いつも更年期世代やそれ以降の悩みを、漢方養生の観点からひも解いてくれる漢方薬剤師の樫出恒代さん。今回は、樫出さん自身の体験談です。今年63歳になる樫出さんは、50歳で老眼を実感。それから10年以上たった今も老眼鏡の必要がないそう。ご本人が目のために選択した漢方薬と続けてきた簡単な目のトレーニングを教えてもらいます。
【教えてくれた人】
更年期頃から増える患者さんの老眼の悩みとあきらめの声
「どんどん見えなくなってきた」。
「小さい字が読めなくなった」。
「目が疲れてたまらない」。
「もう歳だから仕方ないですよね…」。
という声が多くなるのが、更年期。
仕方ないけど、できれば少しでも見えるようになりたい。老眼が進まないようにしたい。老眼鏡をかけたくない、という願いはみなさんありますよね。
大丈夫です!
漢方と養生のちからで。
50歳で老眼に。気合を入れて作った老眼鏡に慣れず、気持ちが悪くなってしまう日々
実は私も50歳の時に急に小さい字が見えなくなって、こりゃ困ったな、と。
ご飯を食べる時にお料理にピントが合わなくて、ボヤッとしか見えなくてそれが悲しかった。
このままでは仕事にも差し支えると思い、視力を測ってもらって素敵な(気分を上げるため)老眼鏡を作りました。
セミナーなどでも使えるようにと、近視ではないので、眼鏡のレンズの上は度がなく、下を向くと資料やテキストなどの小さい字がよく見えるように作ってもらいました。
それから老眼鏡に慣れるために、その眼鏡をかけて本を読んでみたり、講義の時にテキストを見たり、プロジェクターのスクリーンを見るからと、立ったり座ったりして慣れるようにしたのですが…。
どうしても頭がふらふらして、氣持ちが悪くなってしまうのです。
それで老眼鏡をかける回数が減り…困った状況が続くという事態に。
老眼対策として杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)と霊鹿参(れいろくさん)を飲みはじめました
そこで、なんとか自力で見えるようにできないかと思い、漢方を変えることにしました。
飲みはじめたのはこちらです。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
飲む目薬といわれる枸杞(クコ)の実と目を爽やかに、見えやすくする菊花(キッカ)を配合。他に地黄(ジオウ)、山茱萸(サンシュユ)、山薬(サンヤク)が腎の足りない力を補い、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)、牡丹皮(ボタンピ)が血、水を流し、いらない熱をとることでバランスをとる処方。腎の力を増し「見る」力をつけてくれる漢方です。
霊鹿参(れいろくさん)
鹿茸(ろくじょう)が主成分。鹿の角である鹿茸は、腎の力をつけ、温める力をつける、氣力アップ、子宮の冷えによる不妊、冷え症、虚弱体質、疲労、めまい、耳鳴り、耳が聞こえない、老眼、背中の疼痛、筋や腱の衰え、腰痛、脳、月経以外の出血やおりものなどに効果のある動物生薬です。
この2つを中心に、ほかにも双参など補剤(エネルギーを補充する漢方)をとるようにしました。当時私はあきらかに更年期の真っ最中でしたので、身体の変化も顕著で疲れやすくなっていました。
腎にエネルギーを与え元氣にすることは、目の“見る力”をつけてくれるのです。
ちなみに今も霊鹿参は続けています。
他には四川富貴廣(しせんふうきこう)<田七人参>や双参(そうじん)、その時に合わせて補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、温経湯(うんけいとう)などで腎のちからを底上げしています。
眼科の医師おすすめのピント合わせトレーニングに、漢方養生を加えて実践
ほかにも、眼科の先生もおすすめしてくれた、近くと遠くを交互に見る目の運動をしました。
近くに焦点が合わせづらくなるので、手元で(少し離してもいいから)ピントを合わせるようにした後に、顔を上げて遠くを見てピントを合わせる。それを毎日何度も繰り返すようにしました。これはもう癖のようなもので、今も意識せずやっています。漢方で “緑を見ることは目の栄養になる”と考えるので、遠くを見る時に樹々があるととてもいいです。
というわけで、せっかく素敵な老眼鏡をつくったにもかかわらず、あまりかけることなく時間は過ぎて…。そのうち、なんとほとんど老眼が氣にならなくなったのです。今年63歳ですが、今のところは大きな問題はありません。ありがたいことです。
とはいえ私も、暗いところ、スマホやPCを見すぎて疲れた時などにぼやけることはあります。そんな時はホットタオルなどで目をあたためたり、視神経の集まっている首の後ろをあたため「見ること」を休んでみるといいですね。
飲む目薬とご紹介しました「枸杞(くこ)の実」をおやつにするのもおすすめです。
老眼は40歳ころからあって当たり前、老眼鏡をつかって悪いことはないんです。おしゃれな老眼鏡〈リーデンググラス〉もたくさん出ていますから。
でも、諦めなくてもいい。やれることをやってみて、少しでも生活が楽になったらいいですよね。
ご自分に合う漢方や養生、やってみてくださいね!
注:漢方薬については、漢方専門の医師や薬剤師、漢方アドバイザーなどにご相談・カウンセリングの上お飲みください。