実は、「シャトー ラグランジュ」のオーナーはサントリー。’83年、当時荒廃していたこのシャトーを購入、ブドウ畑や醸造設備など、次々と大きな改革を行った。現地では、「日本企業がフランスの魂を買った」と中傷するメディアもあったが、サントリーはフランスの文化を尊重しつつ、粛々と高品質のワインを造ることに情熱を傾けた。そして今では、フランスでも尊敬されるトップ・シャトーのひとつとなっている。
感動するのは、涼やかでエレガントなその味わいだ。たとえるなら、かつての苦難などひっそりと隠して、堂々とオペラ座の舞台に立つ日本人バレリーナだろうか。華やかな香りは“彼女”の努力の証しでもある。
これは週末、あえて自分のために開けてみたい。ワインがもつ美しさを日々がんばった自分へのアプローズ(喝采)にしたら、また新たなパワーがわいてくるように思えるのだ。