健康診断で基準値を超えた!?50代特有のお悩み「コレステロール値急上昇」を徹底解説

特に生活習慣を変えたわけでもないのに、最近、健康診断でコレステロール値が高いという結果が……。そんな人、少なくないのでは⁉アラフィーになると数値が上がってくるのはなぜ?何か対策をすべき?コレステロールとの正しい向き合い方を詳しく解説します。
お話をうかがったのは
静風荘病院特別顧問 天野惠子先生

静風荘病院特別顧問 天野惠子先生

同病院の女性内科・女性外来担当。性差医療研究の第一人者。著書は『女性の「コレステロール」「中性脂肪」はこうして落とす!』(PHP研究所)など。

【1】コレステロール値が急上昇!これって何故?

気になっているアラフィー女性も多い、コレステロール急上昇事情をマンガでご紹介。

コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇
コレステロール値急上昇

更年期を迎えるとともに、急に高くなるコレステロール値。でも、慌てるべからず。アラフィー世代の正しいコレステロール値のとらえ方を、女性医療に詳しい天野恵子先生に教えていただきました。

女性ホルモンが減ると、悪玉コレステロールが増加

50歳を過ぎたころから女性に起こるのが、コレステロール値の急な上昇。すると“命にかかわる病気になるのでは……”と不安になってしまいがちだが、慌てる必要はないと話すのが、天野惠子先生。

「なぜなら、これは女性の自然な体の変化だからです。男性の場合は40〜50歳をピークに総コレステロール値が下がっていくのに対し、女性の場合は閉経後の50代から数値が急上昇して男性より高くなります(下グラフ参照)」

総コレステロールの年齢・男女比較(平成18年)

コレステロール値急上昇

その理由は、女性ホルモンの減少にあるとか。

「悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは肝臓でつくられ、血中に放出されたリポタンパク“LDL”に含まれるコレステロールです。全身の組織や細胞は、主にこのLDLからコレステロールを取り込みます。女性ホルモンのエストロゲンは、肝臓から血中へのLDLの放出や、取り込みをつかさどるほか、LDLを肝臓に取り込むLDL受容体が減らないように保つ働きもあります。でも、閉経とともにエストロゲンが減るとLDL女性ホルモンが減ると、悪玉コレステロールが増加受容体が減り、LDLコレステロールが肝臓に取り込まれず血中にたまります。ですから女性は更年期以降にコレステロール値が急に高くなるのです」

つまり、コレステロール値のとらえ方は、男女で異なるということ。

「近年までの医療では、このような体の男女差が考慮されておらず、コレステロール値についても、日本動脈硬化学会が定める基準値は男女ともに、総コレステロール値が140〜199㎎/dL、LDLコレステロール値が60〜119㎎/dLで、この範囲を超えると脂質異常症と診断されていました。そのため更年期以降の女性の多くが脂質異常症と診断され、コレステロール値を下げる薬が投与されていました。しかしながら、男性は140㎎/dL以上の“高LDLコレステロール血症”だと心筋梗塞のリスクが1.5倍高まることがわかっていますが、女性はリスクの差が確認されておらず、心筋梗塞の危険因子とされていません。ですから更年期以降にコレステロール値が高くなっても、過剰に気にする必要はないのです」

男女別の新しい基準値の発表により正常の範囲が広がる

その後、’14年に日本人間ドック学会から男女別の基準値が発表され、こちらでは女性は年齢別の基準値も設けられ、全体的に基準値が高めの設定に。

「日本人間ドック学会の新基準だと、今まで脂質異常症と診断されていた人の多くが、正常の範囲内となり、薬を飲まなくてもよくなりました。ただ、どちらの学会の数値を適用するかは医療機関によって違い、診断結果や治療方針が異なってしまうという問題がありました。しかし、’17年に日本動脈硬化学会から、自分のコレステロール値や血圧などから、心筋梗塞などの冠動脈疾患にかかるリスクを割り出す方法が発表され、自分の病気のリスクをよりパーソナルに診断できるようになりました。この方法でチェックするのがおすすめです」

たとえ基準値を超えたとしても、コレステロール値は基本的に生活習慣によって改善が可能。次の記事で、コレステロールについてさらに詳しく解説するので、正しい知識をもって向き合って。

