48歳の今、膣トレ・膣ケアのおかけで更年期の不調なし。アラフィーが今すぐ簡単にできる膣トレとは?【私が「ちつ姉」と呼ばれるまで。膣プランナー 山口明美インタビューvol.3】

独身時代の婦人科系不調、出産時の会陰裂傷で尿漏れ・便漏れ。2ヶ月オムツが手放せないという大トラブルを膣トレと膣ケアで乗り越え、人生がポジティブに動き出した山口明美さん。次の世代にフェムケアの重要性を伝える山口さんが「ちつ姉」とよばれるようになったきっかけは、実は意外な人の発案でした。

女性の人生をポジティブに変える、膣トレ・膣ケア。フェムケアの習慣で、更年期以降も尿漏れ知らず!

─山口さんのような会陰裂傷は少なくても、妊娠中から産後の尿漏れは、多くの人が経験していますよね。
「まず、妊娠後期は大きくなった子宮が膀胱を圧迫しやすく、尿漏れのリスクが増えます。さらに難産で骨盤底筋がダメージを受けたり、産後にしっかり休まずすぐに社会復帰したりすると回復が遅くなり、ちょっとした刺激で尿漏れする腹圧性尿失禁は珍しいことではありません。でもレベルも違って、くしゃみで漏れるよね、という人から、トイレが間に合わない人までさまざまで、ママ友でもかなり親しくならないと尿漏れの話はしにくいものです」。
─確かに、友人にもシモの話はしづらいです。
「尿漏れにかぎらず、膣周りの悩みを友達やパートナーにも話せず、クリニックにも行くほどでも…と思って我慢している人、潜在的にはかなりいると思います。私だって、産後の悲惨なアクシデントがなかったら、フェムケアと向き合うこともなく、不快感やつらさを抱えたままその先の人生をすごしていたかもしれません。でも、膣は女性の一生に関わる大切な部分で、膣周りの話は下ネタでも下品でもないんですよね」
日本初の「膣プランナー」山口明美さんインタビュー風景
─社会復帰されてから、勉強もしたそうですね。
「膣トレ・膣ケアを始めて体重が落ちたり、シミが消えたりしたのが不思議だったので、エストロゲンとプロゲステロンから、メラトニンやセロトニン、自律神経、脳・心・体の関係まで、4年間ホルモンについて勉強を。美容の仕事をする上で、女性ホルモンのバランスを整えるためには何が必要か、を学ぶ必要があると思ったんです。エステティシャンだったとき、どんなケアをしてもニキビや肥満に結果を出してあげられなかったお客様がいましたが、それも最終的には自律神経が関わっていたんだな、と腑に落ちました」

─そんなご自身の経験を伝えたい、と思われたきっかけは?
「まず強く感じたのは、二人の娘に同じ思いをさせたくない、ということでした。女性は、初潮を迎えてから更年期以降まで、女性ホルモンの変動の中で生きていきます。生理痛、PMS、婦人科疾患、妊娠、出産、閉経も、正しい知識があれば、起こりうる問題を予防できたり、前向きに対処ができる。ヘルスリテラシーがすべてなんです。フェムゾーンは体の中で最も大事な部分で、顔と同じようにケアすることが必要だ、と知って欲しい、と。ただ、出産時に起きた悲惨なストーリーを話すことは娘を傷つける気がして、高校を卒業する直前に、実はこんなことがあったのよ、と初めて話しました」
日本初の「膣プランナー」山口明美さんインタビュー風景
─娘さんはなんと?
「とても真摯に受け止めてくれ、経験や学んだことを世の中に発信したほうがいいよと背中を押してくれました。娘に勧められて同世代向けにインスタライブを行い、若い世代に伝えるためにTikTokやYouTubeでも発信しています。SNSだと、男性にも気軽に見てもらえるので、女性の体を理解してもらうささやかな啓蒙活動になるんですよね。“ちつ姉”のニックネームも娘の発案。最初は笑われましたが、見事にバズって。若い子の感性にはかないません(笑)」
─アラフィー世代にとって、膣トレ、膣ケアのメリットはなんでしょう。
「尿漏れ体操を続けていた私の祖母は、16年間施設で過ごしていましたが、痴呆もなく、亡くなる1ヶ月前まで、自分でトイレに行っていました。他人に下の世話をしてもらうようになると痴呆が進むという話を聞いたこともあります。私の影響で膣トレを始めた母は76歳の今も尿漏れとは無縁。私は今48歳で更年期の入り口ですが、膣トレと膣ケアのおかげで特に不調はありません。閉経から先は、尿漏れ、膣の乾燥、かゆみという不調も増えるので、骨盤底筋を鍛える体操と膣の保湿は、成熟世代以降のQOLに直結。アラフィー世代こそ、膣ケアを本気で始めるタイミングだと思います。最近は、40〜50代向けに、骨盤を立たせ歩くだけで骨盤底筋を鍛える膣トレパンツや、膣バージョンのEMSマシン、ホルモンバランスを整えるアロマなどの監修も」
─最後に、簡単にできる基本の膣トレを教えてください。
「鼻から息を吸って口から吐きながら、腹筋を使わずに、肛門・尿道・膣を締めます。肛門はお尻の穴に雑巾を絞るイメージでギュッと力を入れてを締める。尿道は、おしっこを我慢する時のイメージで、尿道から細いものを吸い上げるように。膣は、まず扉を閉めてから、胃の方に引き上げるイメージ。それぞれ5秒ずつ10回を1セット。立っても座ってもできるので、毎日朝晩続けて見てください。骨盤底筋は薄いので、毎日約5分間続ければ2週間程度で変化を感じるはずです」
山口明美さん
やまぐちあけみ⚫︎株式会社3FACE代表取締役。日本初の膣プランナー。エステティシャンから始まり、美容業界で25年のキャリアを重ねる。婦人科系疾患や出産時の会陰裂傷を経験し、産後の膣ケア・膣トレで不調を回復。娘世代にもフェムケアの正しい知識を伝えたいという思いで独立。「膣」についての教育、商品開発、セミナーなど幅広く活動。著書に『膣ケアで健康になれるって本当ですか?』、フィットネストレーナーAYAさんとの共著「最高のフェムトレ』など。
取材・文/片岡えり 撮影/柳香穂
  • 【私が「ちつ姉」と呼ばれるまで。膣プランナー 山口明美インタビューvol.1】

    【私が「ちつ姉」と呼ばれるまで。膣プランナー 山口明美インタビューvol.1】

    通称「ちつ姉」。日本初の「膣プランナー」として活動中の山口明美さん。婦人科系不調に悩まされる独身時代、出産時の会陰裂傷で尿漏れ・便漏れ。さまざまなトラブルを膣トレと膣ケアで乗り越え、次の世代にフェムケアの重要性を伝える今。山口さんが「ちつ姉」と呼ばれるまでの壮絶な経験と、そこから学んだ大切なこととは…。

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