ファッション業界屈指の理論派スタイリスト・大草直子さんが、アラフィー読者の大人の体型悩みにアドバイス!トレンドアイテムを巧みに取り入れながら、スタイリッシュに解決!
①読者100人の悩みに目を通し、考えました
今回も、たくさんのご質問を寄せていただき、ありがとうございました。前回同様、すべてのご質問に目を通しました。
体型、着こなし方、スタイリングの方法――私を含めたエクラ世代が抱える悩みやモヤモヤに、「今買える服」でお答えするのが今回のテーマです。
最も多かった「気になること」は、やはり体型のこと。ホルモンのバランスが変わり、代謝は落ち、サイズというよりは、二の腕の裏、ヒップの下、肩甲骨、肩先、膝、足首など、パーツの形状や肉質が変化することで、「今まで似合ってきた服」と「今似合う服」に距離ができるのが、このタイミング。
まずいいたいことは、その距離を埋めようとしないこと。以前の自分に戻ることがナンセンスで無意味だ、ということを前提にすることが、実は最も大事です。「今まで似合っていた服」は一度忘れ、今だから、今こそ似合う一着を手にするチャンスだと考えましょう。例えば、ショルダーラインを落とし、素材をうんと柔らかくすれば、肩の先端が丸くなり、二の腕に厚みが出て女性らしくなった輪郭が「とびきり」エレガントに見えます。逆にぜい肉が削げ、骨っぽくなったシルエットには、今まで挑戦できなかったトラッドでメンズライクなテイストが「とびきり」似合うようになるのです。
着こなし方も同様です。服は私たちの内面やアウトラインを包むラッピングペーパーのようなもの。包む中身が進化し、成長し、形を違えているのだから、包み方を変えるのが当然なのです。シャツのボタンを今までよりもひとつ多く開けましょう。5年前より「とびきり」つやっぽく、凛々しく着こなせます。
流行との間合いのとり方もそうです。もしかしたら過去の自分は、力ずくでも今流行(はや)っているアイテムや色に、自分を近づけていくことができたかもしれません。きっと今は、そんなことをする必要がないことを実感し、そして少し離れて眺めることができる余裕があるでしょう。そうすることで手にした「モードな服」とクロゼットの中のベーシックな服は、完璧なケミストリーを起こし、できあがったスタイリングは、「とびきり」自分らしく見えるのです。
ここまでで、何度「とびきり」を使ったでしょう。悩みやモヤモヤを一度立ち止まって考えることこそ、「悪くはないけれど、とても似合っているわけではない」「そこそこ素敵」な色や柄、シルエットを手離すことにつながります。そうすることで、私たちのワードローブには「とびきり似合う」「とびきり自分らしいもの」だけが残り、5年前、10年前のおしゃれよりも、うんと前進させることができるはず。
そんなふうに自分にもいい聞かせ、今回のテーマに沿って一枚のシャツを、一足の靴を選び、組み立て、着方を繊細に考えました。中途半端を断捨離し、たくさんの「とびきり」を手にしてもらえますように――。
そして、おしゃれについて悩むこと、考えることが、それらを解決し前に進むきっかけになったら、と思っています。
大草さんも実践していた!“おしゃれにスタイルアップ”
インスタグラム(@naokookusa)をチェックすると、大草さん自身、毎日の装いの中でおしゃれとスタイルアップを見事に両立させていることがよくわかる。「私にもコンプレックスはもちろんあるんですよ。でも服の力を借りながら、いろいろと工夫しています」。
②アラフィーの2大悩み(ウエスト・下半身)を着こなしで解決
Q.ウエストまわりが太くなった!
「みるみるおなかまわりに肉がついて厚みがぐっと増した」「いつもウエストまわりを気にした服選びに」など嘆きが続々!
A.「ウエストに影をつける、またはフラスコ形をつくって!」
「どんなに気になるからといって、だら〜んと隠すのは絶対にNG。ウエストは隠さないで! 解決方法は簡単で、ポイントはふたつ。ひとつ目は、気持ち高めの位置でウエストを絞る。ふたつ目は、ウエストに影をつくるようにトップスをインする。それを意識するだけで大丈夫。装いの幅も広がるし、おしゃれが見違えますよ」
ウエストはキュッと高めに絞るフラスコ形
「イメージはフラスコ形。理科の実験で使う、あのガラスの容器です。ポイントは、腰位置を高めにしてベルトマークすること。華奢なパーツを見せるとより効果的」
トップスは少し出して影をつくるほうが得!