エストロゲンが減るとLDL受容体が減り、LDLコレステロールが増える

コレステロール値急上昇

肝臓内でLDLコレステロールとくっつき、細胞に取り込む働きをするのがLDL受容体。肝臓にエストロゲンが作用しているとLDL受容体が増え、LDLコレステロールは細胞内に取り込まれる。しかしエストロゲンが減るとLDL受容体が減少し、LDLコレステロールが細胞に取り込まれず血液中にあふれ、コレステロール値が上昇。

【2】健康診断表はここをチェック

健康診断表でチェックすべきコレステロールの項目をご紹介します。

気になるコレステロール。健康診断表はここをチェック

検査項目 2020年4月 2019年4月








肝機能 AST(GOT)
ALT(GPT)
γ-GTP
26
30
14
22
23
13
脂質 総コレステロール
LDLコレステロール
HDLコレステロール
non-HDLコレステロール
中性脂肪

259
165
76
183
60

248
153
80
168
81
尿検査 (-) (-)








(イメージ例)

用語の解説

《総コレステロール》

LDLやHDLコレステロールなどを合計した血液中のコレステロールの総量。総コレステロール値が高くても、善玉のHDLが多ければ、悪玉のLDLは少なくなるので、あまり心配することはない。

《LDLコレステロール》

悪玉と呼ばれるコレステロール。基準値より高いと「高LDLコレステロール血症」で、脂質異常症とされる。ただ、女性の場合は高LDLコレステロール血症は心筋梗塞の危険因子とされていない。

《HDLコレステロール》

善玉と呼ばれるコレステロール。基準値より低いと「低HDLコレステロール血症」という脂質異常症。LDL値が高い人より、HDL値が低くて中性脂肪値が高い人のほうが病気になるリスクが高い。

《non-HDLコレステロール》

総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いた値で、動脈硬化のリスクを総合的に管理できる指標。日本動脈硬化学会の基準値は170㎎/dLで、これ以上なら「高non-HDLコレステロール血症」。

コレステロール値急上昇

コレステロールの基準値には2種類あり、より女性の体の変化に則した基準値も

  女性 男性
総コレステロール 30〜44歳=145〜238㎎/dL
45〜64歳=163〜273㎎/dL
65〜80歳=175〜280㎎/dL
151〜254㎎/dL
LDLコレステロール 30〜44歳=61〜152㎎/dL
45〜64歳=73〜183㎎/dL
65〜80歳=84〜190㎎/dL
72〜178㎎/dL

例えば…

55歳女性

・総コレステロールが260㎎/dL

LDLコレステロールが150㎎/dL

新基準内では正常範囲内!

コレステロールの基準値は、日本動脈硬化学会と日本人間ドック学会で異なり、後者のほうが基準値が高く設定されている。例えば総コレステロール値が260㎎/dL、LDLコレステロール値が150㎎/dLの55歳女性の場合、日本動脈硬化学会の基準では脂質異常症だが、日本人間ドック学会の基準では正常の範囲内と診断される。

【3】そもそも「コレステロール」って何?

コレステロールには善玉や悪玉があるくらいは知っているものの、体でどんな働きをするものなのか、よく知らない人も多いはず。悪者扱いされがちだけれど、実は生命維持に欠かせない「コレステロール」。女性医療に詳しい、清風荘病院特別顧問・天野恵子先生に、コレステロールの正しい働きを教えてもらいました。

細胞膜やホルモンの材料となるなど、生命維持に不可欠

そもそもコレステロールとは、タンパク質や炭水化物とともに3大栄養素といわれる脂質の一種。

「人間の体は、およそ37兆個もの細胞でつくられていますが、そのひとつひとつを覆う細胞膜の材料となるのがコレステロールです。細胞膜は、ウイルスなどが細胞内に侵入してくるのを防ぎ、さらに細胞内の物質が外に出てしまわないようにする役割も。ですからコレステロールが減ると細胞膜は脆くなり、免疫力が低下して感染症や病気にかかりやすくなるうえ、血管ももろくなり、脳出血などが起こりやすくなります」。

現在、大きな問題となっているウイルスから体を守るためにもコレステロールは重要な存在なのだ。

「さらにコレステロールは、女性ホルモンのエストロゲンなどさまざまなホルモンの材料になったり、脳の神経細胞や神経線維を保護して情報を正しく伝えたり、食べ物からの脂肪分の吸収を助ける胆汁酸や、ビタミンDの材料になったりと、私たちが生命を維持するために欠かせない重要な要素なのです」。

肝臓の働きとコレステロール

人体に必要なコレステロールは体内で一日に1〜1.5gが合成されるのに対し、食べ物から摂取されるのは0.3〜0.5gとされている。そして体内でコレステロールがつくられる器官は主に肝臓。

「食べ物に含まれるコレステロールが体内に取り込まれると、いったん肝臓に蓄えられたあと、分解されます。食べ物からとったコレステロールが多いと肝臓はコレステロールをつくる量を減らします。また、コレステロールが過剰になると肝臓の酵素によって分解されて胆汁酸となり、胆汁として胆のうに送られたあと、小腸に送られ、便となって体外に排出されます。このように肝臓では体内のコレステロールが一定になるように需要と供給のバランスがうまく調整されているのです」。

悪玉(LDL)コレステロールと善玉(HDL)コレステロールって何?

