女優、モデル、母としてだけでなく、2017年にはファッションブランド「ヘルト(Herato)」と「ロワン(loin.)」を立ち上げるなど、ブランドディレクターとしても精力的に活動している井川遥さん。そんな井川さんのおしゃれの秘密に迫る。
Q1.「ワクワクするおしゃれ」
さりげなさと意外性のバランス。少しの遊びごころ。ふだん着でも、よそ行きでも。おしゃれはいつも新鮮な気持ちです。
Q2.「自分らしいおしゃれ」とは?
ひとつひとつ選んできたものが形づくっていくものだと思う。年齢を重ねていくと新と旧が混じり合ってそれこそが自分らしさかな。
Q3.年齢やライフステージの変化で、おしゃれは変わった?
心地よさをより求めるようになりました。使っていくたびになじんで愛着が増していくことも素敵。と同時に、アップデートも必要。
Q4.loin.はどんな服?
上質な素材を使用し、カッティングに時間をかけ、シンプルな中に遊び心のある服を目ざしています。着る人が主役の余白のある服でありたいと思っています。
Q5.「着る」から「暮らす」まで、こだわりをひと言にすると?
「居心地のよさ」かな。
Q6.自分やセンスを磨くために、心がけていることは?
自分の意識がどこにあるかを明確にすること。知らない世界に触れて刺激されること。
Q7.女優、母、ディレクター……、さまざまな「顔」をもつ毎日って?
ひとつだけに没頭するのはなかなかむずかしいけれど、だからこそ生まれるものもあると信じてます(笑)。それぞれプレッシャーも大きいけれど、どれに対しても真摯に取り組んで、自分の枠を少しずつ広げていけたら。
Q8.挑戦したいこと、教えてください。
もともと海が大好きなんですが、今年はシュノーケリングやスキンダイビングに挑戦して心身をリセットしたいです。そして、子供たちの世界がもっと広がったら、「女旅」をしたい。(板谷)由夏ちゃんと妄想しては、がんばろうといい合っています。あ、それから絵を描いたり陶芸をしたり創作に没頭したいですね。
Q9.ずばり「夢」は?
海の近くに暮らしたい。旅を続けたい。
インタビュアー松本千登世から見た「板谷由夏」と「井川遥」
確かな自分らしさが生むしなやかさと軽やかさ。未来は、もっと自由!
――松本千登世
板谷由夏と井川遥。ふたりは大人のあり方をすっかり変え、おしゃれの可能性をかぎりなく広げるのではないか。ずっと前からそんな予感があった。女優としてしだいに軸を太く密にして唯一無二を築きながら、その表現力でモデルとしても独特のオーラを放つ。一方で、家庭をもち、母になり、「普通」の時間を積み重ねている。しかも、偶然にも、同じようなタイミングで、自身のファッションブランドを立ち上げ、ディレクターとしても忙しい日々だ。ファンの間ではつとに有名な話だけれど、このふたり、実は親密な友人同士。「人生曲線」の波が似ているから親密なのか、親密だからその波が似てきたのか。いずれにせよ、互いに呼応するように刺激や影響を与え合って、大人を楽しんでいるのだ。
私は幸運なことに、板谷さん、井川さんともに、取材の機会に恵まれ、長く、頻繁にその魅力に触れ続けている。つど、気づかされるのは、ふたりがまるで自分の一部かのように、おしゃれと付き合っているということ。年齢を重ねても、ライフスタイルが変わっても、それは常になくてはならないものとしてかたわらにあると知る。以前、板谷さんは「たとえスーパーに行くときのファッションでも、考えて選ぶ。だって、そのほうが楽しいでしょう?」といい、井川さんは、「もともと服が大好きなのに加えて、仕事柄、たくさんの洋服に袖を通す機会に恵まれるから、これを着たらどう感じるかという『実感』が、しだいに身になっている気がしていたんです」といった。好きに正直に、気負いなく。まわりにどう見られるかよりも、自分がどう感じるか。その静かな「昂揚(こうよう)」が、表情や雰囲気に宿る。だから私たちは、目を奪われるのである。
改めて「おしゃれの意味」を問うてみた。「私、試着室から出てきたときの、女性の紅潮した笑顔が大好きなんです。おしゃれの意味って、そういうことかな、と」(板谷さん)。
「文化を知り、世界情勢を知り、原産地や生産者を知り……、結果、自分を知ることにつながる『好奇心』をもつこと。あっ、まじめに答えすぎちゃったかな(笑)」(井川さん)。
ちなみに、撮影に臨むに当たって、共通していたのは、「攻め」というキーワードなのだという。自分らしさが確立されているからこそ、しなやかに軽やかに、もっと自由になれる。ふたりからのメッセージを、写真から感じ取ってほしいのだ。着ること=暮らすこと、働くこと、楽しむこと、すなわち、生きること。私たちには、明るい未来が待っている、と。