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女子が年上、男子が年下ということ以外、ごくごく普通の設定だけど…
人の恋愛話を聞くのって楽しい〜、そう思うことってありません? そもそもの出会いは? 先に好きになったのはどっち? 告白はあったの? 最初のキスは? より親密になったきっかけは?などなど…。 恋のはじまりって、やっぱりとってもスリリングだし、聞いているうちに自分まで、なんだかドキドキ幸せに包まれてくるようで、どんなに年齢を重ねてきてもこれだけはやめられない今日このごろなのであります。
で、このドラマ。
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」………。連載一回目に登場した「ドゥグンドゥグン」と同様に、つい2度見してしまいそうなインパクトのあるタイトルで思わずいろんなことを妄想してしまいそうですが、ドラマ自体は年上彼女と年下彼氏の恋のはじまりから結婚に向けての過程をリアルなタッチで描いているもので、女子が年上、男子が年下ということ以外、ごくごく普通の設定です。そうなんです。韓流というと、財閥だの不治の病だの殺人鬼だのを思い浮かべる方もまだまだ多いと思いますが、最近は普通の男女を描くドラマのほうがむしろ主流だったりして、これはまさにその代表作とでもいいましょうか。
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ヒロインのユン・ジナ(35歳)は、フランチャイズコーヒー専門店運営会社に勤務(ほら、普通)。仕事はできるものの上司のセクハラやパワハラにも毅然とした態度をとれずひたすら耐え続けるちょっとヒリつく日々を送ってます(これも働く女子にありがちシチュエーション)。挙げ句にソウル大出身の彼氏には若い女と二股をかけられ踏んだり蹴ったり。そこに現れたのが年下の幼なじみソ・ジュニ。大親友の弟で小学生の頃から家族のように親しくしていたジュニが海外赴任から帰国、3年ぶりに再会したことから、2人の恋が動き始めるというのが導入です。ちなみにジュニはゲームデザイナー(これも、まあ、普通)という設定。
確かに普通です。しかし、この普通がかなりよい。その証拠というのでもないですが、実はこのドラマは普通の設定でありながら、韓国で2018年に放送されたドラマの中で最も話題になった作品としても選ばれているほど。そして、ここが肝心。とにかく萌える。そうなんです。御曹司との身分違いの恋もきゅんきゅん切なくてよいですが、やっぱり現実性に欠けるのは否めない。私のまわりには、妄想よりも現実の恋愛がいいと言う女子も意外に多く(意外ではないか)、そういう点から見てみると、このドラマは、恋バナを映像つきでつぶさに聞かされているような、実際の恋愛を覗き見しているような、フツーがゆえの生なきゅんきゅんが身近に迫ってくる感じがたまらないのです。
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互いに好意以上の気持ちをもちながら、幼なじみゆえになかなかそれを言い出すことができない2人。相手の気持ちを面と向かって確かめるのもなんだか憚れる感じだし、手に触れたいけれど、肩を寄せたいけれど、寸でのところで手がだせない…。誰もが経験してきたそんな恋のはじまりの揺れながら高まっていく等身大の姿が、ジナのその世代が背負う現実的な日常と絡められながら、ややアンバーめの洒落た映像で上質なドキュメンタリーフィルムのように丁寧に繊細に紡ぎ出されていくので、なんだか自分まで、妙にリアルにドキドキ。思春期の男の子がちょっとHなビデオを見る時の感じってきっとこんなんかなあ(心臓が高鳴っていく音が聞こえそうでしょ)、なんて思いつつ…。
実は、私が参加している韓流好きが集うグループLINEでは、このドラマが1話進むごとに女子トーク(それなりにみんな年齢を重ねておりますが)で大盛り上がり。特に、ドラマ中盤、病院でのジナの着替えシーンでは、メチャさりげない場面なのに全員が文句なくキュン死(どこに出てくるかはお楽しみ〜)。久しぶりに現実の恋がしたいなぁ、とマジで思った次第です。
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ドラマ初主演のチョン・ヘインは、“年下男子ブーム”を巻き起こして大ブレイク!
