スタイリスト 大草直子
おおくさ なおこ●’72年生まれ。雑誌の編集者を経て、ファッション誌や新聞を中心にスタイリングをこなすかたわら、webメディアの主宰やイベント出演、執筆業も精力的に取り組む。近著に『飽きる勇気好きな2割にフォーカスする生き方』(講談社)。
体型や着こなしの変化を経て今またデニムといい関係に
ZARA すそを自分でカットしたというZARAのデニム。「トレンドを取り入れるときは安心感のあるデニムに頼ることが多くて、このライトカラー&ハイウエストのデニムは、大人がはくと圧倒的に新鮮に見える旬の一本。カーブになったシルエットが少年っぽいイメージで、相反するラグジュアリーなブラウスを合わせることで、成熟した女性らしいテイストMIXに」。(すべて大草さん私物)
センタープレスで脚がすっきり見えるミラ オーウェンのホワイトデニムはモノトーンでまとめ、足もとはヒールサンダルで女っぽく」(大草さんのInstagramより)
若いころは似合わなかったというブラックデニムも、大人になってからは頻繁にはくように。シーンを選ばないから、旅行にも必ず持参。(大草さんのInstagramより)
RED CARD 30代から変わらず好きなデニムブランドはレッドカード。「ストレッチ入りなので、はいたそばから肌になじんで、それが女の人の仕草や動作をストレスにしない。日本人の脚に合わせた丈感やヒゲの入り方もパーフェクト!」。デニム 各¥20,900/ゲストリスト(レッドカード)
着用のデニムは、大草さんの“好き”を全部つめ込んだシーズンスタイルラボ別注。
絶妙なヒゲの加工で、脚を立体的にいきいきと見せてくれるというレッドカードのデニム。メンズライクな着こなしもどこか女性らしい印象に。(大草さんのInstagramより)
夫婦で愛用しているアッパーハイツのデニムは、柔らかなはき心地と大人の体型をカバーしてくれる高度な加工が魅力。(大草さんのInstagramより)
細身のテーパードデニムに、甘めのブラウス&フラットシューズ合わせがまさに今の気分。(大草さんのInstagramより)
40代半ばに転機を迎えた“大人流”デニムのおしゃれ
30代のころ、週6ではいていたというデニム。 「子育てと仕事で記憶がないくらい忙しかった時期に、汚れてもアイロンをかけなくてもOKなデニムには本当に助けられました。ボーイフレンドデニム+カシミヤニット+バレエシューズが、当時の私の制服でしたね」 その後、40代前半は体型の変化でデニムから少し離れていたけれど、3年くらい前に、また自分の中で「大人のデニム元年」がやってきたのだとか。 「今またデニムと復縁(笑)。30代のころとは選び方が変わってきたことで、はきたい気分が再燃しました。以前は、ボーイフレンドデニム一択だったけれど、今はもっぱら細身のテーパード。大人になると柔らかい肉がついてくるヒップや太もも部分を、あえて隠さずきれいに見せてくれるのがテーパードなんです。オーバーサイズのブラウスでもタイトなニットでもすっきり見えるし、足もとだってフラットでもヒールでも、と実に万能! 今着たいと思う、大人のあらゆるコーディネートにしっくりくるんですよね」
モデル 田波涼子
たなみ りょうこ●『JJ』専属モデルとしてデビュー後、『CLASSY.』など数々のファッション誌でカバーモデルとして活躍。現在はモデル業のかたわら、2児の母としてのライフスタイルも多くの女性から支持されている。
きれいめも、アクティブも毎日デニムで着分けています
Dries Van Noten 「鮮度の高いピンクデニムでショッピングへ」 淡いピンクのデニムは、今季購入したお気に入りの一本。「ピンクはふだんあまり着ない色ですが、デニムでなら自分らしくトライしやすいし、淡い色みだから派手にならず合わせやすいんです。デニムがメンズっぽい太めストレートなので、足もとはヒールで女性らしく仕上げました」。グレーとの配色も大人好み。(すべて田波さん私物)
