「前回出演したときは、演出家に従ってウェルテルを演じましたが、今回は自らいろいろ考えるようになりました。5年前は、同じ役だった先輩のチョ・スンウさんが13年ぶりの出演にあたって悩まれている姿を見て、なんでだろうと不思議だったんですが、今回は僕も悩みすぎたのか、稽古中に急に迷いが生じてきたんです。共演者からも『稽古をしすぎて何かにはまってしまったんだろう』と指摘されるほど、前回のときより大変でした。僕も年齢を重ねて先輩の気持ちがわかるようになったんですね」
チョ・スンウは韓国ミュージカル界を代表するトップスター。そんな先輩の気持ちが理解できるようになったのは、それだけ成長したからに違いない。婚約者がいるロッテに恋をするウェルテルという悩み多き人物を演じるため、気遣った点はどこだったのだろう。
「5年前と同じく、外見にはかなり気を遣いました。ウェルテルは結局死を選ぶので、ふっくらしていたり筋肉質だったりするとやや不自然だと思ったんです。でも、同じ役のナ・ヒョヌさんはがっしりしていて、筋肉だけでできているというか……。その姿を見た演出家が、彼に筋肉を落とすようにいいながら、その場にいた僕のことをさして『キュヒョンを見てごらん! まるで今にも死にそうな、運動とは無縁の体を』って(笑)。確かに、役のことを考えて自然と少食になっていたんです」