ジュニを演じるチョン・ヘインは、このドラマが初主演で、この好演により大ブレイク(ちなみにLINE仲間の話題も彼が中心です)。母性本能をくすぐる爽やかな笑顔や年下なのに頼れる男らしさは、まさに年下彼氏の理想そのもので、この放送後韓国では“国民的年下男子”と呼ばれるまでになり、一気にトップ俳優の仲間入り。
ヒロイン役のソン・イェジンは、映画「私の頭の中の消しゴム」で日本でも有名な女優さんですが、彼女の持つじとっとしたウエッティさが本当に絶妙で、例えるなら、「男女7人秋物語」(例えがまたまた古くてすみません)の桃子を演じる大竹しのぶとでもいいましょうか。爽やかなだけに終わらせない湿り気ある生っぽさが恋愛ドラマにリアルな奥行きをもたせていて、さすが。
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ドラマ後半は、2人の関係がそれぞれの家族の知れることとなり、2人の間も大きく揺さぶられていくことになります。特に、ジナの母親のヒステリックなまでの反対は、2人の大きな障害となり観ていて心がザワザワ・ヒリヒリ。母親の反対なんてふりきっちゃえば…とも思いますが、現実の世界で考えてみると一番心が折れるのは、どんな障害よりもやっぱり最も愛する両親に心から祝福してもらえないことなのかもしれない、と改めて思う次第です。
2人がそれをどう乗り越えるのか、はたまた関係を終わらせてしまうのか…。どうか、じっくりと最後まで見届けてくださいませ。
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その言葉、気になる! ドラマのハングル・ワンポイントレッスン
【누나 밥 사줘】(ヌナ パブ サジョ)「姉さん ご飯おごってよ」
タイトルでも出てくる「おごる」という言葉は、ふたりの恋がはじまるきっかけにもなるキーワード。このドラマの冒頭で、ジナが3年ぶりに帰国したジュ二と出会うシーンが出てきますが、その場所はジナが勤めるオフィスのあるビルの前。実は偶然にもジュ二の勤める会社がジナのオフィスと同じビルにあったという設定なのでした(このくらいの偶然はお許しくださいませ)。
で、ジュ二は近くにどんなお店があるかわからないので一緒に御飯しようとジナを誘います。そこから恋がはじまるというわけで、今回のハングルは、その時のジュ二のセリフ。
「누나 밥 사줘(ヌナ パブ サジョ)」
「밥(パブ)」がご飯で、「사줘(サジョ)」がおごっての意味ですが、「おごる」の基本形は「사다」で、本来は「払う」とか「買う」という意味になります。つまり「払ってよ」というのが転じて「おごってよ」となるわけで、「今日は私がおごるね」だったら、「오늘은 내가 살게요(オヌルン ネガ サルケヨ)」。これ、ちょっと使えそうなフレーズですよね。
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で、実はもっと注目してほしいのがセリフの一番最初の「누나(ヌナ)」という言葉。訳は「お姉さん」ですが、もちろんジナとジュニには血のつながりはありません。누나は弟が姉を呼ぶ時に使う語句ではありますが(妹から呼ぶ場合は누나とは言わず「언니(オンニ)」)、年下の男子が年上の女子を親しみを込めて呼ぶ場合にもこの누나が使われるのです。なんかいい感じでしょう!? 私だって韓国の年下のイケメンBOYから「누나(ヌナ)」って呼ばれたい…。
で、同様に妹から兄を呼ぶ時は「오빠(オッパ)」という単語が使われます。누나と同様、年下女子が年上男子を親しみを込めて呼ぶ場合もこの「오빠(オッパ)」が使われます。恋人同士でも女性が年下の場合は彼を「오빠(オッパ)」と呼ぶことも多く、実は韓流ドラマにはまっている身としては、年上の素敵な韓国男子(主に俳優さんやK-POPアイドル)を「오빠(オッパ)」と呼びたい願望満々なのです。
でも、この年齢になってくると、なかなか「오빠(オッパ)」とは呼べる男性が少なくなってきているという現実。う〜む、ちょっと寂しい気分になる今日このごろなのでございます。
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「よくおごってくれる綺麗なお姉さん<韓国放送版>」
DVD-BOX1(第1話~第8話)、DVD-BOX2(第9話~第16話) 発売中 各15,000円
発売元:アクロス/松竹/ポニーキャニオン/韓流ぴあ
セル販売元:ポニーキャニオン レンタル販売元:松竹
山崎敦子
旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。最近は、韓国のオーディション番組プロデュースX101にはまりまくり、そこからデビューが決定した11人アイドルグループ「X1」に大注目中(今後機会があれば、そちらも記事に上げたい…)。ちなみにBTSも好きです。