「トップスをブラウジングすることで、気になるウエストまわりに陰影が生まれ、シェーディング効果が。その際、ボトムに太めのインサイドベルトがあるほうが有利」
拡大すると…
Q.下半身がますます重く…どうしたらいい?
A.「シャープな逆三角形か、3:7の黄金比を!」
「今シーズンは、たっぷりとしたシルエットのアウターやシャツがトレンド。まず、“逆三角形”はおしゃれを楽しみながら解決できるというメリットが。一方の“3:7”の黄金バランスは、パンツにかぎらずスカートでも有効です。いずれの法則にも活用できるのは、マニッシュなサマーウールのテーパードパンツ!」
肩のラインから足もとへ、“鋭い”逆三角形が理想的
「旬のサファリジャケットのビッグシルエットで上半身をつくり、下半身は足先まで黒で引き締めて。サマーウール混のフレンチタックのパンツでキリッとシャープに」
上半身にポイントをつくり全身を“3:7”の黄金比に
「この場合、トップはアクセサリーの位置で“3”のポイントを設定。その下の“7”を占めるパンツはセンターラインで縦の線を強調し、ミルキーな配色でなじませます」
③いろいろなパーツのお悩みにお答え
各自がコンプレックスをもつ部分についても、続々とお悩みが届いた。克服するためのちょっとしたアイデアを知りたい!その思いは切実。「旬のアイテムでカバーできることは多いですよ!。」
Q.肩幅が狭くて、なで肩。上半身が丸くなってしまう...
A.「ジャケットを肩がけして、フォルムを補整すれば◎」
「私自身、肩幅がないんです、よく驚かれるのだけど(笑)。ジャケットなど服を肩がけしてアウトラインをつくってあげればよくて、これは肩幅が狭い人の特権! ノースリーブなら、オイルを塗って肩先の“角”を目立たせます」
Q.胸が大きく、若いころより下がりぎみ。薄手の季節カバーできる服を教えて。
A.「シャツの威力に頼りましょう」
「シャツのボタンは3つ開けて。でも谷間を強調しないように、モカ色のタンクトップをイン。肩のラインを落として、バストのボリューム感を逃してあげるのもポイントです。背中に切り替えがあるもののほうが、より着こなしやすいですよ」
Q.肩幅が広いのですが、オーバーサイズのトップスはどう選べばいい?
A.「肩のラインが落ちるように、とろみ素材がおすすめ」
「素材はとろみ系を。ショルダー位置を落としてあげるのがカギに。意外と盲点になるのが身頃幅で、ぜひ余裕をもたせてください。タイトなものだと肩にもっていかれてしまうんです。余裕をつくって、着たときに空気が入るイメージで」
Q.年齢とともに鎖骨見せが貧相に……。Vネック選びのポイントは?
A.「ジャケットを肩がけして、フォルムを補整すれば◎」
「私自身、肩幅がないんです、よく驚かれるのだけど(笑)。ジャケットなど服を肩がけしてアウトラインをつくってあげればよくて、これは肩幅が狭い人の特権! ノースリーブなら、オイルを塗って肩先の“角”を目立たせます」
Q.スリムというより細すぎて洋服がうまく着こなせません。
A.「ジャカードなど、表情のある素材を取り入れてみて」
「細いかたには、まずビッグシルエットがおすすめ。さらに今シーズンは素材のバリエーションがとても豊富なので、ぜひジャカード素材もチェックしてみて。ぷくぷくした立体感や、凹凸(おうとつ)のある素材も細さを美しくカバーしてくれます」
Q.太ももが太いのが悩み。おしゃれにカバーできる方法はありますか?
A.「シルキーなパンツに、前後差のあるトップスが理想的」
「脚の形を拾わない、エレガントでシルキーな素材のパンツで包んであげましょう。さらにトップスは大胆なくらい前後寸に差があるものを。フロントはインさせて、バックはヒップを隠すくらいの長さでメリハリを」
Q.足首が太く、スカートをはくと、より強調されそうで心配。
A.「ストラップの太い靴を選びましょう」
「しっかりと幅のあるストラップでマークすれば、足首そのものの太さは目立ちません。バーサンダルは、骨ばった足の甲や素肌感がセンシュアルで、抜けた感じがマキシスカートとも好バランス。臆せずトライしてみて」
Q.足がデカすぎて、かわいい靴が履けません!