“悪玉”と呼ばれるLDLコレステロールも実は体には必要。

「LDLは体の隅々にコレステロールを運ぶ役割があり、これによってさまざまな組織はLDLを細胞内に取り込み、細胞膜やホルモンをつくれるのです。ただ、血液中にLDLが増えすぎると血管壁で酸化して“酸化LDL”に。これが血流を悪くしたり、血栓をつくり動脈硬化を招くので“悪玉”と呼ばれます」。

一方、体中の組織で過剰になったコレステロールを回収して肝臓に戻すのがHDLコレステロール。

「血液中のコレステロールの増加を防ぐので“善玉”と呼ばれるのです」。

悪玉のLDLが増えすぎたり、善玉のHDLが減りすぎると、脂質異常症と呼ばれる状態に。

コレステロール値急上昇

脂であるコレステロールはそのままでは血液に溶け込めないので、水に溶けやすい“アポタンパク”というタンパク質と結合し、リポタンパクという物質になって血液中を移動している。

脂質異常症の種類

高LDLコレステロール血症

LDLコレステロール値が140㎎/dL以上の場合。また、120〜139㎎/dLの場合は「境界域高LDLコレステロール血症」とされ、これに高血糖や高血圧、喫煙などほかの危険因子が加わると冠動脈疾患発症リスクが高まる。

低HDLコレステロール血症

HDLコレステロール値が40㎎/dL未満の場合。女性は、閉経後にHDLコレステロール値が急低下。そのため米国の「女性のための心血管疾患予防ガイドライン」では管理目標が50㎎/dLに引き上げられている。

高中性脂肪血症

中性脂肪値が150㎎/dL以上の場合をさす。コレステロール値とともに中性脂肪値が高くても脂質異常症と診断されるので健康診断ではこの値もチェックを。血中に中性脂肪が増えるとHDLコレステロールが減少。

※日本動脈硬化学会診断基準

動脈硬化のすすみ方

脂質異常症になると問題なのは、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気を引き起こす動脈硬化を招くから。「動脈硬化にはいくつか種類がありますが、コレステロールが深くかかわっているのが“アテローム動脈硬化”。これは大動脈や脳動脈などの太い動脈で起こり、動脈の内膜にコレステロールなどの脂肪からなるドロドロした粥状物質がたまって“アテローム”と呼ばれるこぶができて起こるものです。これが破れると血栓ができて血管が詰まり、それが血流にのって運ばれると細い動脈を詰まらせてしまいます」。

コレステロール値急上昇

高血圧や高血糖などによって血管に負担がかかると、血管の内皮細胞が傷つき、そこにLDLコレステロールが集まってくる。

コレステロール値急上昇

内皮細胞に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化され、悪の根源である“酸化LDL”になる。

コレステロール値急上昇

酸化LDLを処理するため白血球の一種の単球が内皮細胞に入り込んでマクロファージに変わる。それが酸化LDLをどんどん取り込む。

コレステロール値急上昇

マクロファージはドロドロの粥状になり、それがたまるとこぶのようなアテロームに。これが破れるとそこに血栓ができ血管が詰まる。

【4】「動脈硬化」のリスクを自分でチェック

健康診断の数値を見ても、自分はどれくらい冠動脈疾患のリスクがあるのかわからないもの。それを判断できる計算式を大公開。病気のリスクの高さが簡単に診断できるので、この機会にチェックしてみて。

