豊かな地元の食材とともに独自の食文化を育んできた奈良。そんな奈良を訪れた際にぜひ足を運びたい、国内外で研鑽を積んだ料理人の新店や、古都の情緒あふれるカフェ&菓子司をご紹介。
1.京都、NY、ロンドンで培った技と感性を奈良で開花 白 Tsukumo
夜の懐石の一例。色絵金彩松図大鉢に盛り合わせた大根や菜大根、市松生麩の炊き合わせ。器は琳派の香りたつ田端志音作。海のない奈良ゆえ造り盛りは出さず、昼は精進料理も提供
『京都吉兆』で10年、ニューヨークの精進料理店『Kajitsu』、ロンドンの日本料理店『UMU』で各3年勤務。10年後の自分への投資と考え、世界をめぐり、日本料理を俯瞰(ふかん)する目や感性を身につけた店主の西原理人さん。「"未完の美" という古く日本の文化で培われた感性に美意識を感じます。かぎりなく百に近い九十九に永遠や究極が存在すると思っています」。昨年12月に開店して以来、奈良の行事や風習をテーマに、独自のコースを月替わりで提供。11月は炉開きにちなみ、口切新茶と発酵茶葉のブレンドを大和牛に添えて楽茶碗に盛り、炊き合わせは大鉢に盛って絵柄の松を景色に見立て、自由な発想と大胆な表現がなされる。
口切の新茶をテーマにした大和牛の口切新茶重ね
自家製のきんとんは焙煎ココアやビーツで色づけし、飾りのピスタチオで食感を添え、和菓子にない取り組みも
真行草の行の料理を目ざし、空間もそれに合わせ、栗のカウンターと土壁、それに石煉瓦を基調にした行のしつらえに
☎0742・22・9707
12:00~13:30(LO)、17:30~20:30(LO)
㊡月曜、火曜昼、毎月最終日、毎月1日昼
カード可
要予約
昼の一汁三菜、精進四菜 各¥5,000、夜の懐石¥12,000
2.瀟洒(しょうしゃ)な空間、景観とともに楽しむ地場の食材凝縮のイタリアン リストランテ オルケストラータ
緑美しい景観、洗練の料理、アートを飾る空間をひとつの芸術として奏でるようにと名づけられたレストラン。伝統的なイタリア料理をベースに奈良の素材や文化からインスピレーションを受けたオリジナリティあふれる料理を供している。紅葉に見立てた野菜に小さな熊手を添えたフォワグラとトマトの前菜や大和野菜たっぷりの魚料理、秋を司る女神「龍田姫」の名がつくぶどうづくしのデザートなど、演出に富んだ姿で登場する。
☎0742・20・7321
11:00~14:00(LO)、17:30~20:00(LO)
㊡月曜
カード可
要予約
昼のコース¥3,500〜、夜のコース¥7,000 〜(写真は夜のコースから)
3.つくり手が見える食材を本場仕込みの技で昇華 ラ・トラース
6月にオープンした漆喰(しっくい)の白壁と吉野檜が心地よいフレンチレストラン。東京やブルゴーニュ、バスクで腕を磨いた佐藤了シェフが奥さまの実家のある奈良で店を始める決心をしたのは、絶対美味な食材があったから。「つくり手が近く、すべてが自然体で刺激的」とシェフ。前菜のさんまは百済農園の焼き茄子、鴨ロースは宇陀金ごぼうのピュレ、奈良産ほうじ茶アイスはカカオ風味ビスケットと合わせ、奈良の食材で至福の夜へと誘(いざな)ってくれる。
☎0742・33・4000
11:30~13:30(LO)、18:00~20:00(LO)
㊡日曜、第1 ・3月曜
カード可
要予約
昼のコース¥3,800、夜のコース¥7,000(写真は夜のコースから)
4.奈良散策途中に立ち寄りたい、大正期の趣漂う喫茶室 工場跡事務室
東大寺に近い、緑豊かで静かな場所にひっそりたたずむ喫茶室。大正14年に宮大工によって建てられ、昭和50年代半ばまで乳酸菌飲料の研究・製造をする工場だったという木造建築のレトロなスペースで、手づくりのスイーツやサンド、軽食、大和茶がいただける。観光地の喧騒をいっさい感じさせない、自分だけの隠れ家にしておきたくなる空間だ。
☎0742・22・2215
金曜11:00~18:00、土・日曜、祝日9:00~18:00
㊡月~木曜
カード不可
デザート盛り合わせ¥600、ほうじ茶ラテ¥650
5.つくりたての和菓子4種とお茶のおまかせを名店のカウンターで 樫舎(かしや)
春日大社をはじめ、奈良の寺社や茶人の注文菓子を手がける菓子司の店奥に誕生した8席だけのカウンター。干菓子、上生菓子2種類、最中とそれに合わせたお茶やコーヒーが順々に供され、つくりたてならではの食感や繊細な甘味が楽しめる。最良の素材と磨かれた技がひときわ冴え、秋は栗きんとん"錦秋"、ねりきりの"千代見草" などがいただける。
☎0742・22・8899
9:00~18:00
無休
カード不可
カウンターでいただく和菓子とお茶のおもてなし¥2,000(要予約)