A.「大きめヒール、素肌感、アンクルストラップがカギに」
「まずは、今年多い“透ける”素材。抜け感が軽やかで、大きく見えません。アンクルストラップで足首にフックをつくってあげるのも◎。サイドオープンのパンプスは、サイズが大きいかたのほうが絶対的にマッチします」
④「あのトレンドアイテムを着たい!」にお答え
おしゃれ気分がぐっと上昇する、春。せっかくだから今シーズンのトレンドアイテムを着ておしゃれを楽しみたい! アラフィーの体型悩みをカバーしながらトレンドをコーデに取り入れる必見のファッションテクニックを、レクチャーします。
Q.憧れの「プリーツスカート」は、どうしても腰まわりが太く見えてしまいそう。
A.「インサイドベルトがありプリーツ幅が下に広がるものを」
「腰まわりのお悩みなので、まずはウエストに影をつくるインサイドベルトがあるものを選んで。それだけで印象はずいぶん変わります。あとはプリーツ幅。腰からすそに向けて幅が広がるタイプのスカートが大人にはおすすめです」
Q.身長が低いのですが、「ロングスカート」や「ロングワンピース」を着たい!
A.「スカートもワンピースも前後差のあるデザインが正解」
「小柄さんが選ぶなら、スカートでもワンピースでも、前後の丈にちゃんと差があるものをおすすめします。ワンピースなら、ブラウジングできるかどうかが大事。共布のベルトつきのものが便利!簡単にドラマチックに装えますよ」
Q.ピーマン形のおしりが目立つのは避けたいけれど、ラクな「ニットワンピース」は着たい!
A.「コクーンシルエットなら大丈夫!」
「ニットで細身だとどうしてもおしりの形を拾ってしまいます。ですので、後ろ姿を確認しながら、ゆるやかにコクーンシルエットを描くものを厳選してください。ハイゲージのニットならもたつかないので、より美しく着映えますよ」
Q.「スキニーデニム」をあきらめたくない。昔よりたれた下半身でもはける?
A.「素材感でメリハリを。膝を隠すように装って」
「スキニーデニムは、あくまでもレギンス感覚で。膝が隠れるような着丈のトップスとのバランスが大人にはちょうどいい。肌が透き通るくらいの薄手のロングシャツとなら、デニムのややハードな素材感が引き締め役にもなってくれます」
⑤おしゃれにまつわるいろいろをもっと教えて
服のお直しや写真撮影時のコツ、サイズ表記の見方まで、おしゃれにまつわるいろいろな疑問にお答えします。
Q.服をお直しすることはありますか? その際、何に気をつければいい?
A.あります!「どこがジャストだと美しいか」を吟味して。
大事なのは、着たときにどのパーツが自分にとってジャストだと美しいかを知ること。コートなら肩位置よりも袖丈がポイント。パンツは、一般的にはウエストよりヒップまわりをお直しするときれいにはけます。パンツもスカートも、合わせる靴をイメージして丈を決めましょう。
Q.写真だと人よりも大きく見えるような気がします。撮られるときの注意点は?
A.笑顔が一番(笑)。歯が見えるくらい「大きく」!
人の印象に刻まれるのは“笑顔”です。口角をキュッと上げるくらいではそこまで変わらないので、歯が見えるくらいの“ビッグスマイル”を! いっそそのほうが写真の中で映えますよ。細く、スタイルよく見せることを意識するよりも簡単だし、そのほうが「記憶に残る人」になれます。
Q.体型も異なる若い人たちと並んだときに、ファッションで貫禄を出すには?
A.むしろ、大人の「かわいげ」を。貫禄はすでにありますから。
とてもいい意味で、年齢を重ねると“貫禄”は自然に出てくるもの。だから、ハイエンドな時計にはジャンクなアクセサリーを。大ぶりのネックレスよりも、揺れるイヤリングを。そんなふうに、大人こそむしろ足していきたいのは、お茶目心のような“親しみやすさ”かなって思います。
Q.納得のいくシャツが見つかりません。オーダーメイドは選択肢になりますか。
A.タイトシルエットのものを探しているなら、アリです。
求めているものが体の線を美しく引き立たせてくれるタイトシルエットのシャツなら、オーダーメイドがいいと思います。とはいえ今のシャツは“少し大きめ”がトレンド。シャツと体の間に風が入るようなシルエットなので、まずはそちらを試してみられるのもよいかもしれませんね。
Q.ブランドごとにサイズ表記が異なる気がします。サイズは当てになる? ならない?
A.タグのサイズ表記は「指標」。ブランドごとに違います。
いろいろ試して、シャツはここ、パンツはここ、とアイテムごとに自分の体型に合う“信頼のブランド”があるといいと思います。オンラインショッピングでは、より細かく数字で表記されていますよね。自分のサイズをパーツごとにきちんと測って理解しておくのもおすすめです。