危険因子の点数の計算で自分の動脈硬化リスクがわかる

更年期にコレステロール値が高くなっても慌てなくていいとはいえ、病気のリスクを高める危険因子がほかにある場合は注意が必要。そこで活用したいのが、’17年に日本動脈硬化学会から発表された、自分の冠動脈疾患のリスクを診断できる下の計算式。「冠動脈疾患の危険因子には、喫煙、糖尿病、高血圧、遺伝などがあります。この計算式は、年齢や性別、自分のコレステロール値のほか、喫煙の有無、血圧、耐糖能異常(糖尿病予備軍の状態)の有無、家族歴といった要素をもとに採点することで自分の冠動脈疾患リスクの度合いを診断できます。例えば50歳の女性で、血圧が125/85㎜Hg、HDLコレステロールが60㎎/dL、LDLコレステロールが90㎎/dLで、喫煙習慣・耐糖能異常・早発性冠動脈疾患家族歴がない人の場合は、合計が25になるので、低リスクとなります」。この計算が簡単にできるアプリ「冠動脈疾患発症予測 脂質管理目標値設定ツール」も登場。さっそく計算してみて、中〜高リスクになった人は「更年期世代ができる生活改善アドバイス」の方法を実践して改善を。

危険因子①〜⑧の点数を合算する。

   

点数

①年齢(歳) 35-44 30
45-54 38
55-64 45
65-69 51
70以上 53
②性別 男性 0
女性 -7
③喫煙 喫煙有 5
④血圧 至適血圧 <120 かつ <80 -7
正常血圧 120~129 かつ/または 80~84 0
正常高値血圧 130~139 かつ/または 85~89 0
Ⅰ度高血圧 140~159 かつ/または 90~99 4
Ⅱ度高血圧 160~179 かつ/または 100~109 6
⑤HDL-C
(㎎/dL)
<40 0
40-59 -5
≧60 -6
⑥LDL-C
(㎎/dL)
<100 0
100-139 5
140-159 7
160-179 10
≧180 11
⑦耐糖能異常 あり 5
⑧早発性冠動脈疾患家族歴 あり 5

吹田スコア(LDLモデル詳細)

①〜⑧の合計得点が【35以下】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【<1%】

発症確率の範囲【最小値/ー・最大値/1.0%】

発症確率の中央値【0.5%】

分類【低リスク】

①〜⑧の合計得点が【36-40】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【1%】

発症確率の範囲【最小値/1.3%・最大値/1.9%】

発症確率の中央値【1.6%】

分類【低リスク】

①〜⑧の合計得点が【41-45】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【2%】

発症確率の範囲【最小値/2.1%・最大値/3.1%】

発症確率の中央値【2.6%】

分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【46-50】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【3%】

発症確率の範囲【最小値/3.4%・最大値/5.0%】

発症確率の中央値【4.2%】

分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【51-55】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【5%】

発症確率の範囲【最小値/5.0%・最大値/8.1%】

発症確率の中央値【6.6%】

分類【中リスク】

①〜⑧の合計得点が【56-60】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【9%】

発症確率の範囲【最小値/8.9%・最大値/13.0%】

発症確率の中央値【11.0%】

分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【61-65】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【14%】

発症確率の範囲【最小値/14.0%・最大値/20.6%】

発症確率の中央値【17.3%】

分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【65-70】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【22%】

発症確率の範囲【最小値/22.4%・最大値/26.7%】

発症確率の中央値【24.6%】

分類【高リスク】

①〜⑧の合計得点が【≧70】

10年以内の冠動脈疾患発症確率【>28%】

発症確率の範囲【最小値/28.1%・最大値/ー】

発症確率の中央値【28.1%以上】

分類【高リスク】

出典:日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』吹田スコアによる冠動脈疾患発症予測モデル

例えば…

50歳女性・喫煙なし

血圧…125/85

HDLコレステロール…60㎎/dL

LDLコレステロール…90㎎/dL

耐糖能異常なし

早発性冠動脈疾患家族歴なし

→低リスク

発症確率を上げる〈危険因子〉って?

コレステロール値急上昇
「閉経後の女性の動脈硬化リスクを高める危険因子には、加齢、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満(メタボリックシンドローム)、冠動脈疾患の家族歴などがあり、特に喫煙と糖尿病が重大とされています。脂質異常症のほかにこれらの危険因子がある人は、生活習慣を見直して取り除いて」

閉経前にコレステロール値が高い場合は「家族性高コレステロール血症」を疑う

閉経前からコレステロール値が高い場合は、遺伝性の“家族性高コレステロール血症(FH)” の可能性が。「これは生まれつきLDL受容体に異常があって起こる脂質異常症で、早期診断や早期治療が必要です」。家族性高コレステロール血症のうち、約500人にひとりはいるとされる“FHヘテロ接合体タイプ”には右のような特徴が(2つ以上あてはまると診断)。親もコレステロール値が高い場合は要注意。

