30 不定休 ☎ 075·352·0001
座敷12室、大広間1
要予約
昼のコース¥5,000~(平日)、¥15,000~(土・日曜、祝日)、夜のコース¥15,000~
3.一斉スタートのカウンターで食通もうなる旬の味を『祇園 さゝ木』
「こちらのお店にうかがって、初めて食事を目的に京都に通うようになりました。料理もお酒も"店にゆだねる喜び"があります」(ライター・藤本容子さん)。
今の地に移って12年がたち、20年間、躍動感あふれる料理とサービスでお客を魅了する主の佐々木浩さん。
「高級食材を豪華絢爛に振る舞われるのにいや味がなく、お客さまとスタッフが一体となるライブ感はまさにさゝ木劇場! 佐々木さんの粋な人柄とサービス精神が素材から器からあふれ出しています」(藤本さん)
一斉スタートのスタイルをいち早く取り入れ、カウンターは連日舞台のようなライブ感に包まれる。9月は名残の鱧と松茸、すっぽん鍋、笹ガレイとカラスミなど、初秋の贅沢な取り合わせを味よく、間よく楽しませてくれる。スタッフの動きもキビキビとして気持ちよく、完璧な連携と旺盛なサービスで連日お客を沸かせている。2カ月後の予約を月初めに受け付けており、がんばれば席ゲットのチャンスはある!
京都市東山区八坂通大和大路東入ル小松町566の27
12:00~、18:30~(どちらも一斉スタート) ☎ 075·551·5000
㊡日曜、第2・4月曜(不定休あり) カウンター17席、テーブル個室2室(2~10名)
※予約は2カ月前の月初め10:00より受付
カード不可
昼のコース¥8,000~(税・サ込)、夜のコース¥20,000~
4.変わらないことが魅力の質実な板前割烹『日本料理 とくを』
「オープンしてすぐのころにうかがい、新鮮な感覚のお料理に感動したこと、奥さまの温かな接客が素敵だったことを今も忘れられません」(ライター・安齋喜美子さん)。
オープンして14年目を迎え、正統で質実な板前仕事のイメージが定着する割烹。10年を区切りに内装を替え、個室をテーブル席にしているが、メニューは開業のときと同じ、おまかせと単品の2本立て。遠来の観光客にも地元客にも支持されているのは、料理の選択肢の幅広さと一品の充実あってのこと。
店主の徳尾真次さんがこの時季にぜひ味わってほしいと出してくれたのは「鱧と松茸のしゃぶしゃぶ」。脂がのる韓国産の鱧を、だしの中で火を入れ、上品なうま味と香りで高揚感を誘う。
「最近はワインもいろいろおいておられ、さらに進化したお料理をいただきにうかがうのが楽しみです」(安齋さん)。ワインは徳尾さん自身が料理に合わせて選び、西日本の飲食店ではここだけで扱っているものも。
京都市下京区木屋町通仏光寺上ル天王町151
12:00~12:30(入店)、18:00~20:00(入店)
㊡日曜、第3月曜 ☎ 075·351·3906
カウンター10席、テーブル個室1室(6名)
※予約がベター
昼のコース¥6,000~、夜のコース¥12,000~、一品料理あり
5.大人を喜ばせるサプライズの連続!『富小路 やま岸』
「おいしいものをあれもこれも食べてほしい、という思いが伝わります。生ウニてんこ盛りの寿司を手渡しされるころには、幸福感いっぱい!」(ライター・海出正子さん)
玄関から続く石畳は、茶室の露地さながら、日常から非日常へ心が切り替わる。白木のカウンターは10席。店主の山岸隆博さんが茶の湯の心でもてなす。「いつか店をもちたい、そのために必要なものを考えたとき、茶の湯や華、書がありました。お茶はもてなしの極み、お越しいただくどなたにも気持ちよく過ごしていただけたら」。
茶懐石を意識しながら、そこにサプライズがあるのが、やま岸流。人気の寿司はまさにそう。推薦者の海出さんも感激したのが、手渡しする豪快なウニの寿司。贅沢さに大人が思わずはしゃぐ。懐石料理、寿司、さらに中央卸売市場にも勤めた経験が生きた、ここだけのおいしさに、客の大半がその場で次の予約をとる。実は近々、酒と肴の店と鍋の店をオープン。喜ばせたい思いは同じ、通いたい店になりそうだ。
京都市中京区富小路通六角下ル骨屋之町560
18:00〜23:00(21:00LO) ☎ 075·708·7865
㊡火曜、第2・4水曜
カウンター10席
おまかせコース¥18,000〜¥20,000(サービス料込)
要予約 ※料理はコースのみ。価格は食材の仕入れ状況により変動する場合あり