12月19日公開予定の映画『新解釈・幕末伝』に出演するムロツヨシさんと佐藤二朗さん。おふたりにとって"時代劇”とは?新作映画で坂本龍馬・西郷隆盛に扮したおふたりの、見る愉しみ、演じる喜びについて聞いた。
定着したイメージをくずすと新しい魅力が見えてくる
ムロ 時代劇というと、子供のころに身近だったのは、やっぱり『水戸黄門』や『遠山の金さん』。僕が小学校時代にテレビで見ていた黄門さまは、西村晃さんでした。
佐藤 初代・東野英治郎さんの次だ。
ムロ そう。だから、時代劇で学んだのは歴史そのものというより、悪いことしたらバレますよ、いつか痛い目にあいますよという、道徳的なことが強かったかもしれません。
佐藤 俺は、『座頭市』と……昔はお正月に長時間の時代劇を放送してたんだよね。その中の1作で、名優・萬屋錦之介さんが出演されてた、それこそ坂本龍馬の話(『竜馬がゆく』’82年放送)。錦之介さん演じる龍馬が近江屋で暗殺される場面で、頭を斬りつけられて血が噴き出す瞬間、画面が白黒になって「脳が……脳が……」っていうんだよ! 衝撃的で、今も忘れられない。
ムロ うわー。あとは、やっぱり大河ドラマかな。『どうする家康』(’23年)で豊臣秀吉をやらせてもらいましたけど、放送中、銭湯に行くと年配のかたがたに「太閤と同じ湯に!」なんていわれたりして。
佐藤 ハハハ。俺は『平清盛』(’12年)で貴族の役をやったとき、毎回、お歯黒を塗ってました。新鮮だったなぁ。映画でも、最近はいろんなタイプの時代劇が出てきたよね。『侍タイムスリッパー』(’24年)なんて、深い時代劇愛を感じたもん。
ムロ うん。人ってやっぱり、その時々で変わるんですよね。だから、時代劇や、そこに登場する人たちの描き方が解釈によって変わるのは当然で、そこに時代劇の魅力があるのかもしれない。僕らの新作『新解釈・幕末伝』も、まさに幕末という時代の解釈の違いがテーマで。
佐藤 幕末って、熱いよね。出てくる人が皆、ものすごい熱を発してる。
ムロ そんな中で、僕が演じる坂本龍馬は、いつも「まあまあまあ、なんとかなるんじゃないですか?」といってる、調子のいいタイプ。で、そんなんじゃ時代は動かないよ!ってまわりからいわれても、結果、動かしちゃってる。今の世にもこんな人がいたらいいんじゃないのかなという、僕の願いもこめています。
佐藤 西郷隆盛はもちろん大偉人で、これまで名だたる俳優たちが演じて、名作を生み出してきた存在。体つきや「おいどんは」という薩摩弁にも、定着したイメージがあったよね。でも、今回は『新解釈』だから。実は蚊の鳴くような声でしゃべる人だったかもしれないよ?と、ある意味、これまでのイメージを壊してみようと。
ムロ フフフ。でも、二朗さん演じる新解釈・西郷隆盛の感情の変化が、ストーリーの軸を担ってますよね。
佐藤 だから、福田雄一作品で期待される笑いも、今回、俺は完全に封印した。もう血は流したくないけど、国のためには戦うしかなかった西郷の葛藤を伝えようと思ったんです。
(ムロツヨシさん×佐藤二朗さん対談<後編>に続く)
「時代も、人も、移り変わっていく。その時ごとの解釈が、時代劇の魅力のもと」――ムロツヨシ
「歴史を知るたび、先祖の偉大さと平和のありがたさを、しみじみ感じるよ」――佐藤二朗
映画『新解釈・幕末伝』
Ⓒ2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会
Ⓒ2025 映画「新解釈・幕末伝」製作委員会
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動乱の時代を率いた二大英傑は、実はこんな人? コメディの帝王、福田雄一脚本・監督による斬新な幕末史を最強タッグで。「僕と二朗さんで真ん中を、という夢がかないました」とムロさん。「幕末の熱と前のめりな現場の熱がリンクしているはず」と佐藤さん。共演に山田孝之、広瀬アリスほか。12月19日公開。