〈FHヘテロ接合体タイプ〉

・LDLコレステロール値が180㎎/dL以上(250㎎/dLの場合は強く疑う)

 

・FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)

 

・腱黄色腫(手の甲、肘、膝などの腱黄色腫あるいはアキレス腱肥厚)あるいは皮膚結節性黄色腫が見られる

※日本動脈硬化学会による15歳以上の診断基準

【5】<運動・ウォーキング編>今日から始められる生活改善アドバイス

コレステロール値が高くなったら、生活習慣の改善が必要。コレステロール値に問題がない人も、実践しておけば将来の病気の予防にもつながります。まずは、すぐに始められる「運動」と「ウォーキング」に関するアドバイスを、静風荘病院特別顧問・天野先生に聞きました。

生活習慣を改善して、病気の芽を早めに摘もう

コレステロール値が異常で脂質異常症と診断されても、すぐに薬での治療が必要なわけではなく、まずすべきは生活習慣の改善。

「ポイントは、動脈硬化をすすめる危険因子である糖尿病、高血圧、喫煙、肥満を、生活習慣を変えて取り除くことです。喫煙者は禁煙をするのはもちろん、食事や運動、ストレス発散、規則正しい生活、十分な睡眠なども、これらの危険因子の改善によいことがわかっています。生活を改善すれば、老化のスピードを遅らせて、健康寿命を延ばすことにもつながります。ここでご紹介するような方法も取り入れて、病気の芽を早めに摘みましょう」

【運動】

脂肪を減らす有酸素運動や、筋肉量を増やす筋トレを

運動不足だと動脈硬化がすすみやすいことがわかっているので適度な運動が必要。「まずおすすめなのがウォーキングなどの有酸素運動。脂肪の燃焼を促すので体脂肪を減らすのに最適。一日に30分以上、週3回以上行うのが理想的ですが、むずかしければ10分の運動を週3回行うことから始めて。慣れてきたら筋トレも取り入れると筋肉量が増えてより太りにくい体に。ここで紹介するような筋トレを一日10分、週2〜3回以上行いましょう」。

太ももの後ろやおしりの筋力をつける

1セット10回、3セットを週に2〜3回

コレステロール値急上昇

1.仰向けになり、足は肩幅程度に開き、膝は90度に曲げる。

コレステロール値急上昇

2.息を吐きながら4秒ほどでおしりをゆっくり上げる。息を吸いながら、4秒ほどでゆっくりと下ろす。

《注意点》

・おしりは無理に上げすぎない

・おしりを上下する動きはゆっくりと

・きついと感じるときは床からおしりを低めに上げる

腹筋や背筋を鍛える

左右交互に5回ずつを1セット、1セットを週に2〜3回

コレステロール値急上昇

1.手と膝を床につけ、四つんばいになる。手と足は肩幅程度に開く。

コレステロール値急上昇

2.息を吐きながら、ゆっくりと片側の足をまっすぐ上げる。床と平行にして水平に。

3.同様に、上げた足と反対側の手を床から離し、まっすぐ前に伸ばす。床と水平にして、上げた足と腕が一直線になるように。

4.この姿勢を10秒保ったあと、息を吸いながらゆっくり最初の姿勢に戻す。

《注意点》

・足はおしりより上に上げない

・きついと感じるときは手か足だけを上げる

【ウォーキング】

一日に8000〜10000歩を目標に歩くのが理想的

有酸素運動で、最も手軽に実践できるのがウォーキング。「有酸素運動は、呼吸をしながら酸素を体内に取り込むことで脂肪が燃焼するので、息が上がらずおしゃべりができるくらいの“ニコニコペース”で歩くのがポイント。一日に20〜25分程度、8000〜10000歩歩くのがおすすめです。早朝や夜は避け、夕方に行うのがベスト。食事の直後は避け、運動の前後や最中は、こまめに水分補給をするよう気をつけながら行いましょう」。

息の上がらない“ニコニコ”ペースで

コレステロール値急上昇

【6】<食事・睡眠・ストレス発散編>更年期世代へ生活改善アドバイス

コレステロール値が高くなったら、まずは生活習慣の改善が必要! そのためには、食事・睡眠・ストレス発散がポイントに。今日から始められる、更年期世代ができる生活改善の方法を、静風荘病院特別顧問・天野惠子先生がアドバイス!

