エクラ世代でソウルを旅する大きな目的のひとつは、器探し。まず探したい白磁も、青みがかった白、温かな白、雪のような白と表情はさまざま。現地でも人気の高いとっておきのお店で、心に響く一品を見つけて。また、ソウルは撮影で訪ねて以来、10年ぶりという富岡さんが、伝統文化を感じるお店にも訪れました。
1.著名な膳作家の工房にあるセンスのいいギャラリーを訪ねて『バンギムクラフト』
富岡さんが金浦空港から直行したのは、お目当てのひとつ『バンギムクラフト』。モダンな空間でも使いやすい、シンプルで美しい韓国の伝統工芸品に囲まれ、すっかりテンションが上がる。
「和菓子をお出しするのにもいいし、花器を置いてもいい」と、漆のトレイにひと目惚れ。白磁も室内の光と自然光では白の見え方が違うところが好きだという。
「子供も大きくなって、繊細な器を日常使いできるようになったからか、器探しが楽しい。今回の旅で見つけたものは、手持ちの土ものの器との相性もいいと思います」
膳作家のヤン・ビョンヨンさんの作品と、奥さまのパク・ジェヒさんセレクトの白磁や銀のカトラリーなどがそろうギャラリー。ヤンさんのお膳は、ルイ・ヴィトンとのコラボレーションにも用いられるなど、そのたたずまいは世界も認める美しさ。モダンな空間にもよく調和し使い勝手のいい膳トレイが人気だ。
☎010・9688・1772 予約制
※ホテルから予約してもらい、タクシーを手配して。タクシーでソウル市内から約1時間、料金はW40,000ほど。または地下鉄3号線大化駅よりタクシーで15分ほど。
2.たおやかな贈り物の習慣、包む文化を伝える『好好堂』
伝統衣装家の3代目でもあるオーナーのヤン・ジョンウンさんの、"好き"がつまったポジャギ(包み、風呂敷)のショップ。景福宮の城下町・西村という情緒あるエリアにたたずむ温かな空間だ。伝統衣装と同じ生地で贈り物を包む習慣は古くからあり、もっと身近に感じてもらおうと包み方教室も開催している。
☎02・704・0430
10:00~17:00 ㊡日曜、旧正月、旧盆
3.ミニマルで美しい韓国の工芸とアート『チョウンスク ギャラリー』
おしゃれな店が並ぶ清潭洞にあるギャラリー。地下2階には、その審美眼で一目置かれているオーナーのチョ・ウンスクさんが選ぶ、静謐で美しい器が並ぶ。イ・ギジョなど、日本でも人気の白磁作家のほか、中国の古い陶器に白磁をつなげたイ・テクスの作品など、アートと生活を結びつけるような提案も豊富で、時間を忘れる。
「白磁は韓国の工芸なので韓国料理に合うのは当然。でも、どんな料理にも合うので、私は家でも日常使いしています。例えばカラフルな漆のトレーを敷いて色を足したり、ステムのないグラスと合わせて気楽に使ったり」とウンスクさん。そう聞くと、手持ちの器とのコーディネートが楽しみになる。
ギャラリーのコンセプトは、ミニマルな美しい感性をベースにした韓国的なものを紹介すること。ほぼ韓国内の作家を扱うが、海外で活躍する韓国の作家や、金沢のガラス作家・辻和美さんの個展もこれまでに3度開催。ウンスクさんの好みを受けたコラボレートも。
「日本のものも好きなんです。すべすべな和紙と荒れた質感の韓紙のように、お互いにない魅力に惹かれるんじゃないでしょうか」
☎02・541・8484 10:00~19:00 ㊡日曜、旧正月、旧盆
4.今、最も話題の店の唯一無二の世界観『チャプター ワン エディット』
オーナー夫妻のク・ビョンジュンさんとキム・ガオンさんの3つ目のショップが、4月にオープンし、江南のおしゃれなマダムたちの間で話題だ。ギャラリーの企画に携わってきた旦那さまと、ファッションデザイン界でビジュアルマーチャンダイザーだった奥さまのセンスがつまった空間。
「衣食住にまつわるちょっとラグジュアリーな、全世界にマニアがいるようなアジアの手仕事がコンセプトです。50名ほどの作家たちに、こういうものを作ろうと提案し、コラボして作っているので、ほかのショップにはないものばかりなんです」とガオンさん。昔から主に個人用の膳に並べて各自が使っていた白磁には、大皿がほとんどないので、今主流のシェアするスタイルの料理に向かないという理由で、白磁以外の器もそろう。
2階、3階がショップ、4階はギャラリー。5月には1階に中庭のあるビストロとカフェがオープン、ここで使用している器はすべてショップで扱っている作品だ。使い勝手がわかり、お酒に合うおつまみ、カフェのひとひねりあるユニークな月替わりのコーヒーなどもおいしいと評判なのでぜひ。
☎02・3447・8001 11:00〜18:00 ㊡日曜、旧正月、旧盆
5.情熱あふれる作家のオンリーショップ『文陶房』
作家、ムン・ビョンシクさんの陶芸教室を併設するショップは、都心の江南から移住する人の多い郊外の高級住宅地、盆唐にある。以前は陶芸であまりにも有名な利川にあったが、4年ほど前に、顧客の多いこの場所に移転した。
彼の、繊細でまるで雪のように白い器は、どんな料理にも寄り添う。古書にある伝統的な形や自然の中にある造形から着想されたデザインは、シンプルで凛としていながら、ぬくもりも感じさせるのが魅力。茶碗や急須のほか、蓋つきの器、台つきの器など、盛りつけを考えるのが楽しみになる。
ビョンシクさんは、米どころでも知られる利川の隣町、驪州の出身。アトリエは今もそこにある。学生のころに映画『ゴースト』を見てろくろを知り、陶芸の魅力にハマったのだという。学校の授業に飽き足らず、さらに夜の技能クラスにも通い、夏休みは現場で見習いとして研鑽を積んだ。
「眠る時間になると、ろくろを回したくて早く朝になってほしいと思った(笑)」という情熱は今も変わらず、多くのファンを惹きつける。ソウル中心部から少し離れるが、足を運ぶ価値のある一軒だ。
☎031・709・3312 11:00~18:00 ㊡旧正月、旧盆 ※地下鉄板橋駅からタクシーで10分以内