MOUSSY 「女友だちとのランチには気取らずきれいな甘辛MIX」 甘めなレースブラウスを、ウォッシュ感の強いデニムとフラットサンダルでカジュアルダウン。「自然なテーパードラインは、どんなトップスも靴も合わせやすくて、はくだけですらりと見える一本。若いころとは違って、今はもっぱらフラット派。例えばビーチサンダルでもバランスよくはけることが、デニム選びの条件に」。(すべて田波さん私物)
Levi’s 「ドライブのデニムははきやすさで選びます」 3年前に出会ったリーバイスのヴィンテージデニム。「ヴィンテージだけれど、きれいめにはけるインディゴカラー。ブルー系で軽やかにまとめました。体になじむ柔らかなはき心地は、長時間座りっぱなしのドライブにも最適」。太すぎないストレートシルエットは、腰張り体型をカバーしてすっきり見えるそう。(すべて田波さん私物)
20代のころから、今もほぼ毎日デニムだという田波さん。ドレスコードが許す範囲で、あらゆるシーンをデニムで着分けているそう。
「若いころはストレッチデニム&ハイヒールがお決まりで、脚をきれいに見せることが最優先だったけれど、今は、きちんと&カジュアル、フェミニン&マニッシュなど、どちらにもいきすぎないテイストMIXが一番落ち着きますね。トップスが甘めならラフな小物で抜け感をつくるとか、ボーイフレンドデニムには女っぽい靴を合わせるとか……。デニムを中心にすると、自分好みのバランスがつくりやすいんです。デニムもコレと決めず、その時々で無理なくはけるものをいろいろ楽しんでいます」
モデル 浜島直子
はまじま なおこ●’76年生まれ。“はまじ”の愛称で親しまれる人気モデル。テレビ出演やラジオパーソナリティなど、多方面で活躍。夫・アベカズヒロ氏とのユニット「阿部はまじ」として絵本『ねぶしろ』(ミルブックス)など、近著は初の随筆集『蝶の粉』がある。
SINME 見た目はデニムなのに、実はリネン100%というこのパンツ。「暑がりなので、夏にも涼しくはけるこのデニムはまさに求めていた一本! 丈感もたっぷりに、ゆるめシルエットの魅力を生かしたくて、あえてワンサイズ大きいものを選びました。ウエストをぎゅっと絞り、トップスはインして、ハイウエストのバランスを楽しんでいます」。カーディガンがわりのジャケット合わせでシックに。(すべて浜島さん私物)
「スウェット感覚のはき心地としゃれ見えが両方手に入る!」 色違いでブルーも持っているという愛用品。「スウェット感覚ではけるくらい楽だし、ウォッシュの入り方や色合いがワンランク上のおしゃれ感に見せてくれるので、くたくたになって膝も出るくらいはき込んでいます(笑)。コンバースのハイカットと絶妙に合う丈感も好み」。
「20代のときに買った愛着の一本。きっと一生好きだと思います」 ’70sムード漂うベルボトムのデニムは、28歳のとき清水の舞台から飛び降りる気で買ったもの。「何度も断捨離をくぐり抜けてきた一本は愛着もひとしお。今はたまにしかはかないけれど、この先同じタイプのデニムでもっと好きなものに出会わない気がして手離せないんです」。
「ボーイフレンドなのに絶妙に女らしいのがお見事」 ユナヒカ×黒田知永子さんコラボのデニムは今季購入。「昔好きでよくはいていたボーイズデニムに似ているけれど、これはゴワゴワ感が緩和されていて、ロールアップしたときのしっくりおさまるバランスも、きちんと大人の女性向きの仕上がり。さすが! と唸った逸品です」
「私が20代のころは、デニムといえばスキニーデニムが全盛期で、私もストレッチのピタピタデニムにヒールを合わせるコーディネートをよくしていました。でも40代になると体型も好みも変わって、とにかく“楽で今っぽくて様になるデニム”ばかり探すように。おなかまわりを締めつけないハイウエストで、立ったり座ったりの動きもストレスにならない、ほどよくゆるめシルエットが、今の私のスタンダード。デニムや白シャツなど定番のアイテムほど、アップデートしないと古くさく見えてしまうので、丈やウエストの位置など自分の中で小さな変化を起こしながら楽しんでいます」
若いころのように、週の半分はデニム、という頻度ではなくなったけれど、今もデニムが自分のスタイルになくてはならないものという認識は変わらないそう。