【食事】

食物繊維をしっかりとり、糖質は食事の最後に

食べすぎや、動物性脂肪や糖質のとりすぎ、過度の飲酒は脂質異常症を招くのでNG。「逆にとるといいのはコレステロール値を下げる効果がある食物繊維。野菜や海藻類、キノコ類など食物繊維の多い食品を最初にとると血糖値の急上昇が抑えられ肥満予防に。まず食物繊維、次にタンパク質、続いて脂質が多めのもの、最後に糖質の順でとりましょう。また、タンパク質が不足すると血管がもろくなり動脈硬化がすすむのでしっかりとること」。

コレステロール値急上昇

《天野先生おすすめスープ》

天野先生のおすすめが生活習慣病やがんなどの予防によいとされる“ハーバード大学式野菜スープ”。「キャベツ、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃ各100gずつをひと口大に切り、1ℓの水に入れて20分ほど煮込むだけ。素材のもつ甘味が出るので味つけなしでもおいしく、ビタミンや抗酸化成分がたっぷり。私もこまめにとっていますが、続けるうちに味覚が変わって薄味を好むようになり、減塩になって高血圧も改善!」。

コレステロール値急上昇

【睡眠】

毎日同じ時間に起床、就寝し、体内時計を整えて

生活リズムを整えることも大切。「体内時計が乱れると自律神経やホルモン分泌に影響し、冠動脈疾患のリスクを高めることにもつながります。ですから毎日できるだけ同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにし、規則正しい生活を心がけましょう。疲労やストレスの原因になる活性酸素の分解を促すため、睡眠の質を高めることも大事。寝る前にスマホを見ると寝つきが悪くなるので、寝室では寝る以外のことをしないようにしましょう」。

【ストレス発散】

ストレッチや入浴、腹式呼吸でリラックスを心がけて

ストレスを受けると、コルチゾールなどのストレスホルモンが増加し、LDLコレステロールや中性脂肪をコントロールする力が弱まり、数値を上げる原因に。「ストレスを受けているときは心も体も緊張状態にあるので、軽くストレッチをしてこわばった筋肉をほぐしましょう。ぬるめのお風呂にゆっくりとつかるのもリラックスできておすすめ。また、腹式呼吸をすると気持ちが落ち着き、血圧の上昇も抑えられるので、取り入れてみて」。

心を落ち着かせる腹式呼吸

10〜20回繰り返す。

コレステロール値急上昇

1.仰向けになり、膝を立て、両足は肩幅程度に開く。鼻から大きく息を吸い込む。おなかを膨らませる意識で。

コレステロール値急上昇

2.口からゆっくり長く息を吐く。徐々におなかをへこませる。

《注意点》

口から息を吐くときは腰に力を入れないようにする。夜寝る前に行うのがおすすめ。

【7】数値高めだと病院ではどんな検査・治療をするの?

 頸動脈エコーで問題があったり、糖尿病がある場合は薬で治療 

薬で治療をすべきかどうかを診断するために行われるのが頸動脈エコー。

「これは頸動脈に超音波を当てることで動脈硬化の程度を調べる検査。コレステロール値が基準値内でも頸動脈エコーで血管内にプラーク(血管壁の肥厚)や血栓が見られる場合があるので、閉経後の女性はまずこの検査をすることが大切なのです。検査で問題があったら薬による治療を行います。また、脂質異常症があってほかの危険因子があり、生活習慣を改善しても数値が正常にならない場合や、脂質異常症と糖尿病が合併している場合も、薬での治療が必要です。一般的に使われるのが、血液中のLDLコレステロールを減らす“スタチン”という薬。この薬を服用すれば一年ほどで血管内のプラークが消える場合が多いです。そのまま薬を続けてもいいですし、生活習慣に気をつければ薬をやめることも可能です」。

頸動脈エコー

頸動脈エコーは、首の頸動脈に超音波を当てることで、中内膜肥厚度(血管壁の厚さ)やプラークの状態などを画像で見て、動脈硬化の進行具合を調べられる検査。

コレステロール値急上昇

よく使われる薬はスタチン

スタチンは、コレステロールを合成する酵素を阻害して肝臓のLDL受容体の数を増やし、血液中のLDLコレステロールを減らす薬。動脈硬化による冠動脈疾患や脳血管疾患の予防に効果があるとされ、脂質異常症の薬物治療で最も広く使われている。糖尿病患者の冠動脈疾患のリスクを減らすこともわかっている。スタチンには以下のような種類がある。

・プラバスタチン
・シンバスタチン
・フルバスタチン
・アトルバスタチン
・ピタバスタチン
・ロスバスタチン

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