「今は、スーパーへ行ったあと、子供と公園へ行くようなアクティブな日か、もしくは、ジャケットをデニムでドレスダウンしたりというふうにぐっとおしゃれをする日か。その両極端などちらかのシーンではくことが多いですね」
「今も昔も501。どこかに女性らしく見えるポイントを」
Levi’s 学生時代から今まではいてきたジーンズは、ほぼリーバイス501。古着もリペアしながら大切にはいているそう。 「ヒップ上のすっきり直線的なラインや、あせてきたときの独特の色合いが魅力。同じ501でも登場頻度にローテーションがあって、ここ数年一番よくはいているこの一本は、男性の友人から譲り受けたもの」。 古着のデニムを素敵に着こなすポイントは? 「汚い古着スタイルは年齢的にNGなので、どこかきれいに見えるポイントをつくって“あえて”感を演出します。このボーイッシュなデニムには、コンパクトなニットとレースのパンプスで女らしさを」。(すべて松井さん私物)
福田亜矢子さん (スタイリスト/NORCディレクター)
「ワンピース+濃色スキニーの重ね着が大人にちょうどいい」
NORC 「昔は週3ではいていたブルーデニムも、白Tシャツと同じように、年をとって似合わなくなったと感じるもののひとつ。今はほぼブラック派で、ワンピースやチュニックに重ねるスタイリングが多いですね。ボリュームのあるトップス+ブラックやグレーの濃色デニムが、大人の体型をすっきり見せてくれる理想のバランス!」。 選ぶポイントは、ストレッチ入り、ハイウエスト、切りっぱなしの3カ条がマスト。 「伸びがいいデニムをひとつ下のサイズでピタッとはくのが、もたつかせないコツ。切りっぱなしは、重ね着したときも足もとにニュアンスが出るんです」。(すべて福田さん私物)
門脇美恵さん(Deuxieme Classe デザイナー)
「ヴィンテージの素材感を今のシルエットで楽しめる一本」
RE/DONE 「30代は古着にハマって、ヴィンテージのデニムをたくさん買いました。当時のものは今でもよくはいています。なかには10万円以上するものも!」。 着用のデニムは、リーバイスのヴィンテージデニムをカスタムしたリダンのもの。 「シルエットは時代によって気分が変わるけれど、変わらず好きなのはリーバイスのタフな素材感。リダンはその風合いを生かしながら、シルエットを今の時代にアップデートしているからはきやすいんです。これは比較的細身で、最近気になる王道トラッドとも好相性。シンプルなカジュアル服を小物で盛り上げるスタイルが好きです」。(すべて門脇さん私物)
根岸由香里さん(Ron Herman ウィメンズ・ディレクター)
BERBERJIN×Levi’s 「中学生のとき、お年玉で初めて買ったのがデニム。それから飽きることなく今でも週の半分はデニムです」という根岸さんが選んだのは、’50年代のデッドストックのリーバイス701。 「ヒップにかけて丸みをつけた701は、女性の体をバランスよく見せてくれるモデル。すとんと落ちるハイウエストのストレートは、今の自分の体型にも合うんです。もともとリジッド好きなのですが、最近は特に、パンツ感覚でパリッとデニムをはきたい気分です」。 全身デニムのようなカジュアルなコーディネートも、甘さのあるリネンのトップスできれいな印象に。(すべて根岸さん私物)
カジュアルすぎるかも、体型のくずれが目立つかも……とモヤモヤして、年々デニムから遠ざかっていない? 大人ならではの選び方、着こなしを指南。きっとデニムがはきたくなる、大人ならではのデニムコーデをニーズ別に公開。
スラックス感覚で着られるきれいめ感とデニムのもつラフさが大人にちょうどいいホワイトデニム。ブルーデニムより着るシーンを選ばず、清潔感と女らしさもアップする。
アラフィーのデイユースに欠かせない「デニム」。おしゃれなアラフィー読者ブロガーはどんなブランドやデニムをはいているの?アラフィー読者ブロガーの愛用しているデニム&コーディネートを大公開!
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